76話 前衛の塊
-----(清見視点)-----
ああ、ヤダ。難しい話とか、面倒くさい話とか、聞きたくない。怖い話も嫌だ。
面白い話にしてください。無理? いや、こっちがむーりー。
帽子から下ろしたポヨン君を抱え込んだ。
あの日、この世界に来た人達。
俺たちのようにそこそこ危険ではない場所に出たらしい。ただし、他の人を探しに森に入り虫や獣にやられてどんどんと数を減らしたとの事。
大島氏が最初に出た場所のような感じだろうか。そこも大変だったと聞いたからな。
それから、危険な地域、比較的安全な地域の見極めをしつつ、人を保護して歩いていたそうだ。
流石だ、国を守っていた『防』の人よ。
たぶん……うちらの隊長?が、こちらの話をして、空間スキルの話になった時、向こうの隊長はショックを隠せないようだった。
と言うのも、建物や乗り物を残骸と判断して、そこから人を連れ出してしまったそうだ。
俺たちの情報だと、『空間スキル』はそこから10日も離れるとスキルが消える。それは空間スキルに付随しているお得機能も失くなると言うことだ。
彼らはそもそもスキルの再確認の方法も解らなかったため、空間スキルがあった事も消えた事も知らないままだった。
食糧や水がある空間ならば、そこに籠る方が安全な事も話した。
しかし何も知らない彼らは、残念ながら持てるだけの食糧を持ってそこから救い出した、つまり、離れたのだった。
そうしてなるだけ危険の少ない場所を探して移動をしたそうだ。
彼ら(自衛隊)が現在、避難所にしている場所は、見た事にない遺跡のような場所だそうだ。
何だ、それ。遺跡?
何の遺跡だろう。この世界の遺跡? もしかしたら居たかもしれない現在も居るのかもしれないが、この世界の何者からの遺跡?
ちょっと、やだ。異世界ファンタジーっぽくなってきた? 思わず大島氏と顔を見合わせた。目で笑い合う。
その遺跡だが、一応雨(降った事はないが)が防げる広い横穴もあるそうだ。
遺跡の穴は深く続いているが、入らないように申し付けているそうだ。と言うのも早い段階で奥へ確認に行った一団が戻らなかったのだ。
「えぇー…………それってダンジョンなんじゃ?」
「やっぱそう思った?」
「ますます異世界転移だよなぁ。ダンジョンは必須だからな」
遺跡は気になるが大人しく話の続きを聞いた。
彼らが今いる遺跡付近は、外からの敵は来ないので、その遺跡の浅い場所を拠点としたそうだ。
兄貴が地図(手作り)を渡すが、遺跡はその地図よりもっと上の方らしい。
大島っちが最初に出た岩盤地帯のもっともっと右上のほうだそうだ。
そっちには現在民間人が300人くらい居るそうだ。自衛官は100人ほど、全部で400ちょいの大所帯だ。うわっ、すご。
何と遺跡の浅い場所には細い川があり、水はそれを飲んでいるそうだ。今のところ腹を下したりはしてないらしい。
食べ物は、遺跡まわりの木から取れた実や、雑草、小動物と虫。
遺跡に近い場所では小動物も虫もそれほど大きくない。それでも倒せるようになるまで、自衛隊員にかなりの怪我人が出たらしい。
そっかぁ。とうとう虫食に突入かぁ。一応念のため、何味か聞いてみた。
「強いて言うなら……虫味?」
いぃーやぁぁっぁぁあ!!!やっぱ無理。
「うそうそ。甲殻類に近いかな」
自衛隊の隊長が、部下をひとり呼んだ。前衛で1番レベルが高いそうだ。レベルが高い?
経験値の事か。
現在は物理攻撃(微7.0235)だそうだ。そいつはちょっとドヤ顔。
待て待て、杏ちゃんは微の9いってなかった?パワーレベリングだけどね。
その話をすると会いたいというので杏ちゃんを呼んできてもらった。
やって来たのが小学生の女の子だったのを見て衝撃を受けていた。
ドンマイ。




