74話 続く日常
-----(清見視点)-----
あの日から3ヶ月が経った。
避難所の皆も帰還や救助は諦め始めている感じがする。ここで何とか生き延びる事、子供達を育てていくしかないと思い至ったようにみえる。
ここでの生活は、水には困らない。当座の食料も困らない。
ただ先々を考えると不思議スキルの食料に頼らずに現地で収穫出来るようにすべきだと言う案が上がっている。
しかし植物を育てるにしても種がない。安全地帯で採れるキノコや雑草を、地球の知識に照らし合わせて食してみた。
サイズは大きいがかなり似た植物やキノコに限りだ。もちろん大人のみだ。子供の口には入れない。
しかしそれらも成長が早く、大きくなればなるほど硬くなり口に出来なくなる。
では、肉は?
大島氏のボックス頼みでレスキューチームが魔物同士の戦いで出た死体を持ち帰る。
食べられるかどうか病院の検査室でも調べられる事は限られている。
それを口にする事はかなりの勇気が試される。試されるのは勇気だけでない。命も試す事になるのだ。
話し合いの結果、今のところ食糧に困らないし、無理をしない事に決まった。獲った肉はポヨン君に消化してもらった。
そうだ、引っ越しのドタバタで忘れられていたが、空間スキルでの新しい再生方をためしていった。
翌朝再生する事を利用して、夜に残った物を別な場所に保管する事で、少しずつ在庫も増えていく。
移転時と同じだけしか食料が再生しないと思われていたが、工夫次第で増やせるのだ。
と言っても保存可能な物に限る。
けれどそれでもかなり助かった。
保育園では、野菜や肉はせいぜい2〜3日で使い切るが、小麦粉や米、塩砂糖は別容器に移したりして増やす事に成功した。
産科病棟も同じである。
コンビニカートの中の弁当やサンドイッチなど、日持ちしない物はその日中に消費するが、他の品は全て別保管にする事で、毎朝同じ商品が丸ごと手に入る。
それはコンビニ商品保管庫も同じであった。
仏間やキッチンでももちろんそれを行った。合同の食料品保管庫を作ったり在庫をチェックしたりと、皆が生活のために動いていた。
そして、キチママさんのとこで発見された新事実。
何と、コンセントが抜けた状態の冷蔵庫の中の物が、いつまでも冷えたままだったのだ。
そもそも電気が点かないので、冷蔵庫は諦めていたそうだ。ただ、毎朝冷蔵庫の中の物が冷たいまま復活しているのだと思ったそうだ。
何気ない日常の中で、冷蔵庫の中身が冷たい、微温い、と気がつく事はあるだろう。
しかし、謎の世界で子供を抱えて必死の毎日なのだ。瑣末な違いに気がつけと言うほうが酷である。
それは同じように冷蔵庫のあった保育園でも産院でもそうだった。
特に産院。廊下の自販機はいつも冷たいのは朝の復活のせいと思っていた。それに温かい物を飲む人が多かったのもある。
この世界のエネルギーは電気じゃないのかもしれない。
地球の科学で考えるな、考えたら負けだ。魔法だよ。全て魔法。




