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俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?  作者: くまの香


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73/112

73話 ファンタジーを語る

 -----(清見視点)-----


 俺と大島氏は今、産院の壁に寄りかかりまったりを堪能中である。ここらは木が少ないので前に居た場所よりは陽が当たる。


 と言ってもこの世界の太陽はあまり明るくないのかな?だからと言って寒いわけでもない。まぁ俺は科学者でも何でもないからどうでもいいんだ。

 せいぜい、「雨ふらないねー」くらいだ。



「俺さぁ、スキル貰ったから最初はてっきり異世界転移と思った」


「俺もそれは思った」


「でも俺の知ってる異世界転移とはだいぶ違ってた」


「まぁね。あれは絵空事と言うかファンタジーな小説だからな」


「だねぇ。現実と小説は似てない。スキル無かったらただのタイムワープとか神隠しとかそっち系だよな」


「何にしても俺はしばらくは何もしたくねぇ」



 笑いながらであるが大島氏が呟いたそれは本音だよな。大島氏は特に働かされた。『完全防御』というスキルのせいもある。

 この世界の生物は俺らに優しくない。デカいし凶暴だ。何をするにも大島氏のスキル頼みになるんだ。


 大した事をしていない俺もヘトヘトだから大島氏の何もしたくない気持ちはよくわかる。


 それにしても他のみんなは元気な気がする。


 ほら、あそこで腕立てしてる暑苦しいやつらとか、ビャービャー泣いてる赤子とか。

 みんな生きる事に輝いているなぁ。



 ここに引っ越してきて数日。現在この地には結構な数の避難民が居る。


 仏間から俺清見27歳引きニート。兄、橘。その息子、裕理くん。

 トイレママと郁未くん2歳。

 風呂ママとりこちゃん3歳。

 キッチンママとまなちゃん3歳、リリちゃん……1歳未満。あ、うちの裕理くんも1歳未満だ。


 大島っちが27歳会社員(尊敬するぞ)。

 高校生トリオが、ドドスケとクサと倉田女子。

 小学生コンビが、杏と紡。


 ここまでで16人か。もう多いな。


 それから自力避難してきた消防士の山根っちと女性の鮎川さん。鮎川さんの方が先か。よく女性ひとりで来れたよな。

 それと救急車の3人と、警官と自衛官がひとりずつ。


 そして、消えたフェリーの親子。ミステリーのタイトルか? ママさんと子供は2人。あ、老夫婦もひと組いたな。

 他にも、消えたバスの乗客…………こっちもミステリーっぽい、他に救助された人など。


 このあたりから名前も人数も把握してない。


 そして立て続けに保育園と産婦人科……じゃなくて何だっけ?産科病院?を発見した。

 このふたつは大人数だけど半分以上が乳幼児だからな。産科の方は乳児どころか生まれたてのホヤホヤ。(会った時は生後数ヶ月か)



 異世界転生……は、異世界に生まれ変わるんだよな?

 異世界(こっち)で出産した女性もいたそうだが、異世界転移した母親から生まれた子供は何になるんだ?


 転生ではなく、母親が異世界()出産だよな。

異世界出産(された)、生まれたら異世界で驚いた件?』

『俺、地球人だけど生まれたら異世界で驚いた!』


 うーむ、難しいな。世界(異世界)をまたにかけた出産。またにかけた……股にかけた、ぷぷぷっ。



「清みーん。何だよ、思い出し笑いか?」


「あ、ごめっ、自分の親父ギャグにウケてた」



 大島氏に呆れた顔をされてしまった。

 小説の異世界転生だと、前世の記憶を持ってるケースが多いよな。って事は、こっちで生まれた赤ん坊は前世の記憶を持ってるのか?って前世はまだ向こうで生まれてなかったか。


 一応、3〜4年待ってバブちゃん達に聞いてみるか?前世は何でしたって。

 もしかしたら母親のお腹に居る時にスキル取得とかステータスを確認しているかもしれないしな。



「俺、思ったんだけどさ、何でこんなに乳幼児ばっか転移してきてんの? 俺も裕理くんのオマケみたいだしさ」


「まぁなぁ。その辺は謎だな」


「だろ? やはりバブちゃんらってチート持ってると思う」


「…………持ってるとしたらどんなスキルだろうな。俺らより凄いのだったり」


「気になるな。保育園のバブ太郎達はもう理解してるんじゃない?今度聞き出してみようかな」


「だなぁ。魔法スキルとか持っていていきなりファイアされたらヤバイからな」



「そんでさ、この村は今100人くらいか」


「いつから村になったよ。村長誰だ」


「異世界ファンタジーの小説ならまだ序盤だよな。100人しかも子供ばかりが転生してきたとこじゃん」


「百人も居ないし子供と言うより幼すぎるけどな。序盤だとして今後の展開で起こりうるのは?」


「起承転結の『起』が謎の異世界転移だろ? 『承』はまぁ普通に言ってレベル上げだよな。バブちゃん達の」


「小説だとその辺はだいたい飛ばしているな。バブ期から幼少期、少年期と。少年期あたりで物語が動くんじゃないか」


「って事は、バブちゃんらが少年期を迎えてチートを発揮するまで俺らモブは耐えるしかないのか。バブちゃんの中に勇者いるのかな」


「俺らでない事は確かだな。俺ら後衛コンビだからな。そんで『転』はどうなるんだ?」



「うーん、ありがちなのは魔物の氾濫とかで村が全滅、とかだな。それをキッカケに少年バブが王都へいく」


「この世界に王都とかあるのか? てか、人型いるのかな。虫や獣のようにサイズがバグった人型かもな」


「巨人かぁ! いや、俺らがアリサイズなのか? そしたらバブ勇者も小さ過ぎないか?」


「ほら、一寸法師とかもいるくらいだからな。小さくても鬼退治は可能だろう。桃太郎なんて桃から生まれてるからな」


「えっ、あれは桃が巨大って話だった気がするぞ? ああ!でも、この世界だったら桃もデカそうだな」



 俺たちのたわいのない話は続く。いいよなぁ。こんな時間がずっと欲しかった。

 この世界へ転移して初めて良かったと思える時間かも。



「で? バブ太郎が王都へ行き、仲間を募って魔王を倒してメデタシ? それが『結』か」


「俺たちモブは『転』辺りで滅ぶのかなぁ」


「いや、空間スキルあるから滅ばないだろ? この空間までは入ってこないだろ」


「大島氏のスキル、謎だけど最強だよな」


「うーん、どうかな。攻撃はできないから最強とは違う気がする。防御としては最強かもしれないがな」



 そう言えば、謎と言えば不思議な事があった。 


 昨日、レスキューが危険地帯の近くまで行った時に魔物に追われて引いて来たそうだ。しかし皆の安全を考えると戻るに戻れず魔物を引いたまま近場を逃げ回っていた。

 大島氏が呼ばれて駆けつけた時には木の無い辺りで魔物は急に引き返していったそうだ。



「どう言う事だろうね。森の中って目に見えない線とか壁とかがあるのかな?」


「俺が着いた時には魔物は森の奥へ逃げていったところだった」


「俺らが安全地帯と呼んでいるだけで、木の上にとまってる奴もいるし、降りてこないわけじゃいのにな」


「そうなんだよな。だからレスキューも一般人は森へ入るのを禁止している。子供らも保育園の園庭か産院と仏間の間しか外へは出さない。そこはしっかり決めている」


「まだまだ謎だらけだ」


「謎だらけ、と言うより、謎はまだひとつも解けていないけどな」



 そうだなぁ。でも解けなくてもいいんじゃないか?地球だって俺からみたら謎だらけだった。

 ただ、日本があまりに平和だったから、つい、同じような日常を望んでしまう。押入れから出なくていい一生。


 いや、大丈夫。それは無理だってちゃんとわかってる。



「清みんさぁ。スライム放し飼いしてる?」


「放し飼い? してない。散歩は自由に行かせている」


「いや、それ放し飼いw」



 えっ、ポヨン君、別に問題起こしてないよね?誰かと喧嘩した?

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放し飼いを理解してない清見んww
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