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俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?  作者: くまの香


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70/112

70話 謎の廃病院?

 -----(大島視点)-----


 白樺並木の森の奥で見つけた建物は鉄筋コンクリートの2階建てであった。

 と言っても最初からの2階建てではないだろう。コンクリートの壁が剥き出しの所もあちこち見える。


 屋上はもげたのか?元は何階建てだったのだろうか。2階の壁に切られた通路っぽい残りがある事から結構大きい病院の一部だったのだろうか?

 扉、と言うよりも廊下の通路であった場所を見つけた。そこから入れるだろうか?



「保育園の時の例もある。余所者は入れないかもしれないな」


「あぁ、空間スキルの防御機能の……。あれ、俺よくわからない。やってみようとしたけどうまくできなかった」


「清みんは皆受け入れてるからなぁ。今更はじけないだろう。とりあえずそこから入れなかったら窓の外から怒鳴ってみるか」


「それにしても森の中の病院って何か怖いな。これ、異世界ファンタジーからホラーに変わったりしてないよね? ゾンビ出ないよな?」



 扉に弾かれたりはしなかった。

 中にそっと足を踏み入れた。廊下には案内図が貼ってあった。結構大きな病院のようだ。


 こちらは総合病院である本館と通路で繋がっていた別館、産科病棟のようだ。

1階産科受付、会計、入院手続、院内調理室

2階診察室、検査室、分娩室、待機室

3階産科入院病棟、新生児室

4階婦人科入院病棟……


 4階建て?いや、外から見たら2階だったよな。地図の表示でどうやら現在地は2階のようだ。

 と言う事は1階が無い。2階3階が転移してきたのか?4階もないのか。どうやら1階と4階はこちらへは来なかったようだ。



「俺たちが入れたって事はこの空間スキル持ちは誰にでもオープンにしてるのかな」


「そうだな。と言うか知らないから閉じていないってとこだな」


「そっか。俺もママさん達も空間を閉じれるって知らなかったし」


「保育園も閉じようと思って閉じたんじゃないだろ。変な奴らが来たから子供を守るために門や入り口の閉鎖をイメージしたんだろうな」



 そんな話をしながら廊下を進んでいると細い脇の廊下から出てきたナース服の女性とかちあった。



「あっ」


「わっ」


「こ、こんにちは」



 こんな時の清みんは頼りになるな。頼りなさそうな感じが相手の警戒をといてくれる。


 俺たちが外から来た事を話すと直ぐに看護師長と言う人の元に連れて行かれた。

 看護師長は怖そうなおばさんだった。えっ?医者より偉い?逆らったらダメ?畏まりました。あれ?清みんは看護師長に飴貰っているぞ?




 話を聞いた。あの日の話だ。


 3月27日、午前8時27分、産科病棟は完全予約制で10時始まりである。そのため、受付、会計、入院手続はまだ開いていない。


 入院患者用の調理室は動いていたが、こちらへ転移しなかったのだろう。空間スキルは『そこに子供が居る』と言うのが今までの共通認識だ。なのであの日その時間、1階には子供が居なかったのだと思う。


 それと本館にあった小児病棟も転移してきてはいないそうだ。どう言う事だろうか?別の場所に転移したのか、はたまた『子供』と表現していたが転移の条件はもっと幼い『乳幼児』なのか?


 それはさておき、この建物は2階と3階のみが転移したようだ。気がついたらこの状態だったそうだ。

 2階は診察室、検査室、分娩室、待機室だそうだ。出産は時間を選ばない。そこに居た患者、医師、看護師が建物と一緒に転移したそうだ。


 もちろん3階の新生児室と看護師、入院病棟は全室個室で母児同室の親子、出産間近の妊婦さんで事前に入院していた女性、それから出勤前に病室へ寄っていた父親と娘もいた。掃除のおばさんもこちらの世界へ来てしまったようだ。


 あの日、一瞬の後にはいつのも光景のまま、しかし病院の外だけが変わってしまっていたと。

 一時的に大混乱になった。電話が繋がらない。テレビもパソコンもだ。そして通路で繋がっていたはずの本館の病院棟が失くなっていた。

 駐車場もない。道も無い。


 いち早く我に返った看護師長の指示の元、皆が動き始めたそうだ。 とにかく何が起こったかわからないまま、毎日生き延びるための戦争だったと。

 実は看護師がふたり、あの直後に外へ出て行って戻らない。


 彼女らを探しに行くのに割ける人材がいない。完全な人手不足であった。本来なら3勤交代のナースも出勤してこない。24時間自分たちで入院中の親子を支えるしかない。

 

 唯一出来るのは『救助待ち』であった。


 ここを訪ねたのは俺らが初めてらしい。廊下から色んな人が期待に満ちた目をして覗き込んでいた。

 期待していた救助とは違い申し訳ない。だが俺らも知っている事を話した。ここを離れる事が出来ない彼女らにとっては十分な情報源であったようだ。


 少なくとも、自分たちがここに居る事を知ってもらえて安堵している患者や看護士が多かった。

 テレビもスマホも使えない事から普通でない事態が起こっている事は薄々感じていたそうだ。


 それでも支えないと生きていけない新生児がいるので医者も看護士も母親達も皆が頑張る事ができた。


 気になっている幾つかについて質問をしてみた。やはりここも水には苦労していないようだ。

 しかも入院病棟が全室個室だった事もあり、各部屋にユニットではあるがトイレ、洗面、シャワーが完備されていた。


 院内の照明は点かないにも関わらず、トイレやシャワーは普通に使用出来たようだ。

 灯りは各部屋にある懐中電灯を使用しているとの事。もちろん電池節約のため夜間だけだ。昼間はどんなに薄暗くても窓からの明かりで過ごしている。



「2階の……あ、今は1階ですね、1階の分娩室と待機室は水道は使えます。診察室や検査室は、現在は医師や看護士が寝泊まりに使っています」


「なるほど……」


「2階……の入院病棟、新生児室はそのまま、あの日のままお使いいただいています。空いている部屋も念の為に整備はした状態です。って、新しい出産患者さんが来るとは思えませんけどね」



 看護士長の苦笑いはどこか苦しげでもあった。

 新しい妊婦さんでなくても、ユニットバストイレ洗面付きの個室があるのは助かるな。付き添い用の簡易ベッドもあるそうだ。


 ところで、空間スキルは誰が入手したのかと思いきや、何と、看護師長だった。今ここに居るメンバーにフンスとやってもらうと直ぐにスキル持ちは発覚した。


 看護士に頼んで入院患者の母親達にもやってもらったが、他は誰もスキルを入手してはいなかった。それどころではなかったそうだ。うん、そうだよな。


 ちなみに1番気になっていた食事だ。廊下の案内だと今は無い元1階に調理室があったようだ。

 と言う事は調理室は転移してこなかったのだ。今まで食事をどうしていたのだろうか?



「院内の防災用の食料ですか?」


「いえ、残念ながら防災食料は本館地下にあったんです」


「え……じゃあ?」


「信じていただけるとは思えないのですが、毎朝食事が復活するんですよ。嘘みたいな話でしょう?」


「ああ。こちらも同じですよ。この病院でも? けど、それだと朝食だけなのでは?」



 1日1食が復活してもそれを3食に分けるのか。少ないな。それに患者以外は食事が無いのでは?


 聞くとこの病院は結構な入院患者を抱えていた病院らしい。本館の入院患者は7時から食事が配られるが、産科病棟はその後のタイミングで8時近くになるらしい。


 朝食は8時前頃に各部屋に配膳されていたらしい。子供の世話が優先で直ぐに食べ終わる患者は少なかった。

 それはつまり、あの時間、8時27分の時点で食事中の部屋も多い。そしてその食べ途中の状態が毎朝復活する。



「でも、食べ終わってた方もいるんですよね?」


「はい。それに我々も食事はありませんから」


「じゃあ?」


「あ、廊下の販売機じゃない?」



 清みんが廊下に自販機があったのを見たようだ。



「ええでも自動販売機は飲み物だけなんです。本館にはコンビニとカフェがあったので、産科の入院病棟には飲み物の販売機だけなんですよ?」


「じゃあ……」


「うちのね、産科病棟には出張販売が1日3回入るんです。業者さんにお願いしてコンビニの商品を持って各部屋を回ってもらっているんです。出産直後はあまり出歩けないでしょう?帝王切開をされる患者さんもおられますし」



 何と、コンビニ店員だかがカートを押して各部屋を回っているらしい。それだけでない。何と売れ線の品はこのフロアに在庫を置いてあるらしい。賞味期限のある弁当スイーツなどの食品は毎回本館から運び入れているそうだ。


 そしてその時間が8時だった事も幸いした。その出張販売は看護士達もよく利用しているので、お弁当やお菓子類も豊富だったらしい。

 それらで今まで食い繋いできたそうだ。とは言え、ギリギリから少し足りない程度であった。


 これ以上救助が来なかったら、どんどんと先細りで痩せていく者が増えたところだ。

 こちらには食料があると話したら皆が大喜びをしていた。



 だが、問題がある。


 どうやって引っ越すか。ちょっと持って運ぶには大きすぎないか?

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移動したら開拓されちゃうww
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