63話 嫉妬
-----(大島視点)-----
その後、機内へ戻った。翌日は救助第二陣。
俺の両脇には背負子を背負った救助マン。背負子にはそれぞれ杏と紬が乗っている。
そして俺の背後にはドドだ。背負っていない、自力歩行だ。
昨日と同じ道で無事に仏間まで到着できた。
俺にはまだ帰路が待っている。頑張れ、俺よ。
そして翌日は救助第三陣。
自衛官は3日間とも同じだが、もうひとりはまた消防士にチェンジだ。ただし、今回は背負子は持って来ていない。
と言うのも今回自衛官が背負うのは背負子ではなくバシネットだ。そう、機内に取り付けてあったバシネットを外して背負えるようにしたようだ。
俺の左側にバシネットを背負い、その中には小太郎。俺の右側には桜井ママさんだ。今回、彼女は自分の足で歩かなくてはならない。
何故なら、飛行機を運ぶからだ。
俺の右側の桜井ママは右手で飛行機を掴み、それを持ったまま森を移動する。
一応、桜井ママの背後には消防士が控えている。それと俺の背後にはクサが歩く。一応これで全員が移動出来る事になる。
桜井ママは飛行機を持ち上げる訓練をしたがった。しかし俺が居ない時に機内の外に出ると凶暴な獣に襲われてしまう。
なので、俺が戻ってから少しだけ練習をした。
コツは仏間チームのママさん達が色々と教えてくれたのでそれを伝えた。
飛行機からびろんと出ていたスライドは自衛官達が片付けてくれた。機内の中のカートもカート入れ場にセットした。端に寄せていた乗客荷物も上部の荷物入れにきっちりと収めた。
ハッチを閉めようと自衛官が俺から離れた時に獣が来てしまったので慌てて戻るしかなかった。
ハッチは開けっぱなしだがしかたない。出発しよう。
いい塩梅で折れ曲がった翼があったので、そこの突起物に布を巻き、掴んでも手が痛まないよう工夫をしていた。
そして桜井ママが翼を掴む。(正確には翼にあった何かの出っ張りだ)
まぁ、普通に考えて、こんな大きな機体を動かせるわけがない。
わけがないんだが、ここは『普通』じゃないしな。俺も『普通』じゃないスキルとか貰ってるしな。
巨大な飛行機(の一部だが)が動いても、うん、まぁいいんじゃないか?
持って引き摺っている本人、桜井ママも楽しそうだ。
「もう、マジわからないわよねぇ。私、怪力すぎない? あははははー。嘘でしょう。全然重くないんだけど」
「疲れたら言ってくださいね」
桜井ママの背後を歩く消防士が声かけてた。
飛行機は周りの木を薙ぎ倒しながら移動していく。昨日、一昨日より時間がかかるのは仕方がない。こんな大荷物を持っているんだからな。敵が寄ってくるが気にせず進む。
木を薙ぎ倒す音で、昨日よりも多くの獣が寄ってくる。
「あ、経験値入った!」
桜井ママが嬉しそうにした。どうやら機体で獣を轢き潰したみたいだ。
「自分らには入りませんね」
「そうですね。パーティを組んでいないからでしょうか」
「パーティシステムとかあるんですか?」
びっくりして思わず聞いてしまった。スキルとかゲームっぽい世界と思っていたがまさかパーティシステムがあったとは!
「いえ、わかりません。が、ゲームだとそうじゃないですか」
あ、なんだ。空想か。
「え、でもあったよね? あれパーティシステムじゃないのか」
俺の後ろからクサが叫んだ。
「いやあれは、別にパーティとか関係ないだろ。普通にトドメを差したやつに経験値が入ってたぞ?」
「違うよ、トドメ差さなくても入ったよ?」
「ん?…………ああ、そうだ。誰かがトドメを差す前に一発入れとけば経験値を貰えたな」
「だろだろ」
「えっ!そうなんですかっ!」
自衛官と消防士の目が光った。ダメですよ。赤ん坊も居るし安全第一ですから。
自衛官…………いま、舌打ちしなかったか?気のせいか?
「奥さん、お手伝いします!」
消防士は嬉々として、機体の群がる獣に拾った石を投げつけていた。
「ちょっ、はみ出ないでくださいよ、腕食われても責任は取りませんよ?」
あ、こら、クサも一緒になって投げている。左側で赤ん坊の入ったバシネットを背負った自衛官が歯をギリギリと言わせていた。
「引っ張っているだけで経験値ぼろ儲けぇ〜」
ちょっと桜井ママ、自衛官を煽らないであげてぇ。早く帰ろう!
2時間の道のりが倍以上の5時間かかった。無事に到着出来て良かった。
「大丈夫ですか?」
あの、気弱そうな青年に心配された。




