60話 こんな格好ですが
機内から離れて午後の探索を続けていたある日、そろそろ引き返すかと思った直後に森の草木を掻き分けて頭に花の被り物を乗せた男が現れた。
黒髪黒目……一見すると日本人。
俺らと同じくあの変異でこの世界へきてしまった人かと思ったのも束の間、彼らは和服っぽい物を着ていた。
どうやら俺たちはジュラシックな異世界転移ではなく、パラレルワールドの日本に転移したのだろうか?
それにしても何時代だ? それに頭の上の謎の花。マタギがかぶる物じゃないよな?
俺にガン見されてる事に気がついた花を頭に乗せた男が慌てたように話し始めた。
「日本人です! 俺たち日本、こんな格好ですが令和の日本人です。着る物がこんなんしかなくて」
「そうです、自分は自衛隊、鳥取の米子駐屯地におりました。普段は普通の迷彩服を着とります!」
令和の日本人?自衛隊?
腰帯で止められた浴衣のような服をジロジロ見たせいか慌てて名乗った。
花を乗せた男は戦時中のような格好だった。頭のソレは花笠か?その後ろのふたりは浴衣のような物を着て、あ、足も下駄だ。令和とか嘘だろ? いや、パラレル日本ならそれもあるのか。
俺はまだパラレルワールド転移を疑っていた。
「違います! 今日は洗濯をしとります! 靴も洗い干してる最中です」
あぁ、まぁ、うん。俺らは機内の荷物で着れそうな服を物色したので着替えには困らなかったが、確かに身ひとつでこの世界に来た者は着替えに困るかもしれない。
困るだろうが、ソレをどこで手に入れた?
安全な場所でゆっくり説明をしたいと言われて不安だが着いていく事にした。
彼らは手書きの地図のような物を作っていた。
彼らについて進むに従って木の幹は痩せていき、いや、痩せると言うよりは若い(細い)と言うべきか。虫も獣も小さくなっていった。そして全く襲ってこない。
「このあたりは触れなければ襲ってきません。腹が減ってたら別かもしれませんが、今のところこの辺で襲われた者はいません」
そうなのか。
そして案内されて到着した場所には、家?が建っていた。
家? あれ家なのか?




