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俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?  作者: くまの香


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58話 漁夫漁夫

 機内に篭りっきりだったのもあるだろう、トリオとコンビが外へ出たがった。


 九条さんはそもそもスキルが無かったし、桜井さんはお子さんが小さい上、この機内がスキルだからな。3人は残るが、機内で身体は適当に動かしてもらう。でないと何かがありここを出ないといけない時に動けないと困るからだ。


 実は俺ひとりでは何度か外へと出ていた。この辺りにいる虫や獣を探るためだ。

 ここらは虫はあまり見ない。例の鳥獣のナワバリなのだろうか。


 鳥獣……毛深い蝙蝠のような、しかも体調が1メートル前後だろうか。頭と腕、足は禿げていて爬虫類のようだが身体と尾の部分には長い体毛が生えている。


 ふさふさではなくゴワゴワとした感じでとても撫でたくなる気はしない。ペットとしては飼いたくない。

 羊のようにふわふわとかならともかく、剛毛の塊で覆われている。


 開いた嘴の中には凶暴そうな牙が見えた。そこからはみ出た長い舌がこれまた気持ちが悪い。太いミミズが口から垂れ下がった感じで蠢いている。何本も。


 爪は年老いた魔女のように長くカーブをしている。もちろん硬そうな爪だ。


 前に倒した(ボックスにぶつかり自滅した)鳥獣の死体が地面にあったはずだが、俺が去った後に仲間(同種)がやってきて貪り食っていた。

 こいつらは同族も食べるのか。あぁ、森の中でもそうだったな。この世界の生き物は『自分以外は敵』なのだろうか?



 俺はこの数日、ひとりで機内から出て近場の森を探索した。

 俺のスキル『完全防御(箱型)』だが、敵の攻撃は箱の空間を通らない。


 箱(見えないんだが)を攻撃しまくって、疲れて諦めて去るケースも多かった。

 箱にそいつらをつけたまま移動が出来る。そのまま適当に移動していると、お互いに殺し合ってくれる。


 そして戦いで中身がはみ出たり手足や首がもげかかったりしたやつを、内側からね。ブスっとね、やってみた。


 尖った石を巻きつけた棒を作ったのだ。俺には物理攻撃のスキルはないし、殴る力もない。武器も普通に使っても敵が強すぎて倒せない。

 だったら防御の内側からトドメをさせばいいのでは?サクっとね。


 と言うわけで、俺の考えた戦闘方法は『漁夫の利』だぁ!

 アイツらが同種でやり合ってボロボロになるのを待って、ブスリ。

 イケル。意外とイケルんだよ、この作戦。


 俺はこの数日、この辺りを周りつつこの戦法で地味に経験値を稼いでみたのだ。



 その作戦をドド達に話した。女子は強いなぁ。直ぐに手を挙げた。

 うん、全員で外に出るのは危険だ。狭くて動きが鈍るからな。なのでひとりかふたりずつ、と言ったら女子3人が挙手したのだ。


 まずは倉田からで、残りは機内の窓から見ていてもらう。俺は倉田を連れて軽くその辺を回る。あっという間に鳥獣が釣れる。コイツらどんだけ腹減ってるんだよ。

 その割に木の上では戦っていないな。獲物の取り合いになると頭に血がのぼるのか?


 そうしてボックスにくっついた3頭が爪や嘴で争っている。



「急ぐな。よく見極めて、死にそうな奴をねらえ」


「わかった」



 倉田は俺の前に立ち、横から突っ込んで来たヤツに一瞬たじろいだが、直ぐに正面の上でやりあってる2体を睨む。劣勢だと見た方の目を目掛けて石槍を繰り出す。


 目を貫くが死ななかった。直ぐに槍を引こうとしたが抜くのに力が足りなく見えたので俺も手伝った。

 目から槍が抜け、頭を血みどろにした鳥獣にもう一体が攻撃をしかけた、それの首目掛けて倉田は槍を繰り出す。


ギィヤアアアア


 一体目クリア。

 鳥獣の雄叫びと同時に槍を引き抜いた倉田は、目を貫かれて血みどろになっている鳥獣に横から上がってきたヤツが仕掛けていったところを、首を狙い定めて槍繰り出した。


 二体目クリア。

 目を貫かれたヤツの首を狙い、刺す。

 三体目クリア。


 ちょっ、倉田女子、上手すぎん? ゲームやってなかったんだよな? リアル武道の達人か?



「さぁ! 次行きますよ!」


「あ、はい」



 戦闘民族か。

 その後もうまく戦うんだよなぁ。俺のように最後の一体の漁夫の利を得る、とかじゃないんだよ。

 首っぽいとことか目とをね、もう、ブスブス、これでもかってくらい。



「安全地帯からってやりやすいですね!」


「あ、あぁ」



 その『やりやすい』は、『殺りやすい』に違いない。


 何度か近辺を往復しては繰り返した。

 いちいち敵を引いては機体側まで来てからやるのには理由がある。ひとつは皆にもやり方のイメトレしてほしいと言う事。

 それから何かあった時にすぐに機内へ逃げ込めるようにだ。


 機体のハッチから声がかかった。



「倉田ぁ、交代しろよー」


「もっとやりたい」


「とりあえず交代だ。皆に経験してもらった方がいい」



 そうして順番に杏とドド、クサの3人も行った。紬のスキルは体力なので機内でスクワットだ。

 小学生の杏は背が低いので高校生と同じやり方では槍が届かない。なので引いて来た後に、俺が膝立ちになりボックスの高さを調整した。


 小学生なので力も弱いだろうから槍で突いて倒すのは難しいかもしれないと思ったが、スキルのおかげだろうか、倉田達と変わらずに槍を使って急所を突く事が出来た。


 気をつけないといけないのは、はみ出てはいけないという点だ。

 箱から少しでもはみ出したら食われちまうからな。サファリパークでも園内を回るバスから手足を出さないようアナウンスがある。パクっといかれちゃうからな、そこは十分気をつけて。



 機内に篭るストレスが晴れたのか、皆に元気が戻った気がする。紬は機内から出られなかった事で少し膨れていた。短時間だが散歩に連れ出した。

 その際は倉田にも着いてきてもらい、ボックスにくっ付いた敵を突いてもらった。


 途中で槍に使えそうな枝や石も拾った。

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