41話 大掃除
兄貴達が森へ救助活動に行っている間、ママさん達と作戦会議を開いた。
キッチンママさんから16畳ある仏間を避難所にしてはどうかと、伺う感じで話を出された。
トイレ、バスは共同になる。
ダイニングキッチン(のリビング)に現在の子供と女性なら窮屈だが十分寝られる。
男性も3人ならキッチンやダイニングの床に布団を敷ける。
「そうですね。それがいいかも」
「となると、向こうの押入れから必要な物はこっちに移動させない?」
「布団とか服とか」
今、俺たちには着替えがない。
俺も兄貴も自分達の部屋はこっちの世界に来なかった。仏間だけだからな。裕理くんのパンパンスや着替えもない。
それはトイレママや風呂ママも同じだ。
キッチンママさんは室内干ししていた洗濯物を畳もうと放置していた分だけ着替えがある。ただし洗濯ルームは移動して来なかったし、寝室の収納に入っていた衣服も無い。
凄いな。今時のマンションは洗濯ルームなんてあるんだ?
うちは裏の軒下に洗濯機があった、勿論、こっちに来てない。洗濯は風呂ママさんとこのバスルームでさせてもらってる。
着替えはうちの押入れ(たぶんジジババの部屋だった押入れ)から出てきた、着物や肌着、下着類を洗ってから使っている。何か知らん頂き物のタオルや手拭いも大量に出てきた。
ゴミ(あ、失礼)、物を捨てられない、ジジババや両親に感謝だ。
裕理くんやりりちゃんのおしめにも重宝している。
俺らはそれをキッチンママの空間へと移動させた。
「布団、全部は入らないでしょう? 何枚持ってくー?」
「あ、防災の水と食料は全部持ってきてぇ」
「待った、カラにして明日再生しないと困るから、箱と中に一個くらい残しておこうか」
「布系は持って行きたいけど、もう置く場所ないわねぇ」
「布団は上に乗って生活出来るからリビングに敷いてしまいましょう」
カビ臭いから外に広げておいた。少ししてキチママさんとこのリビングに布団を何重かに敷き詰めた。その上を子供達が楽しそうに転がっていた。
「うわっ、天袋……、ここ、開けた事ないでしょ」
「あ、すんません、俺ノータッチで……。兄貴も離婚や子育てで手一杯だったから」
「とりあえず出すだけ出すね。何これ、提灯に花笠???」
「庭、外に置いておこう。何かに使えるかもしれないし」
「そうねぇ、どっちみちこの世界にはゴミの収集車なんて来ないでしょ?」
「あ、ねぇ、蝋燭が結構出てきた、これ使えるわね」
うちの仏間前に、山が出来ていく。何、この量。押入れのサイズを超えていないか? うちの押入れ、まさかの無限収納?
俺はママさんらの指示どおりに動くロボットと化して、仏間の外に荷物を積んだり広げたりした。
途中昼飯や子供のオヤツタイムもあったが、引っ越しの十倍くらい疲れたぞ?
いや、俺、引っ越した事ないが、前に職場の後輩に頼まれて手伝った事があった。
安く済ませたいので業者を頼んでないからと、自分らの手で全て行った。とは言え男の一人暮らし、荷物も家電もそんなに無い。冷蔵庫も小さい。
あれに比べて、今日は仏間の押入れだけなのに、だけなのにぃ???
疲れた。
仏間の押入れと外(庭)を行ったり来たり、時に裏と言うか玄関側というか(いや、玄関どこだよ?)のキッチンママさん宅へも運び入れる。
短距離なのに。配送業者とかママゾンの倉庫業務のようだ。
あ、おれ、そんなバイトもした事なかった。想像です。
気がつくと日が暮れかけている。こっちの世界は、あまり陽が明るくない?
時間は地球と似ている。多少のずれはあるかもしれないが24時間に近い周期っぽい。(知らんが)
だが陽が明るくない。初日は曇りなんかなーと思った。
目に映る空は、青空とか白い雲……はない。なんとなく一面グレー。しかし夕方ぐらいになるとグレーが濃くなり始めて、暗くなる。しかし、昼間と違い月明かり……星明かり?で何となく照らされている。
地球じゃないよね、ここ。と思うのは、月より小さく、星よりデカイのが幾つか見えるからだ。
何あれ。何星???オリオン座どこ?
あれが起こったのは3月27日だったよな。あれから4日。
オリオン座って冬に見えるんだっけか。もしここが地球ならそろそろ4月、オリオン座は俺が住んでたとこでももう見えないか。
だがしかし!
俺が住んでたとこは、あんな小さな月……?か、デカイ星は見えなかったぞ。
やはりここは異世界に違いない!




