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俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?  作者: くまの香


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36話 新スキルきた

 実は話を聞いている最中『意識を失った』のくだりで口を挟みたくなった。が、最後まで我慢した。

 ひと通り話し終わったようなのを見計らって直ぐに聞いた。



「あの、意識を失う時、スキル選択画面とか出ませんでした?」


「なぜ……それを? もしかしてあなた方にも?」



 そして、山根さんは突然畳の上でorzになった。



「俺だけスキル貰って異世界チートじゃなかったのかぁぁぁぁ。おかしいと思ったんだ。体力(微)って、微って何だよ! 体力が微小って事かよ! ふざけんなよ、消防士なめんなよ! こちとら普段から身体鍛えまくって体力には自信があんだよ! なのに、なのに微小って……」


「あ……、その、なんて言ったらいいか、ドンマイ」


「あ、すんません、ちょっと取り乱してしまいました。ぐすん。それで、おふたりもスキルを?………まさか、あなた方は、物凄いスキルを貰っていたり? スキル勇者とか大賢者とか覇王とかぁ?……って事はこの異世界転移で俺はモブ……。いやモブから始まるモニャモニャ」


「清見、この消防士さん、お前の仲間だな?」


「え? きよみさんは消防の方で?」


「……いえ、ニートです。兄貴が言ったのはオタクの方。自分はオタク引きニートでして」


「あ、自分はオタク消防士です、よろしくお願いします。署でラノベを普及しとりました」


「うわ、凄いです。そもそも働いている事がすごいのに、それが人を助ける消防士! そして普及活動! トリプル凄いですよ!」


「いやいや照れるなぁ。引いててもニートしてても、そちらも凄いですよ。私を助けてくれたじゃないですか、もしやモブ王で?」


「すみません、あの、オタク談義はあとでゆっくりしていただいて、今は話を戻していいですか?」


「はいっ」


「あの、俺のスキルは物理攻撃(微)です。弟は回復(微)。恐らくスキルって最初は皆、『微』がついているんじゃないかな。スキルを使ってみましたか? 使うと経験値がたまるみたいです」


「経験値? スキルを使う? いや、逃げるので手一杯で使う余裕がありませんでした。どうやって使うんです?」


「兄貴は攻撃系スキルだから使いやすいけど、山根さんのスキルは『体力』って防御系っぽいですよね。防御系ってどう使うんだろう」


「あ、呼び捨てで結構ですよ? 逃げ回って体力は十分使っていると思うんですが」


「ちょっと待ってください。さっきも逃げるって言ってましたが、何かに襲われたんですか?」


「そう言えば、ここって大丈夫なんですか?」



 大丈夫ってどう言う事だ?なにかヤバイ事があるのか?消防士さんが逃げまわらなくてはならない何かが?

 兄貴が恐る恐る口にした。



「大丈夫……? 何に?」


「あの、巨大な虫だかなんかわからん生き物が襲ってくるでしょう? ここ、いや、何で日本家屋が建ってるのかわからんですが、外は危険ですよね?」



 俺と兄貴は立ち上がり襖を開けて庭(という名の仏間の前)や樹々に目を凝らす。

 とりあえず何も、居ない、気がする。



「音も、しないよな?」



 後から山根さんも来た。まだよろけている。

 ちょうど、仏間の角から鮎川さんがトレーに乗せた食事を持ってきたところだった。



 うちの16畳の仏間、仏壇がある面を仮に北としよう。

仏壇と向かい合った面、南側は一面襖でその襖を開くと居間があった。今は居間はない。ダジャレでない。


 仏壇に向かい左側(西)は一面障子扉である。上3分の2が障子で下が磨りガラスの昔風なやつだ。本来はその障子扉を開くと廊下、廊下の側面はガラス窓(雨戸も)があった。今は廊下もガラスも雨戸もない。つまり、障子の外は、外だ。


 そして仏壇に向かい右手側(東)一面が押入れだ。結構な容量の押入れだ。昭和を生き抜いた代、祖父母や両親は物をためる。いつか使うと言い、捨てない。断捨離などない時代に生きていた人たちだ。今は亡くなって大量の物だけが残された。


 さて、その今は無き居間があった襖の外にキッチンママさんのダイニングキッチンを移動してきた。

 廊下側の障子を開けると庭と言うか森が見える。押入れの裏側に位置する場所に、風呂とトイレを設置した。


 この辺りの木はせいぜい樹齢100年未満の割と細めである。

 それにたまたまなのか、うちの仏間の周りには木が無かったのでママさんらの建物を移動できた。

 とは言え、もう置けそうなスペースはない。いや、ちょっと奥へ入ると空いてる場所はある。


 山根さんが来たのは庭側の森からだ。日が暮れかかっていた。恐らくこの仏間しか見ていないだろう。


 鮎川さんが持ってきた食事は3人分だった。山根さんの腹が盛大に鳴った。

 俺らは庭(森)を見ながら食事をした。


 山根さんは最初はこの異常事態に食糧を貰っていいのかと遠慮していたが、食べ始めたら止まらなくなったようであっという間に完食していた。


 俺と兄貴が食べている間、先程の話の続きをし始めた。食事中に虫の話はやめてほしかった。

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