33話 どう言う繋がり?
謎の転移3日目。キッチンママさんとこで全員でコーヒータイムと作戦タイムを兼ねている最中だ。
子供はミルク、大人はコーヒーをいただきながらさっきの話の続きをする。今度は俺もちゃんと加わっている。(隅っこに)
「水と食糧に困らないなら、もっと人を探した方がいいと思うの」
「うん、空間スキル? 部屋とかキッチンとか、そう言うのが目当てではなくて純粋に孤立している人の救助、かなぁ」
「どんな人が居るのかわからないし怖い面もあるわね」
「だけど、もしかしたらうちの旦那がいるかもしれないし」
「それは、そうね。加瀬兄弟も、弟さんが家に居てお兄さんは外に居たけど直ぐに合流出来たのよね」
「うちは早い時間に家を出ちゃってたからもう会社に着いてただろうし、そう簡単に会える気がしないわ」
「んー、距離とか関係あるかな? 私は埼玉県で加瀬さんの自宅は東京の吉祥寺でしょう?」
「あ、うち、山口なんだけど」
「えっ、山口ってあの山口?」
「どの山口かは知らないけど山口県の山口市よ」
「山口県って九州の」
「ちょっと、失礼ね。九州じゃないわよ、山口は! 本州の広島県の隣よ」
「あ、ごめん。私、地理が苦手で。けど、東京から結構離れてるのに同じ森に?」
「うちは山梨県です。東京、埼玉と割と近い県かしら」
「私は山形県です」
なんか変な間が落ちた。
「山口、山梨、山形……。山の集まり?」
「東京と埼玉もいるから」
「そっか。……あの、出身地とかに山がついてたりしない?」
兄貴と顔を見合わせ、首を振る。
「いや、うちは親の親、ジジババの代から吉祥寺だ」
「うちは親の代で埼玉に越してきたって聞いたけど、それ以前は福島だった気がする」
「山繋がりじゃないのかぁ」
「地名はともかく、この近辺の人探しを続行するかどうかよ。幼い子供が居るから危険はなるべく避けたいわ」
「そうねぇ。犯罪者とかを救助しちゃう可能性もあるのよね」
「あの、でも子供連れなら犯罪者の可能性は低いんじゃないでしょうか」
「今どきは虐待親とかも居るから全てが安全とは限らないけどね」
「うん、でも、私は助けてもらって本当に安心出来たし、やっぱり孤立してる親子は助けたいなぁ」
「そしたら親子にタゲ絞って救助活動をしませんか?」
遭難者が『親子』か『そうでない』かどうやって判別するんだ?
そうか。
スキルでなら判別可能だ。絶対ではないが今ここに居る事例から、親子はスキルが『空間』、つまり建物である可能性が高い。つまり人探しと言うより建物を探すのか
けど、鮎川さんが見た『灯り』は周ってしまった。あとは闇雲に森の中を探索する事になる。
「色々と前途多難だな。助けるなら一刻も早い方がいい。しかし今のスキルで森をどこまで行けるか」
「そうですね。自分達の命をかけてまでしなくちゃいけない事かと言われるとちょっとね」
「目印の灯りを見つけるなら、夜に動いた方がいいのでしょうけど、夜に森に入るなんて死にに行くようなものだし」
「難しいわねぇ…………」
「今はここに居る全員が無事に今後を乗り切る事を考えましょうか? ここにも救助がいつ来てくれるかわからないでしょう?」
「そうですね。どこかに居るのかわからない遭難者まで気にかける余裕は僕らにはありませんね。今は自分のスキルを少しでもあげておきたい」
「そうですね。橘さん、私も一緒に訓練をさせてください」
「もちろん。どうぞ」
「ここまで来た遭難者だけ受け入れるって事でいいかしら」
「はーい」
「賛成」
うん。それでいいんじゃないかな。




