30話 森の中の生活
なんとなく森に一軒家が完成した。
部屋(仏間)に、トイレ、風呂、ダイニングキッチンだ。
現在ここに住む(避難する)事になったメンバーは、兄貴、裕理、俺の3人、それから鮎川さん。そして親子が3セット、トイレママと郁未君、風呂ママとりこちゃん、キッチンママのとこは子供がふたり居た、まなちゃんとりりちゃん。
大人6人に子供が5人の総勢11人、大家族だな。
大家族で部屋が1室は少ないが、うちの仏間が16畳と大きかったのが幸いした。
ダンボールや荷物を使い、うまく部屋を分けて使用している。
危惧していた飲み水と食料だが、森のなかで川を発見したり猪や野鳥が捕れたり、は、しなかった。
どの家族も普通の住宅街に住んでいて山暮らし未経験者だった。勿論うちもだ。俺は引きニートだったし兄貴は会社員で育休中のシングルパパだからな。キャンプが趣味とか聞いた事なかったし。
当然、森で生き物から肉ゲットなど、出来ようはずがない。と言うかあの巨大てんとう虫を見てしまってから、迂闊な森歩きは中止になった。危険危険、命大事。
では、食糧はどうなってるのか。
実はキッチンをゲット出来た事で当座の食糧が手に入った。
キッチンママはふたりの子持ち、上の子まなちゃんが3歳、下の子りりちゃんが10ヶ月だった。有り難い。裕理くんにミルクと離乳食を分けてもらえた。
因みに、トイレママさんとこの郁未いくみ君は2歳。風呂ママのとこのりこちゃんは3歳だ。
森のなかを探すともっと遭難者は居そうだなという話にもなったのだが、これ以上かかえるとあっという間に水と食糧が尽きるという意見も。
自分達は守りたい、でも、もしも同じような親子連れが森で困っていたら……、助けたい、でも…………。
皆、決めかねていた。
「水は、あの、お風呂の水でよければエンドレスで出るんですよ、不思議なんですが」
「そう、それ! うちのトイレもタンクの水が無くならないんです。何でかしら。トイレの照明は点かないのにタンクの水が使えるっておかしいんです。普段は停電したらトイレタンクの給水も止まってたのよ。あ、マンションだったので」
「電気は止まってるけど水は無尽蔵なのか? あ、ウォシュレットとかどうですか? 点いてます?」
「どうだったかな、そこまで気にしてなかったので。見てきましょうか?」
「気にならなかったと言う事は普段どおりに使えていた可能性が高いですね」
「あの、うちのキッチンも、水道から水が出るんです」
水道から水が出るのは普通だよな? 逆に水道以外から出たらびっくりだが………って、ああ!どこにも繋がっていないはずの水道から水が、って事かっ!
「つまり、キッチンのシンクの水道が使い放題って事ですか? それ、かなりチートだなぁ」
「ちぃと?」
「凄い技って事です。スキルの力かな」
「まさか、キッチンのガスや電気も使える……とか?」
場がシンと静まった。




