24話 発見
仏間を出て歩き出してから思い出した。
引きこもりの俺!どこ行ったぁぁぁぁ。何で見知らぬ女性とふたりで森をハイキングする事になったんだぁ。
待て待ておちつけ。この森は全てうちの庭。と思えば、まだ敷地内。うん、大丈夫。敷地内ニートだ!
「昨日は気が動転していたし、森歩きなんて慣れてないから案内できるかしら」
「だいたいで」
「とにかく灯りを発見して真っ直ぐ進んできたんで、こっちだと……それで、そっち側にも幾つか見えたけど遠そうだったんで」
「遠そう?」
「灯りが薄かったから」
木の枝を折り、目印を付けて右へと進む。目印を忘れたら大変だ。俺はこれでもかってくらい目印を付けまくる。もちろん押入れにはいってた軍手をはめている。素手で枝なんて折れません。
だいたい鮎川さんがひとりで喋り、俺は時々合いの手を入れる。うん、そういう感じなら会話が成り立つ。
鮎川さんが進むに任せる。俺はひたすら枝を折る。
おっ。杖にするのにちょうど良さそうな太い木の棒を発見。拾ってそれを突きながら歩いていたら鮎川さんが羨ましそう目で見てきたので、あげた。
「また拾うから」
「ありがとう〜。慣れない山歩きって疲れるわよね」
山じゃないけどと心で思うが口には出さない。
あ、みっけ。また拾った。兄貴も欲しがるかもだからもう一本見つけよう。
鮎川さんは前方を、俺は下を見ながら歩いていたら、鮎川さんにぶつかった。
「あ、ごめん」
顔を上げたら、前方にドア。
ドア?
ドアだけではない。簡易トイレくらいの大きさの、けれどプラスチック性のような簡易トイレとは違い、木製のドアが付いている箱型の………なんだ、これ?
こんな森の中に公衆トイレ???ドアノブもちゃんとある。
近づいてみる。ドアがあるからとりあえずノックしてみた。
コンコンコン
返事が無いのでそっとノブを回す。
ギギィ…
開けてみると、そこは、トイレだった。
普通に便器がある、日本でよく見るトイレだ。
どうなってるんだ?建物の壁はちゃんと地面に生えてる。そう言えばうちの仏間も地面の上に置かれたというより、地面から生えてる感じだったな。
「あの! 私、入っていいですか?」
鮎川さんが切羽詰まった感じだ。朝、外にトイレに行った気がしたが、用をたさなかったのか?
「ドアの前は、その、ちょっと嫌ですけど、離れられるのも不安というか、1mくらいのとこに居てもらっていいですか?」
「はいはい」
注文多いな。
「居ますかー」
「居ますよー」
水を流す音がした。水、流れるんだ???タンクの中の水を使い切った感じか?
てか、どこに流れていったんだろうな。この位置から見えるこちら側には流れてない。ちゃんと下水が完備されているのか?
異世界の、森の、不思議なトイレ。見た目は地球の普通なトイレ。
中から鮎川さんが出てきた。うん、出てきた。もしかして鮎川さんが消えるかもとか思っちゃってドキドキした。異世界って油断出来ないからな(?)
「あの! あの! 救助の人ですがっ!」
突然背後から声がした。




