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俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?  作者: くまの香


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23/112

23話 森の住民

 朝を迎えた。


 昨日起こったあれこれは夢ではなかった。

 うちは仏間だけになってるし、外は森だし。踏ん張るとスキルも見えた。


 昨日と変わらず。回復と空間(仏間)。



 家(仏間)周りに樹々が生い茂っているせいか、あまり明るくはない。もしくは、今日の天気は曇りなのだろうか?

 スマホも圏外だし、パソコンもテレビ無いので天気予報を見る事も出来ない。


 山の天気は変わりやすい……いつ、どこで聞いたんだっけ?傘もないよな。押入れに傘あるかな。無いよね。

 どんよりとした俺の気分を吹き飛ばすように、今朝も裕理は元気だ。


 目覚めてから改めてお互いに自己紹介をし合った。もちろん裕理の事も紹介した。


 軽く食事をとり、昨日の話に戻した。鮎川さんがここに辿り着くまでの話だ。

 ここに来た経緯は兄貴と似ていた。


 鮎川さんは兄貴と同じく、出勤途中で気を失って気がついたら森の中だったそうだ。

 ヘタに動くとさらに遭難すると思い、数時間はその場で待機していたそうだ。


 自宅からお茶を入れたボトルを持っていってるので水分補給は出来たが、食べる物はない。流石に昼を過ぎてから空腹も感じてきた。


 スマホは通じないし、叫んでも誰も居ない。それで移動する事に決めたそうだ。

 登り降りが少ない事から自分が居る場所が山ではないだろうと思ったそうだ。となると、川もないかも知れない。


 いや、山の麓の森で迷っている可能性もある。山でないと言うことは上下がないので進むべき方向を決めるのが難しい。

 どっちへ向かうのが正しいのか。


 持っていたスマホのコンパス機能は有難いことに生きていた。それで西へ向かう事にしたようだ。



「なんで西、なんです?」


 兄貴と鮎川さんの会話に思わず口を挟んでしまった。



「ええと、太陽って東から登って西へ沈むじゃない? それで西に進んだ方が陽が長いかと思って。東に行ったら直ぐに真っ暗になりそうな気がしたのよ」


「うわ、賢い」


「それがねぇ。西に進んでも直ぐに真っ暗になっちゃったの。都内の天気は快晴予報だったのにぃ。でも、都内の森じゃないのかなぁここ」


「そっか。地球じゃなかったら太陽は東から西へいかないのか」


「ここ、地球じゃないの?」



 俺はモニャモニャと誤魔化した。全くわからないから迂闊に話したくない。(きっとオタクとバカにされる)



「それでねぇ、もう真っ暗な森をスマホのライトだけを頼りに進んでいたの。そしたらね、小さい灯りが幾つか見えたのよ。それで、そのうちの1番近そうなところに向かって足を進めたの。もう、この家が見えた時は涙が溢れるし座り込みそうになるし」


「なるほど。それでうちに辿り着いたんですね」


「そうなの。でも、声をかける前に一瞬、ちょっとだけ躊躇しちゃった。ほら、怖い話とかであるじゃない? 夜中森の中で見つけた一軒家が実は妖怪とか狸の家屋敷だったとかって。それが思い浮かんじゃって。でもひとりでの孤独に耐えるくらいなら狸でもいいやって思って声をかけたの」


「お互いに人間で良かった」


「今の話で俺たち以外にもまだまだ森の中に居そうだな」


「えっ?」


「ほら、鮎川さんが見た灯り、幾つかあったって言ってただろ?それってあちこちで遭難者が出した灯りじゃないか?」


「なるほど。あ、でもさ、元々のこの森の住人って事も考えられるよな。鮎川さんが誤解したみたいにこの山……森に住んでいる人」



 兄貴が何かを考え込んでいる。



「…………そうだな。幾つか考えられる。元からの住人、うちみたいな建物? 鮎川さんのような個人の遭難者が出した照明、それから救助隊」


「そっか、救助の人の場合もありますよね、街の消防隊とか」


「どちらにしても早めに動いた方が良さそうだな」


「何で?」


「もしも、個人の遭難者なら水も食料も無場合も多いだろ。数日もてばいいほうだ。それに救助隊なら救助が出ているうちに遭わないと、救助が終了したらまずい」


「そうですね! 救助隊とか自衛隊が私達を探しているかも知れませんし」



 兄貴も鮎川さん前向きだが、俺は気になってしまう。救助隊ならいいけど、個人の遭難者だった場合、うちの防災物資もそこまで多くない。あっという間に無くなるだろう。


 それにふたりはここが『地球』という大前提で話している。もしもここが異世界なら、俺たちが出会うのは人間とは限らない。



「大丈夫だ、清見。救助隊を捜索するついでに川とか食べれそうな物も探す」



 兄貴には俺の心配はお見通しか。



「うちの近所に川なんか無かったけど」



 ちょっとだけ憎まれ口をたたいてみた。



「森も無かったからな」



 兄貴から笑いながら返された。



「あの……実は、うちもです。さっきは東京って言っちゃいましたが、ごめんなさい、埼玉です。ほぼ東京だから」



 ええと、鮎川さんにツッコミを入れるべきか、東京とか埼玉とかより、地球か異世界かが問題だ。

 鮎川さんはどこまで理解しているのか、でも俺は静かにしていよう。




「それで兄貴、どうする? 別々に動くのは危険じゃないか? 裕理くんを連れてくのも置いていくのも危険だし」


「鮎川さんに裕理を見ていてもらうか」


「鮎川さんには昨日灯りがあった方向を教えてもらった方がよくない?」


「そうだな」


「兄貴残って裕理と居てくれ、鮎川さんと俺がちょっと行ってみる」



 話はまとまり、鮎川さんが昨夜見た灯りのある場所へ、俺と鮎川さんが行く事になった。

 仏間から出て靴を履く。



「あの、何で長靴?」


「うちの玄関がどこかに行ったからな。俺の靴ごと」

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