103話 スキルの謎
-----(清見視点)-----
自衛官達はメキメキと経験値をためている。スキルも『微』から『弱』に上がったそうだ。前衛と呼ばれている一団は『中』になっている者も出たらしい。
何故知っているかって、毎日レベリングに駆り出されているからだよ!ポヨンさんのお供として!
スキルって謎だよな。
『微』から『弱』そして『中』ときたら、その先は『強』だよな。
ではその先は?その先があるのかは知らないが、もしもあるとしたら『強』の次は『大強』……いや、大強なんて言い方は無いか。
『最強』?……最強だと、ラストっぽいな。
ふと思う。ステータスボードやスキルが日本語なのは俺たちが日本人だから?
あの日のあの状況、俺らを襲った災害は一部の日本だけなのだろうか?
ここに集まった避難民は日本各地から来ていた。
もしも同じ事が海外でも起こっていたとしたら、当然ステータスボードやスキル名もその国の言語だよな。
物理攻撃……フィジカルアタック、微量……ベリースモール?その上は、『S』『M』『L』だろうか?どうでもいいけどね。
気になっているのは俺のもうひとつのスキル『回復』だ。
回復……単純な意味だと『もとどおりにする』だよな。
そう、快復じゃないんだよ。快復だとわかりやすい。病気が治るなどだ。
もちろん、回復でも病気が治る時に使う事もあるが、どちらかと言うともっと広い意味で使われていると思う。
俺のスキル『回復』はどうなんだろう?まだ微量すぎて判別する以前の問題だが、『元に戻す』イメージだろうか。
今までは擦り傷とかに「回復回復」と唱えていたが効果はイマイチだった。
経験値が微量すぎるせいだと思っていた。
だが。
切り傷はわかりやすい。切れた部分が繋がるイメージ、擦り傷なら剥けた皮膚が復活するイメージか。
その際に気をつけないといけないのはばい菌を入れたまま締めてしまう事だな。つまり閉じる前に要らんものを追い出す、そしてとじる。ふむ。
打撲はどうなんだ?打撲は皮膚の下で毛細血管が出血しているんだよな。
なので、毛細血管を整える。出てきてしまった血液はその辺に解散してもらう。ふむふむ。
骨折は、ポッキリ綺麗に折れた場合は骨がくっつくイメージか。
粉砕骨折とかボロっと折れた時は難しいな。これ、一般人が使うの無理なスキルじゃないか?
『回復』スキルは医者向き、特に外科医向きな気がする。引きニートの俺には無理だ。
待て待て、引きニートには引きニートなりの矜持がある。人を治すのは難しいが、物だったら?
回復=『回して復元する』もとどおりにする、なら、物でもいける?いけるよね?
割れたお皿をくっつける。敗れた服をくっつける。魔法のない世界、前の世界だったら絵空事だが、仏間で押し入れの物が再生する世界だぜ?
接着剤がなくても、針と糸がなくても、割れた皿とか敗れた服は直せないか?
俺は仏間の押入れを探る。
皿を……いや、勿体無い。まずはその辺の石でやってみるか。柔らかそうな欠けた石材を上から落とす。端っこが欠けた。
前に森の雑草でやった時はかなり大変だった。そうだな。草も人と同じでどういう成り立ちかわからないと『元』に戻すのは大変だ。
石なら、なんか単純そうだ。そう、生き物と違って死んでいそうだからな。
石にくっつけと念じる。「くっつけくっつけくっつけ……」
あ。くっついた。
以前から兄貴によく言われていた。清見は考えすぎると。回復も人が相手だとやはり怖い。物なら失敗しても大丈夫。
うん、回復スキルの訓練は暫くは物専門にしよう。




