102話 遺跡の生活
-----(清見視点)-----
凄かったな。
木箱から見つかった魔石(俺が勝手に魔石と呼んでいるだけ)でスキルが入手出来る事が発覚したのも凄かったけど、その後も隊員達が光りまくったのは圧巻だった。
石版前で熱き漢の咆哮が響き渡り続けた。ちょっとうるさかった。
しかし、おかげで自衛隊の一部を残して、皆が物理攻撃を取得したようだ。
あれから自衛隊は地下1、地下2を隈なくまわっているが、今のところ宝箱の発見は無いようだ。
地下3階以下に降りないのは、遺跡の大穴まわりの床石が脆くなっている事と明かりが届く範囲でも下が見えないくらい深そうで、3階以下へ行くのを断念しているらしい。
自衛隊のレベル上げは遺跡周りの森で行っている。
パワーレベリングの仕方が少し変わった。大島氏の防御ボックスだとせいぜいが4〜5人しか入れない。
自衛隊員全員がスキルを入手した今、もっと大勢が効率的に狩りをしたいそうだ。
そこで考えられた方法が、うちのぽよんさん達の力を借りる方法だ。それは当然俺も巻き込まれている。
俺は大島氏の防御ボックスの中、大島氏の足元に膝を抱えて座り込む。そこからぽよんさん達にお願いをする。
「トドメはささずに……半殺し、いや、9分殺しくらいでお願いします」
ポヨンさんらは森のアレやコレに飛びかかり、包み込んで、ぼいんぼいんとなぶってから引き摺ってきてくれる。
その死にかけに隊員さんらが群がってボコボコに。…………人間って。
もちろん死骸はその場で解体して食材にしてお持ち帰りになる。レベル上げと食材ゲットで、熱い漢達はウハウハだ。
俺、この世界で生きていける気がしない。
自衛隊は遺跡地下1〜2階の見回りを毎日行っている。あれからも魔物(昆虫や獣)やボスは出ない。そして宝箱も無い。
実はあの日、宝箱から出た石、グレー以外に深緑の石が幾つかあった。グレーの石はスキル『物理攻撃』だったが、深緑の石はスキル体力』だった。
それと薄紫がひとつ、そっちはスキル『気力』だった。
実は大発見があった。なんと、スキル『気力』はスライムのテイムが出来たのだ。
『テイム』と便宜上言っているが、魔法でも無いしテイムとステータスボードに載るわけでもない。
『気力』は、何かがスライムと通じるようだ。現在スライムをテイムしてい(便宜上テイムと呼ぶが)ママさん達のスキルは『空間』。
スキルでも『物理攻撃』はスライムをテイム出来ない。何が違うんだろう。
そもそも『テイム』ではないからな。うちもポヨンさんが親分で俺は子分みたいなもんだ。
ママさん達のとこのスライムは…………家政婦及びベビーシッターな位置付けか。
うちの裕理君もポヨンさんによく懐いているな。危ない事をすると叱ったりしている。ポヨンさんの身体の一部がビニョンと伸びて裕理君を捕まえて、『めっ』としている(ように見える)。
うちじゃ、ポヨンさんがお袋ポジションだ。ぷるん君とふるふるちゃん、ぱみゅんちゃんは裕理のお兄ちゃんお姉ちゃんだな。
そう言えば、ポヨンさんは大島氏のボックス越しに仲良くなった。通常スライムはドロドロだし攻撃的で直ぐにこっちを溶かしにくる。大島氏無しで仲良くは慣れない。
けど、ぷるん君はデロンデロン状態のスライムでポヨンさんが連れて来たんだよな。ポヨンさがそのデロンデロンの核を突いて、それから薄く伸びてスライムを覆った。そのポヨンさん越しに触れた。
核が割れかけてて、そこを突けと言われてる気がしたけど、俺の攻撃力なんてタカが知れている。突いても核は壊せない。
ポヨンさんのとき、突きながら回復かけたのを思い出して回復を唱えた。
ツンツン回復ツンツン回復、としてたら、デロンデロンだったスライムが丸まってきた。まるで水饅頭のようにポヨンさんに包まれたデロンデロン……改め、ぷるん君。
ポヨンさんが離れてもぷるん君はもう俺を溶かそうとしなかったんだ。そうしてポヨンさんは親分として子分を増やしていった。
この方法ってこの世界では合ってるの???
今はその親分と舎弟達が巨大蜘蛛をバキバキにしている。俺の横には自衛隊員も、武器(らしき棒)を構えてトドメを刺そうと待っている。
今夜はカニ鍋かぁ。




