10話 探索
岩盤地から避難民が去り、周りには静けさが残った。岩盤地のあちこちには血の跡も残った。
それ以外は残さず食べてくれた事には感謝する。食べ残しがあったらもうここには居られなくなる。
スライムは皆去ったようだが、砂の下に居るかもしれない。ドドとクサに監視は中断して少し休むように伝えた。
「大きな音を立てなければ大丈夫だと思う。下に降りるか?」
女子は首を横に振った。スマホで時間を確認すると午後2時過ぎか。アレが起こったのが8時半くらいだったからもう6時間経ったのか。
こんな事態になって申し訳ないが、ある意味良かったかもしれない。
「今のうちに水分と食事をしておいた方がいい」
小学生コンビは首を横に振った。そうだな。沢山の人が死んだ直後に食事をしろと言ってもな。
「そうか。うん、食べたくなったらでいい。それとトイレに行きたくなっても砂地には絶対に出るな。まだスライムが隠れているかもしれないからな。そうだな。そっち側の下はトイレに決めよう。したくなったらそっち側に降りて、この岩盤石の近くでしな。ここからは見えないだろ」
「わかりました……」
「あと、眠れるなら少し身体を休めろ。ドドとクサが休んでいるから倉田に見張りを頼めるか? ドド達が起きたら交代して倉田が休め」
俺の言葉で何かを察した倉田が不安そうな顔をした。
「あの、大島さんはどこかに行くんですか? どこかに行くなら私達も」
「私もお兄さんと一緒に行ぐ! さっき一緒、いっでいいって言っだ」
紬がグズグスと泣き始めた。
「大丈夫だ。置いていかない。ただこの辺を見回ってくるだけだ。絶対大丈夫だから安心して身体を休ませろ」
「でも、でもっ」
「大丈夫だ。俺のスキルは『完全防御』だからな」
あえて『箱型』のところは省いた。なんか格好悪いからな。
皆を岩盤石の上に残して俺はこの周りの探索へと出た。
岩盤地から砂地へ出る時は心臓が煩いくらいに打ちつけていた。
ザリっ
その音でスライムが寄ってくるのではと思うほどだ。
自分のスキル『完全防御(箱型)』がどんなものなのか全く不明だ。
そもそも常時稼働のパッシブスキルなのか、それとも敵の攻撃を受けた時に発動するアクティブスキルなのだろうか?
もしくは発動させるのに何かが足りず、まだ発動前とかだったら泣くぞ?
しまった、あっちで確認してみれば良かった。俺に向かい攻撃をしてもらえば何かがわかったかもしれない。叩いてもらうとか石を投げてもらうとかやりようはあったのに、失敗したな。戻ってから確認するしかないか。
一応探索は2時間と倉田には伝えた。1時間で引き返せば2時間後には岩盤石に戻れる。
俺はスライムに注意を払いつつゆっくり静かに真っ直ぐに進んでいく。所々、書類を千切って丸めた小さい印を残す。スライムに食べられない事を願う。
まぁ、真っ直ぐに進むので目印が無くなっても方向を間違えなければ帰れるはずだ。
時々スライムは目にする。動かないな。近づいたらわからないがこれくらいの距離ならこっちへ来る事はない。腹がいっぱいなのかもしれないが。
そして、今のところそれ以外の生き物に遭遇しない。
やはり『スライムの惑星』なのか。……嫌だなぁ。
そんな事を考えながら静かに移動をしていると、今までゴロゴロとした石と砂だけだった足元に、短く小さな植物が生えている事に気がついた。
見ると、ポツポツと、それらがだんだんと増えていく。
だが油断は禁物だ。肉食植物な事もありえるからな。地球に居ないスライムが居るくらいだ、肉を食う植物が居ても驚かない。
だんだんと増えてくる植物、もしかすると水や食べ物にありつけるかもしれない。
散った避難民には出会わない。こちらへは逃げなかったのかも知れない。全員食べられたとは思いたくない。
と、ここでアラームがなった。音量を下げていたのに、その音にビクついてしまった。
1時間経った。戻ろう。長居は禁物だ。
黙々と元いた場所目指して歩き続ける。目印もあった。方角は間違っていないはず。
時間を確認するとUターンから30分経過か、まだ先だな。
探索しながらの行きより帰りはサクサクと歩いているからあと少しで戻れるかもな。
そう思いながらも足元に注意を配り進んでいると遠くから悲鳴のようなものが聞こえ顔を上げた。
こっちに向かって走ってくるのが見えた。トリオとコンビ。




