渇望
どこまで歩けば、大人になれるのか。
それを知っている人はどこにいるんだろうか。
やっと大人になれて安心できたと思ったら周りにはもっと立派な人やしっかりした人がいて自分はまだ幼いんだと自覚させられる。
一生頑張れっていうのは残酷だ、ここまで頑張ってるのにまだ頑張れというのか。
やっと自分にだけしかないものを見つけたと思ったら、それは誰もが持つもので。
誰もが持っているものをもっているだけで幸せと思うべきなんだろうが、だけど私が欲しいのはきっとそれじゃない。誰も持っていないすごいものが欲しいんだ。
じゃあ他のものはいらないねと言われたら、それもいるのと言うんだろう。
わがままだ、ひどく幼い。
見ている夢の幼さに気が付かず、ずっと手に入るわけがないものにずっとほしいと願って。
星に願いをかけても星をつかめないように。
星の輝きを見つめるしか能がない私に。
どれだけ積んでも無駄なんじゃないか、どれだけあがいても、本気になっても届かないんじゃないか。
そんな不安がいつもよぎる。
必死にならないっていい。
だってつらくなくてふわふわと浮いているだけで私の中の正義は許してくれる。
でも真剣で必死なものは怖いんだと、私は初めて知った。
何をするにも本気になったことなんてなかった。
だってそれで大体のことはできていたから。
周りができることができなくなっても焦りはしなかった。
だってそれは私に必要のないものだと分かっていたから。
どうせ近いうちに死ぬ運命の人間に何を期待しろと言うのだろう。
だけど私は今生きたい、ひどくひどく私の中の欲求に正直であろうと決めた時から。
必死はつらい、本気は怖い。
いつも全力疾走なんてしたことのなかった心臓が、もう無理だと、休もうと言ってくる。
あぁ休みたいさ、私だって。
止まってしまいたいさ、こんな苦しいこと望むわけがない。
だけど思うのは簡単で、作ることができる人間が少数派で。
私は少数派でいたいから、どんなことよりも私はこの道で誰かに負けるわけにはいかないから。
どれだけ自分が幼いと分かっていても、どれだけ私が考え足らずでちっぽけだと知っていても、
それでも諦められることだったらきっともうとっくに死んでいる。