最終演目
あ~あ もう少し君と
上からの命令で、君を殺さないといけないんだ。
だから……
その次の言葉は出なかった 私は今から君を殺さないといけない
『 いい加減始末しろ。』だってさ。
上からそう言われたから私はやるしかない。
私は彼にいつもみたいに笑いながら語りかける
裏切りなんて簡単な仕事だと思ってたのに
「思い出」…?ないよ、そんなものなんて。
君との思い出なんてあるわけないじゃんか。
咄嗟に出た嘘だ 思い出なんて数え切れないほどある
ただ、もう今更戻れるはずがない。あの頃みたいに笑い合う日は戻ってこない
「まだ戻れる」?そんなの無理に決まってるじゃん。今更私は君達の元には戻れないよ、だって私は「そっち側」の人間じゃない。
少し言い過ぎたように感じるが、もう関係ない__私達はもう敵なんだから。
もう戻れないんだよ、あの時みたいに笑い合うことも、一緒に行動することも……何もかも出来ないの。そういうものだから仕方ないんだよ、だから早く死んでよ!
つい口走ってしまった、もう本格的に戻れない。
__本当に、やるしかないんだなぁ
私だって戻れるなら戻りたいよ!でももう無理なんだよ!!これは命令なんだから__だから、だから私は……!!私は!!!
呼吸が荒い、涙が止まらない、私は、私はどうすれば良かったんだろう。本当はそっち側に行きたかった
そして、彼に伝えたいこともあった___言えるはずもない感情だけど、どうしても"さいご"には伝えたかったな。あ~あ。
もう少し君と、一緒に居たかった
最期の最後まで、本音隠しちゃったな。本当はね、君のこと、好きだったよ
___そういって、死んでいった。"しゅうえん"を見せていったその顔は穏やかで、でも泣いていた。
好きだったんだ、ずっと前から 言い出せずにいた言葉を目の前の骸に喋りかける。何も返答は返ってこない、その声を聞けることはもう二度とない
__もう、何も一緒に出来ない
もう少し君と一緒に居たかった。また次があるのなら、今度はハッピーエンドになるようにしたい…なんてのは馬鹿らしいから。
___さようなら。