第7話 お土産
「おっ、校長先生と……アキレアさん? 」
ズイマがニコニコしながらやって来る。肩には大きな魚を背負っていた。
「おーっ、なんたる芳しい香り。その魚はなんじゃ。新しい料理かの? 」
ズイマはニコニコしながら答える。
「巨大魚の丸焼きの腹に、発酵小魚と熟成チーズとドリアンを刻んで、特製スープで煮込んだ物を詰め込みました。今は口を紐閉じてるので匂いませんが、紐を解くと芳しい香りが食欲をそそります 」
「ヤバイ、ヤバイ 」
狼男の少年が鼻を押さえながら、ズイマの周りをグルグル回る。
「ヤバイ、ヤバイ 」
他の子供達も鼻を押さえながら、ズイマの周りをグルグル回る。
「アキレアさんが居るという事は、アイリスさんもいますね 」
「あぁ、姫様のお付きで来たんだ 」
鼻を押さえながらアキレアが答える。
「しまった。一人分しかお土産を持って来てないや。アイリスさんにも渡さないと……」
「いや、遊びに来たわけでは無いから、お土産は必要無いんだ 」
「仕事なら国王陛下への献上品も必要ですね。そうだ家の倉庫で熟成させているアレを用意しよう 」
「ヤバイ、ヤバイ 」
子供達がアキレアの周りを鼻を押さえながら回る。
「ウルルン君。この魚を持っていてもらっていいですか? 」
「はい、先生 」
狼男の少年ウルルンは魚を受け取った。
「よし、家に取りに帰るので待ってて下さいね 。絶対に帰っちゃ駄目ですよ 」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!
ズイマは全力で家に向かって走って行った。
猫老師はアキレアに問う。
「ちょっと待ってて貰って良いかの? 」
「国王陛下にヤバイ物を献上したら私達が叱られます。姫様の立場が悪くなりますので、私達は帰りますよ 」
「ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ……」
魚を両手で持って鼻を押さえられ無くなったウルルンは、涙を堪えながらアキレアの周りを回る。
「ヤバイ魚はどうするんじゃ? 」
「私達の好みではありませんが、貴方はお好きなようですね。差し上げますよ 」
「おーっ、話がわかるの。儂はズイマの料理が大好きなんじゃ 」
アキレアは笑顔の裏で思考する。悪食め。あんな臭い物を食うのか?口を閉じてアレだぞ。開けたらとんでもない事になるぞ。この猫老師、臭い息とか使いそうだな。
「それでは、いずれ会う事になりましょう 」
シュン!!
アキレアは高速移動で走り去った。
「助かったわね 」
「今回はかなりヤバかったの」
猫老師の元にシルヴィアとパパラスがやって来る。
「おぉーっ、シルヴィア先生にパパラス先生。素晴らしいお土産をもらいましたぞ 」
「それは良かったですな 」
パパラスが一歩下がる。
「校長先生がお持ち帰り下さい。 」
シルヴィアが2歩下がる。
「どうしたんじゃ? 」
「いゃー、少し疲れてしまいまして……」
冷や汗をかくパパラス。
「わかったぞい。誰か、他に分けて欲しい者はおるかの?」
「……」
「……」
「……」
「姫様!! 」
「アキレア!!パパラスとシルヴィアは? 」
「ズイマが戻って来ました。今、国王陛下への献上品を取りに行っております 」
アイリスの顔が青ざめる。
「また怪しげな料理を献上するつもり? 」
「家の倉庫で熟成させている物だそうです 」
アキレアが苦々しげに答える。
「臭いに決まっているじゃない!! 」
決めつけるアイリス。
「姫様、急がないと、また戻ってまいりますぞ 」
「ミック、そういう事で今日は帰るわ。忠告はしたわよ。早く私の部下になる事ね 」
「じゃあな 」
ミックが左手を上げる。
「じゃあね 」
アイリスが右手を上げる。
アイリスとアキレアは帰って行った。




