第5話 切り札登場
「姫様ではミックさんを最後まで抑えるのは難しいでしょう。しかし、ミックさんも姫様に怪我をさせるとは思えませんがね。
ただズイマさんが来ると厄介ですからね 。その前に貴方達を人質にして、連れ帰るしかありません 」
アキレアが剣に魔力を込めると、剣の輝きがドンドン増していく。
「眩しいの……」
「ちょ、ちょっと、本気出しちゃダメでしょう 」
「全力で防いで下さい。気を抜くと大怪我をしますよ。 魔法剣技!! ライトニング ウェーブ!!」
ギュン!!!
光の波動がパパラスに突き刺さる。
ドガッ!!
「ぐぼぉ!!」
弾き飛ばされるパパラス。
「パパラス!! 」
シュン!!
弾き飛ばされたパパラスの後ろに、剣を構えたアキレアが現れる。
「まず一人!! 」
ズダーン!!!!
パパラスが地面に叩きつけられた。
「パパラス!! 」
シルヴィアがパパラスの元に駆け寄る。
「二人目!! 」
シルヴィアの後ろにアキレアが現れる。
アキレアが横薙ぎに剣を振る。
「させません!! 」
ズドン!!
飛び混んで来たツーリの幹にアキレアの剣が食い込んだ。
「うぐぐぐぐ……」
苦しげな呻き声を出すツーリ。
「ツーリ!! 」
シルヴィアがツーリの元に向かおうとする。
「あ、姉さんは会長の回復を……」
「だ、駄目よ。貴方も 」
「シルヴィアさん。パパラスさんも重傷ですよ。先程からピクリとも動きません 」
冷たい目のアキレア。
「くっ!! 」
シルヴィアはパパラスを見る。
「あ、姉さん。先に会長を……」
「わかったわ!!無理しちゃ駄目よ。ツーリ 」
シルヴィアはパパラスの元に向かった。
アキレアの剣が少しずつツーリに食い込む。
「ツーリさん。私はミックさん達を殺すのは禁じられていますが、魔族を殺すのは禁じられていません。私の仲間は大勢魔族に殺され、私も大勢の魔族を殺しました 」
「な、何が言いたいのですか? 」
苦悶の表情を浮かべるツーリ。
「私は姫様の守役、姫様の意思は尊重します。しかし魔族は信じません。信じられない物を見てきたからです。人魔共存などあり得ません 」
「ツーリ様を助けるんだ!!」
アプルンが自らの林檎をアキレアに投げつけた。
「アプルンに続け!! 」
梨の人面樹ナッシーノが、椰子の人面樹ヤッシーノがそれぞれの実をドンドン投げつける。
ガンッ!! ガンッ!! ガンッ!!
ガンッ!! ガンッ!! ガンッ!!
ガンッ!! ガンッ!! ガンッ!!
「フッフッフ、どうだ、痛いのなら、ツーリ様から離れるんだ 」
勝ち誇るアプルン。
「……勇者に果物でダメージが通るわけ無いでしょう 」アキレアは平然とした顔で剣に力を入れる。
「ぐわぁあああっ!! 」
悶絶するツーリ。
「く、くそぉ。俺の椰子の実が効かない!!」
「お、俺の梨もだ!! 」
「ツーリさん。貴方はシルヴィアさんを庇った。貴方は立派な魔族です。ただ人間じゃなかったのが残念です……」
「第2陣 前に!! 」
果実が無いので指示役を買って出たグレプンが指示を出す。
ミカンの人面樹ジレンオが、トマトの人面植物トマティンが、スイカの人面草スイーカが前に出る。
「打てーっ!! 」
ベチャ、ベチャ、ベチャ
ガンッ!!パカッ、ベチャ
ベチャ、ベチャ、ベチャ
ガンッ!! パカッ、ベチャ
「くっ、汚い手を!!」
果汁まみれになるアキレア。
「最小の犠牲で済ませようと思っていましたが、無駄な抵抗をするのなら……仕方ないですね 」アキレアの剣を持っていない左手に炎が巻き起こる。
「駄目よ!! みんな逃げて!! 」
パパラスを回復中のシルヴィアが叫ぶ。
「もう遅い!!極炎魔法!! 」
人面樹達に炎が襲いかかる。
「ぐわぁあああ 」
「ぎゃああああ 」
「うわぁあああ」
「ひぃいいいい」
炎に焼かれ悲鳴を上げる人面樹達。
「誰か!!誰か助けてくれよ !!」
狼男の子供が泣きながら叫ぶ。
「人面樹さん達が死んじゃうよ!! 」
「先生、先生助けて!! 」
「お願い!! 」
「助けてよ!! 」
助けを求めて騒ぐ子供達。
「委細承知じゃ!!」
一陣の風が巻き起こりアキレアに迫る。迎え撃つアキレア。
ガンッ!!
アキレアの左の拳が何者かの拳とぶつかり合った。
「何だ貴様は? 」
アキレアが問う。
「 儂は魔王軍二天王が一人。猫老師じゃ!!」
猫老師はアキレアを掴むと、回転してアキレアのアゴに蹴りを入れる。
ガンッ
蹴りを決めて、跳び離れる猫老師。
衝撃で口から一筋の血を流すアキレア。
「こんな小さな国にこれほどの魔物がいようとは……名を名乗れ!! 」
猫老師は小さな身体を伸ばして、胸を張って答える。
「儂は猫老師……名前は忘れた……」




