第37話 激戦
巨大軍隊蟻の大群にシーデス人魔国が襲撃されて丸一日が過ぎた。
「秘書室長、現在の状況を報告してくれ 」
「四方から攻めて来た巨大軍隊蟻の先頭集団の一部は第3次防衛線に到達。避難民を魔王城に送り出した後に残った部隊が、各地で戦闘中との事よ 」
「馬鹿な!!撤退指示を出したのだぞ 」
「無理よ!!誰かが残って蟻を引き付けないと、避難民を逃せないわ。
皆、自分の意思で仲間を逃して戦っているの 」
泣きそうなシルヴィア。
ガン……
力無く壁を殴るシーデス。
「ワシが行こう 」
「猫老師…… 」
「このままでは、多くの者達は魔王城に着くまえに死んでしまうじゃろ 」
「しかし…… 」
「どこかに女王蟻がいるはずじゃ。そいつを倒せば奴らは統制を失い散っていくじゃろ。
1方からならわかる。しかし4方から巨大軍隊蟻が攻めて来るのは変じゃ。きっと何か裏があるはずじゃ 」
「確かに……しかし、女王蟻の位置がわかるか 」
「恐らくは働き蟻では無く、大型の兵隊蟻が多い方向じゃな 」
「それなら、わかるわ。北の方角が明らかに大型の兵隊蟻が多いとの報告が来ているわ 」
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シーデス人魔国第3次防衛線 南砦1では隊長のオリーブの人面樹オリーブンさんが人面樹部隊を率いて奮戦していた。
「はぁはぁ、蟻の奴ら、垂直の壁を平然と上がって来やがる 」
「オリーブンさんがいなかったら、大変な事になってたな 」
「あぁ、オリーブンさんのオリーブの実のオリーブオイルで、さすがの奴らも壁が滑って登って来れないなんてな 」
「しかし、私のオリーブの実もあとわずか……その時は…… 」
「気にしないで下さい、オリーブンさん。貴方のおかげで、ここまで戦えた。死ぬ時は一緒です 」
「すまない……、いや、ありがとう 」
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第3次防衛線 東第2砦には、大勢の避難民が押し寄せていた。この地域は人口が最も多い。隊長の猫魔導四天王の一人、ペルシャ猫のペルシャンが避難民を更に魔王城に送り出すべく、あくせくしていた。
「よ〜し、休憩が終わった人達から順次出発するニャン。時間が無いニャンよ。とっととするニャンよ 」
焦りまくりのペルシャン。
「ペルシャン様!!物見の者より蟻の大群が1km先まで到達との連絡が入りました!! 」
「にゃ、にゃに〜、ニャンだって!!どうするニャン、どうするニャン…… 」
グルグル回りながら考えるペルシャン。
「仕方ないニャン、僕と魔法が使える猫魔導達で、奴らを止めるニャン。ペルシャン第1魔法戦隊、一緒に来るニャン。避難の方は副長のお前に任せるニャン 」
「し、承知致しました 」
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魔王城北門では猫老師、シーデス、シルヴィアが集まっていた。
「では行ってくるぞい 」
「うん 」
「頼む 」
「では 」
猫老師は頭を下げるやいなや、猛スピードで駆け出して行き、あっという間に見えなくなった。
「大丈夫かしら……さすがの猫老師でも、相手が悪いわ 」
「猫老師は、ピンクミイラさんに強敵が来た場合の対応を任されていたから、責任を感じているのだろう 」
「あとは、ミック達やズイマ達が早く帰って来る事を願うわ 」
「うむ 」
「そうだ、ツーリは大丈夫かしら 」
「大丈夫だ。奴はダメそうに見えて、何があっても自らの責任を果たす男だ 」
「ふん、知ってるわよ 」
二人は文句を言い合いながら、城内に戻って行った。




