第35話 緊急事態
一部内容を変更しました。
シーデス人魔国は大陸中央部にある山岳地帯の森林と平原の国である。その国境は見通しの良い平原地帯に敷いており、国境警備の高台を500m毎に設置していた。
「ふわわわ……眠い…… 」
国境警備台西A2の頂上ではブドウの人面樹グレプンとトマトの人面植物トマティンが警備に付いていた。
「グレプン、だいぶ生え揃ってきたじゃないか 」
トマティンがグレプンのブドウに手を伸ばす。
「おっと、やっと生えてきた大事なブドウに何をするんだ 」
「ふひひ、オイラが美味しく食べて…… 」
カーン!!!
カーン!!!
カーン!!!
「緊急の鐘!!どっちだ!! 」
トマティンの表情が引き締まる。
「西A3猫魔導部隊の持ち場だ!! 」
流し目のグレプン。鐘の音のリストに目を通す。
ゴーン!!!
ゴーン!!!
ゴーン!!!
ゴーン!!!
「何? 」
「に、西A1ミイラ男部隊の持ち場
持ち場の両サイドから鳴り続ける警戒の鐘。まさか……顔を見合わせていた2人は慌てて、国境方面を見渡した。
「さ……最悪だ…… 」
トマティンは膝から崩れ落ちる。
国境方面の平野を埋めつくす真っ黒な影。巨大軍隊蟻の大群が迫りつつあった。
巨大軍隊蟻は体長50cmほどの蟻型モンスターである。。1匹1匹の戦闘力はそれほどでも無いが、死を恐れぬ大群に出くわした場合はSSS級大魔王並の危険度となる。
「トマティン、第2次防衛線に撤退だ。急がなければ死ぬぞ!! 」
グレプンは鐘を2回鳴らして、トマティンをつまみ上げると、第2次防衛線に向けて駆け出した。
いずれ攻めて来る人族、魔族の大群に備えての作戦計画は出来ている。敵わないと判断した場合は、緊急の鐘を鳴らした上で速やかに、第2次防衛線まで撤退するのだ。
国境線から中心部にある魔王城までは複数の防衛線が敷いてあり、兵力の乏しいシーデス人魔国の国境線はあくまで警戒の為に敷いてあるのだ。
第2次防衛線の砦ではウサギの魔物が優れた耳を活かして情報収集をしている。この警備台の責任は果たした。後は逃げるだけだ。
人面樹界1の快速ランナーの名にかけて必ず逃げきる。グレプンは第2次防衛線に向けて駆け続けていた。
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魔王城シーデスの間では留守役の最高幹部と情報将校が集まって情報収集し、対策を協議していた。
「シーデス様、各国境警備隊は第2次防衛線まで撤収中です 」
「巨大軍隊蟻の大群相手では第2次防衛線では持たない。第3次防衛線まで撤収させろ 」
「はっ 」
「シーデス閣下、第3次防衛線内の各市町村の住民は魔王城に向けて撤収中よ 」
秘書室長のシルヴィア。
「うむ、担当地域の住民の避難が終わるまでは各防衛線を維持、避難完了後に各防衛線を破棄、撤収し、魔王城にて敵を迎え撃つ 」
「わかったわ 」
「しかし……ミック、ズイマ、ピンクミイラさんと主力がいない時に攻めてくるとは 」
ため息をつく猫老師。
「仕方ない。我らは小国、動ける時に動かねばならぬ。当初の計画ではミック、ピンクミイラ組は5日後、ズイマ、パパラス組は10日後には戻ってくるはずだ。近くまで戻れば異変に気がついて、奴らも足を早める。それまで凌ぐぞ 」
「『「『「はっ!!」』」』」




