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第34話 剣帝パルタス編2

「愚かな人間の言う事などわからぬ 」


 2匹の蛇に噛み付かれボロボロになった戦士は、数十メートル級の大蛇に丸呑みにされてしまった。


「不味い、不味い、もっと美味いものが食いた…… 」


 その時、大蛇の上半身からカッと閃光が走り、轟音と共に大爆発を巻き起こした。粉々に砕け散る大蛇の頭部と首の部分。


 戦場のあちこちで大爆発が巻き起こり、巨大な大蛇の頭部などが砕け散っていく。


 ・

 ・

 ・

 ・


 蛇王ガラシュは近くで起きた爆発を見て、指示を飛ばした。


「食うな!!人間共は自爆しておる。キチガイどもじゃ!!食うてはならぬ!!叩き潰すのじゃ 」


「わかっ…… 」

 ガラシュの側近の首が返事を言い終わらぬ前に切り裂かれた。命を失った巨大な大蛇の亡骸が地を震わせ、舞い上がる土煙の中から1人の男が現れる。


「シュシュシュ、顔の右側を隠す仮面、全身の無数の傷……お主が魔王狩り 剣帝パルタスじゃな。

 よもや、たった一人で我々の本陣に来るとはのう 」

 蛇王ガラシュが側近共に話しかける。


「まっこと、まっこと 」

「愚かの極みじゃ 」

「蛇王様はS級大魔王じゃ、貴様が倒してきたBC級魔王の連中とは格が違うんじゃ」

「我ら側近衆もBC級魔王の力はあるんじゃ 」


 騒めく大蛇達を冷たい目で見るパルタス。


「シュシュシュ、パルタス殿はビビって動けんみたいじゃ、皆の衆、叩き潰すんじゃ!! 」


 側近の6匹の大蛇が巨大な尾を振りかざした。ゆっくりと見せつけるように揺らしている。


上限開放(じょうげんかいほう)

 パルタスは小さく口ずさむと漆黒の剣を上段に構えた。その口元は僅かに歪んでいた。


 轟音を響かせ6本の巨大な尾が、パルタスに向けて叩きつけられた。轟音が響き大地が揺らぎ土煙が舞い散る。


「シュシュシュ、愚かなり小さな人間よ。

 我々に逆らった罪はお主の命だけでは済まぬ。

 お主達を殲滅した後で、パルタス帝国攻め込んで、憎っくき人間共は皆殺しじゃ 」


「何か言ったか?」

 土煙が晴れ、上段に剣を構えたパルタスが現れた。大蛇達の尾は両断され、側近衆の身体は真っ黒に染まり死んでいた。


「何じゃ?何が起きたのじゃ 」


「罪を償う時が来ただけだ…… 」


 蛇王ガラシュは思考する。何が起きた。何故巨大蛇族の側近衆が尾を両断されたぐらいで死んでいる。何故、真っ黒になって死んでいる。熱で焦げているわけではない。ならば毒か呪いか……とにかく時間を稼がねばならぬ。


「シュシュシュ、見事じゃな。剣帝パルタス。どうじゃ、ワシらの仲間にならぬか…… あれ、おらぬ」


「上限開放…… 」

 蛇王ガラシュは自分の頭の上からの小さな呟きを聞き留めた。そして、それは蛇王が最後に聞いた声となり、真っ黒に染まり死んだ。





「パルタス様!! 」

 パルタスの側近達がフラフラのパルタスに駆け寄り、肩を貸す。


「蛇王ガラシュと側近共は倒した。蛇王軍は機能せず、他の魔王軍は守りを固めて動けないだろう。今のうちに街に残る人々を救出し、そのまま離脱する 」


「『「『「はっ!! 」』」』」




 パルタス軍は2千名を超える死傷者を出しながらも、蛇王ガラシュと側近、多くの巨大蛇族を打ち取り、蛇王軍を壊滅させ、守りを固めた3つの魔王軍の間隙を縫って都市国家ホブロスの生き残りの兵士約300人、市民約800人の救出に成功した。そのニュースは瞬く間に世界を駆け巡った。




数日後、ある街の食堂にて


「スキッド、グレース、大ニュースだ。全滅寸前の都市国家ホブロスからパルタスが最後の生き残りの1000人ちょっとを救出したらしい 」


「俺も聞いたぞ。明らかに罠にしか見えなかったから、さすがに無理だと思っていたが 」


「パルタスって狂気めいたところはあるけれど、どんな状況でも、それが罠にしか見えなくても、助けを求められたら、必ず助けに向かうわよね 」


「あぁ、剣帝は呪われているだの、自爆する死兵の部隊がいるだの、怖い噂も多いし、犠牲も多いけどな 」


「剣帝パルタスはミックさんの師匠なんだよな 」


「あぁ、幼少期に拾われたミックさんは剣帝パルタスの一番弟子であり、またパルタス夫妻の子供のような存在だったらしい 」


「何で出奔なんかしたんだろうな…… 」


「……わからないわ。でも、いつか……仲直り出来たらいいわね 」


「そうだな 」

「あぁ 」


ラナ共にまた会えるといいなと思う3人であった。




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