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第31話 呪樹結界

「おぉーっ、人面樹の国の方々か。頼む、ズイマを、戦う2人を止めてくれ 」


「我が友、パパラースの願いを承りました 」


 バオバブの人面樹のバオさん、竜血樹の人面樹のリュッケさん、ドリアンの人面樹のドリーさん、ショクダイオオコンニャクの人面花のショークさん、スタペリアの人面花のスタペンさんが、それぞれ闘技場の端々に散らばった。


 バオバブの人面樹のバオさんが枝を複雑に交差させて、バババッと印を結び叫んだ。


呪樹結界(じゅじゅけっかい)!! 」


 他の4人も枝を複雑に交差させてバババっと印を結んだ。


「呪樹結界!! 」

「呪樹結界!! 」

「呪樹結界!! 」

「呪樹結界!! 」


 4人も高らかに叫ぶ。


 5人の足元に光の線が繋がって五芒星が光り輝く。


「な、なんなんじゃ? 」

 オロオロとするパパラス。


「呪樹結界!! 」


 パオさんの茂った葉の中から、スカンクキャベツのスキャンさんの上半身が飛び出した。


 人面樹6人の心を合わせた叫びがハモり響き渡る。


「呪樹結界!! 」

「呪樹結界!! 」

「呪樹結界!! 」

「呪樹結界!! 」

「呪樹結界!! 」

「呪樹結界!! 」



 ドドドドドと闘技場の周りの地面から何十本もの樹が生えてきて、天に向けて急速に成長する。伸びながら複雑に絡み合った枝が半円状のドームを作り上げた。樹木のドームに覆われて暗くなる闘技場。


 ガガガガガン太郎

 ガガガガガン太郎

 ガガガガガ……?


 急激な変化と妙な寒気に我を取り戻す観衆。何だ何だと騒めき出す。


「ウフフフフ ……」

 そこに何処からともなく妖艶な笑い声が聞こえて来る。


「何だ? 」

 猛烈な殴り合いを続けていたズイマとマースの動きが止まる。


「ウフフフフ……花言葉は夢現(ゆめうつつ)……」

 皆の背中に寒気が走った。


「どこじゃ?どこにいるんじゃ? 」

 半ばパニックになるパパラス。


「ウフフフフ……争いを止めない愚かな人類にお仕置きを……奥義!夢現(むげん)ラフレシア!! 」


「あ、あれを!! 」

 観衆の一人が天井の一角を指差す。そこを見ると一輪の巨大なラフレシアが開花しようとしていた。


「あっちも!! 」

「あそこにも!! 」


 気が付くと、樹木のあちらこちらからラフレシアの花が開花しつつあった。


「いょ〜っ!! 」

 スカンクキャベツのスキャンさんが奇声を上げる。その手には(つつみ)がある。


 ポ〜ン!!

 スキャンさんが鼓を叩く。


 ポトッ……


 天井に咲いた一輪のラフレシアが落ちて来て、観客の一人に覆い被さった。


「く……くさい、離れろ……」

 必死に離そうとする観客。


「いょ〜っ!! 」

 再び奇声を上げるスキャンさん。


 ボンッ、ポ〜ン!!


 天井から二輪のラフレシアが落ちて来て、二人の観客の頭に覆い被さった。


「!!! 」


 パニックになる観衆が闘技場の出口に殺到する。しかしリュッケさんが枝を伸ばして通さない。リュッケさんの目から真っ赤な涙が溢れ出す。


「通してくれ!! 」

「助けてくれ!! 」


 悲しい目をしてフルフルと顔を横にふるリュッケさん。


「いょ〜〜〜っ!! 」

 ポポポボポポポボポポポポーン!!


 スキャンさんが(つつみ)を連打すると、天井から多数のラフレシアが落ちて来て、観客とパパラスに覆い被さった。


「ぎゃあああああ……」

 闘技場のあちこちから悲鳴が響き渡る。次々と頭を覆われて、精魂を奪われたかの様に次々と倒れる観客達。最後に残ったのはラフレシアの落下を(かわ)したマースとズイマの二人だけだった。


「ふ、俺たちにこんな茶番劇は通用しない。なぁ、ズイマさんよ 」


「……」


 返事が無いのでズイマの方を見ると、3輪のラフレシアが頭に覆い被さっていた。


 一輪が完全に頭を覆い、大きな(つぼみ)が2つ開花しかけている。


マースの足が自然に一歩下がる。その時に自らの足が震えている事に気がついた。馬鹿な!!いかなる敵を相手にしても恐れを感じた事が無かった俺が恐怖しているだと!!


そして……ズイマの2輪のラフレシアが開花した。



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