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第30話 ズイマ300%

 ズイマは鎧の胸元に手を入れて、真っ赤な3本の小魚を取り出した。


「や、止めるんじゃ、ズイマ!!」


 ズイマは真っ赤な小魚を1本口の中に放り込んだ。ズイマの身体を真っ赤な熱気が包み込む。そしてズイマの身体中から汗が溢れ出す。


「何だ? 」

 マースはズイマを凝視する。


「ズイマは人の限界を越えようとしておる 」

 パパラスが苦しげに答える。


「どういう事だ 」


「ズイマは毎日、古来から受け継がれた魔力の込められたタレに漬け込んだ特別な発酵小魚を食べておるんじゃ。ズイマの身体の中には膨大な陰の魔力が貯められておるんじゃ 」


「二本目……」

 ズイマは2本目を口に放り込んだ。


「フォォオオオオオ……」

 奇声を発し身体中から蒸気を発するズイマ。全身が痙攣している。


「大丈夫なのか? ヤバそうだぞ 」


「真っ赤な小魚は陽の魔力で漬け込んでおる。溜め込んだ陰の魔力と混ざり合って膨大なエネルギーを発する事が出来るんじゃ 」


「三本目……」

 ズイマは三本目を口の中に放り込んだ。




 ムキ……ムキムキムキ……ムキムキムキムキムキムキムキムキムキ……


 バン!!

 ズイマの鎧が弾け飛ぶ。ムキムキの上半身をさらけ出すズイマ。伸縮性のあるズボンはそのままだ。



「な……何だと 」


「あぁっ……ズイマ300%が現れてしまった 」

 絶望に膝から崩れ落ちるパパラス。


「馬鹿な、小魚食ったぐらいで能力が上がってたまるか!! 」


「原液で漬け込んだ発酵小魚は、常人には食べる事すら出来ぬ……口の中に入れても吐き出してしまうんじゃ 」


 ズイマは筋肉を動かしながら、目を閉じている。


「逃げるんじゃマース殿。ズイマ300%を止められるのはシーデスとミックしかおらぬ。もう終いじゃ 」


「ふざける……」

 マースの発言中に、瞬時にマースの背後に移動したズイマが腕を振るった。


 ドガーン!!

 マースが壁に叩きつけられる。激突した壁にヒビが入った。


「よく、ガードしたな。しなければ死んでいたぞ 」

 冷たい目を向けるズイマ。


「ぐふっ……」

 み、見えなかった……無意識にガード体制に入らなければ死んでいたか……


「ダメじゃ、マース殿。あの状態のズイマは加減が出来ぬ。殺されてしまうぞ 」


「く、くはは……」

 笑い出すマース。


 面白いじゃないか。まさかこんな所に同類がいるとはな……加減無し殺りあえるのは久々だ 。



「ワォオオオオオオオオオオオオオオオオーン 」

 マースは天に向けて大きな声で遠吠えを響かせる。


 マースの身体中に猛烈な勢いで毛が生えてくる。尻尾が生えて顔が変化する。


「わ、人狼(ワーウルフ)だったのか 」

 腰を抜かすパパラス。


「待たせたな。加減は無用だ。決着を着けよう 」



 ビュン

 マースの背後に瞬間移動するズイマ。


 ビュン

 そのズイマの背後に瞬間移動するマース。


 ビュン

 そのマースの背後に瞬間移動するズイマ。


 ビュン

 そのズイマの背後に瞬間移動するマース。


 ビュン

 マースの背後に瞬間移動するズイマ。


 ビュン

 そのズイマの背後に瞬間移動するマース。


 ビュン

 そのマースの背後に瞬間移動するズイマ。


 ビュン

 そのズイマの背後に瞬間移動するマース。


「な、何が何やら訳がわからんわい 」

 唖然とするパパラスの周りに人々が集まってくる。


「ラチがあかんな。正面から打ち合おうぜ 」

「わかった 」


 お互いに正面から向き合った二人は、目に止まらぬ高速で拳を繰り出し続ける。



 ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガン!!


 ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガン!!


 ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガン!!


 ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガン!!


「ガガガガガン太郎……」


 観衆の1人が呟いた。パパラスが咄嗟に見ると黒い魔力を感じる。呪言か?小さな声だったのに妙に響き渡っている。その男はパパラスの視線に気がつくと闘技場の出口へと去っていった。


「ガガガガガン太郎……」

「ガガガガガン太郎……」

「ガガガガガン太郎……」

「ガガガガガン太郎……」


 引き続き人々を見ると、人々は唖然とした表情で口々に呟きはじめた。呪言による風評工作か!!

 ヤバい、儂らシーデス人魔国に変なレッテルが貼られてしまう。もうこれ以上は充分じゃ。


「止めるんじゃズイマ!!ガガガガガン!!なバトルを止めるんじゃ!! 」


 ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガン!


 ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガン!


 あらん限りの力を振り絞って殴りあう2人は無心の境地に入っていた。外部の声など聞こえない。


「ガガガガガン太郎……」

「ガガガガガン太郎……」

「ガガガガガン太郎……」

「ガガガガガン太郎……」

「ガガガガガン太郎……」

「ガガガガガン太郎……」

 口々に呟く観衆。


 ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガン!!


 ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガン!!


「ガガガガガン太郎……」

「ガガガガガン太郎……」

「ガガガガガン太郎……」

「ガガガガガン太郎……」

「ガガガガガン太郎……」

「ガガガガガン太郎……」

「ガガガガガン太郎……」

「ガガガガガン太郎……」

「ガガガガガン太郎……」

「ガガガガガン太郎……」

「ガガガガガン太郎……」

「ガガガガガン太郎……」


「もうダメじゃ……儂らはガガガガガン太郎……」

 パパラスが胸を押さえて跪いだ時だった。


「ちょっと待つんで〜す 」

 妖艶な声と共に5つの影が現れた。



ストックが尽きてしまいましたので、今後は不定期更新とさせて頂きます。申し訳ありません。

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