第28話 アプルン vs ジレンオ
「はっ!! 」
アプルンが目を覚ますと、そこは病院の一室だった。
「目を覚ましたかアプルン? 」
「ジレンオ!! 」
「俺だけじゃないぜ、ダメージのデカかったドリーさんや、爆撃魔法の直撃を食らったヤッシーノ も居るんだ 」
「俺はどれだけ寝ていたんだ? 」
「丸3日だ 」
「そんなに……それで色々とどうなった? 」
「まず、サイクロプスと悪魔は逮捕された。強固な鎖と束縛魔法で拘束中だ。今はどこの手先か尋問中らしいぞ 」
「魔帝国マズルか、魔導国家ハザルドか……」
「次に、品評会は翌日に再開された。喜べアプルン、俺たちが今年も優勝だ 」
アプルンは小さくガッツポーズをした。
「フフフ、俺の蜜柑も今年は最高金賞だ。今までずっとエントリーを間違えていたみたいだ 」
「良かったな、ジレンオ 」
ガシッ
アプルンとジレンオは握手をした。
「会長達は? 」
「商談会が終わった夜に見舞いに来ているぞ。今年は優勝したし俺たちの活躍があったので、非常に上手くいっていると褒められた 」
「そうか、良かった 」
「そうだ。総料理長から見舞いの品があったんだ 」
「料理長から? 」
「そう、総料理長から 」
「いらない!! 」
「ダメだ、アプルン。お前は活躍したから特別に発酵小魚を30本も頂いたんだ 」
「30本? 」
「そうだ、30本だ。ドリーさんの分はまとめて人面樹の国宛にバオさんが受け取ったんだ 」
「ジレンオの分は? 」
「お、俺は0本だ。活躍しなかったからな……」
「ヤッシーノ の分は?」
「ヤッシーノ も0だ。爆撃魔法のダメージで刺激物は食べれないからな……」
「いらない!! 」
「ダメだアプルン。人の好意を台無しにしてはいけないんだ 」
「わかった3人で10本ずつだ 」
「ダメだ、俺の蜜柑が臭くなったらどうするんだ? 」
「俺の林檎が臭くなったら、世界的な損失になるんだぞ。せめて10本ずつだ 」
「友の俺と戦う気か? 」
「お前こそ、友の俺に勝つつもりか? 」
「いつかこんな日が来るとは思ってはいたが、来ては欲しく無かった……」
「それは俺のセリフだ。ジレンオ、お前では俺には勝てない。勝てないんだぞ 」
フルフルと首を振るジレンオ。
「林檎と蜜柑は陰と陽、そして表裏一体。だからこそ俺たちは最高の親友足り得たのかも知れん 」
ベッドから降りて戦闘態勢を取るジレンオ。
「あぁ、我が友ジレンオよ。俺はお前とは戦いたくは無い。だが、発酵小魚の件だけは譲れないのだ 」
ベッドから降りて迎撃態勢を取るアプルン。
「行くぞ! ジレンオチョップ!! 」
「くらえ! アプルンパンチ!! 」
バターン!!
「ま、待つんだな!! 」
勢いよくドアが開き、総料理長ズイマが現れる。後ろには会長やエルも居る。
「お、俺の発酵小魚の為に、親友の二人が争うのは悲しいんだな 」
「そ、総料理長……」
アプルンとジレンオの動きが止まる。
「し、仕方がないんだな。心配しなくても発酵小魚の在庫は沢山あるんだな……誰も商談で買ってくれないんだな 」
「え……」
顔を見合わせるジレンオとアプルン。
「2人には特別に一人100本ずつプレゼントするんだな。これで発酵小魚の奪い合いは必要無いんだな。それで足りなければ、また作るんだな 」
「よ、良かったのアプルン、ジレンオ。な、仲良く分け合うんじゃぞ 」
「よ、良かったですね。い、いっぱい食べれて。こ、これで仲直り出来ますね 」
「えーっ!! 」
「えーっ!! 」
「こ、これにて一件落着なんだな 」
満面の笑みでズイマが話を締めた。




