第27話 愛の接吻
「フッ、待たせやがって……」
ジレンオは小さく呟いて目を閉じた。
「何だ、貴様らは? 」
ワルルが聞いてくる。
「下から行く〜ぜ。バオバブの人面〜樹バオ 」
「2段目、ヤシの人面樹 ヤッシーノ 」
「3段目、竜血樹の人面樹 リュッケ 」
「4段目 梨の人面樹 ナッシーノ 」
「5段目 ドリアンの人面樹 ドリーじゃん 」
「てっぺん 林檎の人面樹アプルン!!」
「俺たち人面樹タワー!! 」
6人のハモリが響き渡る。
肩車した人面樹達がフラフラしながら前に出た。
「ククク、クハハハハ〜ッ!! 愚かな、愚かすぎる。肩車で高さだけ出して何が出来る?一撃で粉砕しておしまいよ 」
「フフン、怖いのか? 」
アプルンがニヤリと笑う。
「愚か者め……サイクロプスよ、粉砕せよ。 」
猛然とサイクロプスが突進し、大鎚を高く掲げて、振り下ろした。
アプルンの頭上から迫りくる大鎚。
バオさんが懸命にサイクロプスに接近し、大鎚を躱した。
「愚か者め、ワルル様の爆撃魔法で砕けちれ!
超爆撃!! 」
ドガガガーン!!
「ぎゃあああ」
至近距離で炸裂した爆撃魔法で人面樹のタワーがバラバラと崩れようとする中で
リュッケの目から赤い樹脂が溢れ出した。
「行け!!下段に構わず飛んで行け!! 」
リュッケは肩車した上段の3人をサイクロプスの目玉に向けて放り投げる。
目玉に向けて飛んで行く3人。
「えーい!!もう一発!超爆……」
「そうはさせん!! 」
ナッシーノ が腕を出してワルルに向けて何か投げつけた。
爆撃魔法を唱えようとするワルルの顔に、ラフレシアさんが覆い被さった。
「く、臭い、離れ……」
「ラフィー、愛の接吻!! 」
「……」
ワルルはサイクロプスの肩からラフィーと共に落ちていった。
「喰らえ、サイクロプス。これが必殺アプルンドリルだ!! 」
アプルンは尖った枝を回転させながら、サイクロプスの目玉に向けて放った。
サイクロプスは、首を上げて大きく口を開いて枝を食いちぎった。
「グワァアア 」
アプルンの悲鳴が上がる。
そこにサイクロプスの左手が飛んでいた3人を掴んだ。
メキメキメキ……
サイクロプスは握り潰そうとする。
「ア、アプルン、後は頼んだじゃん!! 」
ドリーが最後の力を振り絞って、アプルンを目玉に向けて放り投げた。
ヒューン!!
目玉に向けて投げられたアプルンは、黒い腕を前に出して飛んでいった。
「目玉よ破裂しろ!アプルンパーンチ!! 」
サイクロプスは再び首を上げて、大きく口を開いて、腕を食いちぎった。
「掛かったな……」
ニヤリと笑うアプルン。
「う、腕の一本などくれてやる……えい!! 」
掛け声と共にサイクロプスの口の中の手が、危険な袋を握り潰した。
モアアアアアアアアアア……
口の中に強力な腐敗臭と刺激臭が広がって行く。口から漏れ出した臭いですら異常に臭い。
「ギャアアアアァアアアアア……」
サイクロプスの悲鳴が響き渡る。
ドーン!!
サイクロプスは意識を失い倒れ込んだ。
ヒューン
この高さでは……死。
高所から落下するアプルンは死を覚悟して目を閉じた。
バサッ、バサッ、バサッ。
生い茂った葉っぱに包まれるアプルン。
そこはバオさんの葉っぱの茂みの中だった。
「良くやった。我が友アプル〜ン 」
「み、みんなは? 」
「みんな無事だ。ドリーはメキメキのダメージがデカイが命に別状は無い 」
リュッケさんが答える。
「よ、良かった……」
アプルンは静かに目を閉じて意識を失った。




