第24話 魔女の村
「ウヒヒ、ここが魔女の村か 」
「うん、ここが私の故郷よ 」
大きな湖のほとりにある小さな村。300年前の大乱から逃れて来た開祖が、風光明媚なこの土地に開いたとされる村。
「綺麗な村だな 」
ミックが周りを見渡して告げる。
「ウッヒッヒ 、それで村長の家は何処だ? 」
「フフン、私は実は村長、魔女の長の一人娘なのであります 」
「ウヒヒ、それで何処だ? 」
「えーっ?誰もビックリしないの? 」
「ウヒヒ、その異常な魔力量の理由を考えれば推測出来る。ラナが魔女の長の娘ぐらいはな……」
「俺は『ウヒヒも結構いけるんじゃない』と思っている自分にビックリしているんだ。他の事にビックリする余裕は無い 」
「う〜ん。ウヒヒは駄目だと思うんだけど……まぁ、いいわ。こっちよ 」
ラナは村の中をドンドンと突き進んで行く。そして大きな家の前にたどり着いた。
コンコン!
ドアをノックする。
「ママ〜、可愛いラナちゃんが帰って来たわよ〜 」
「は〜い、今、行くわ〜」
ガタッ
ドアが開いて、ラナのお母さんが現れた。ラナがあと20年ぐらい経てばこうなる感じだ。
「元気そうね、ラナ。あら、お客様ね。お茶でも用意するわね。入って頂いてちょうだい 」
「ママ、紹介するわ。こちらの2人は、シーデス人魔国の勇者ミックさんと、相談役のピンクミイラさん。私の新しいパーティの仲間よ 」
「勇者ミックです 」
「ウヒヒ、ピンクミイラだ 」
「ウヒヒ? 」
「ママ、ピンクミイラさんは魔ビーバー達との契約で、喋るたびにウヒヒを付ける事になったの 」
「あら、可哀想 」
「ウッヒッヒ 、気にするな 」
「わかりました。私はラナの母で、魔女の村の長のエニー。ラナのパーティのメンバーが来てくれて嬉しいわ 」
「ママ、私の魔力量が多すぎて、魔法のコントロールが上手くいかなくて、前のパーティを追放されてしまったの 」
「あらあら、ラナの魔力量は開祖様以来とお爺様が言っていたけど本当だったみたいね 」
紅茶を一口飲んだミックが口を挟む。
「開祖様? 」
ラナのママは答える。
「私達の開祖は300年前の大混乱を避けて、この湖のほとりに住みついたとの伝承があります 」
「ウヒヒ、300年前か……」
「はい、それ以前に500年続いた大戦乱を魔導帝イデア様が終結させて大陸統一を果たしたが、味方の裏切りで亡くなられた頃になります 」
「ママ、開祖様の自画像があったわよね 」
「そこの棚の上にあるわよ 」
皆の注目が自画像に集まる。
古い自画像には年配の白髪の女性と、一匹の年老いた白い魔犬が描かれていた。
「開祖様は、幼少の頃に大乱に巻き込まれて家族を全員殺されたんだけど、飼っていた魔犬シンシアに助けられて一人逃げる事に成功したそうです 」
「シンシア……」
ピンクミイラさんが微かな声で呟いた。
「まだ幼かった開祖様は、シンシアに助けられて、戦乱から逃れた者達の為に、この場所に村を作ったそうです 」
「小さな村だけど、優秀な魔導士を多数輩出しているのよね。私のパパも出稼ぎ先で魔法大学の教授をしているのよ 」
「う〜ん。魔力量の多すぎたお爺様も最後まで魔力のコントロールが下手でしたからね 」
「『魔法使いに区々たる魔法はいらない。大魔法で殲滅するのみ』って何度も聞かされたわ 」
「困ったわね。私もパパも魔力量自体は平凡な人なので、魔力量が異常に多い人の教え方はわからないわ 」
「ウッヒッヒ 、どうだ。俺に任せてくれないか 」
「ピンクミイラさんが教えてくれるの? 」
「ウヒヒ、俺も魔力量が異常に多い。魔力の調整には慣れている。他に教える人がいないのなら、俺が教えるのが早いだろう 」
「ありがとうございます、ピンクミイラさん。娘をお願いしますね 」
ラナの母親が頭を下げる。
「ウッヒッヒ 、気にしないで構わない。シーデス人魔国として魔女の村の協力を求めて来たが、ラナの力を借りれるのなら充分だ 」
「フフン、私の広範囲 特大爆撃魔法をお望みね 」
「ウヒヒ、お前の力が必要だ 」
「ピンクミイラさん。魔女の村は基本的に中立な村です。ただし個人は明確な敵国以外の各国で、魔法関係の仕事に就いています。
村として表だっては中々動けませんが、いざとなれば、多くの者がラナと貴方達の為に力を貸してくれるはずです 」
「ウッヒッヒ 、それで充分だ。ありがとう 」




