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第18話 ミックとピンクの旅の始まり

 魔龍ディストラがシーデス人魔国を襲撃して失敗し、ステーキや焼肉として国民に振る舞われた事は、大きなニュースとして中央諸国を駆け巡った。


「魔王シーデスって実は強かったんだ 」


「魔龍のステーキは凄く美味かったらしい。あの国の総料理長は凄腕だ 」


「魔王シーデスの首には1000億ギルドがかけられている 」


 虚々実々の話が駆け巡る中で各国の首脳陣が気にしたのはただ一つ。


「魔帝国マズルが中央諸国への侵略を狙っている 」

 と言うものであった。


 魔帝国マズルが本気で動き出せば弱小国家の多い中央諸国では歯が立たない。それぞれの国が国家の命運をかけた決断をする時が来た。


 そして魔王の決定によって、シーデス陣営で最強と噂される2人が、諸国を巡って外交交渉する事になったのである。


 1人は勇者ミック。影の番長とも恐れられる名高いご意見番。


 もう1人は、ピンクミイラさん。魔王シーデスを子供の頃から教育した魔王の先生。元祖相談役である。


 商業都市トレーディアの大商談会には最高幹部である会長のパパラスと総料理長のズイマの2人が出ている。


 すなわち本国に残る最高幹部は魔王シーデスと猫老師、歩く人面樹のツーリ、秘書室長のシルヴィアである。


 最高幹部の特に武闘派の3人が国に居ない事を危惧したミックは魔王の決定に異議を申し立てた。


 そこに立ちはだかるピンクミイラさん。


「ククク、却下だ。今は時間が無い。俺達が不在の状態で攻められるのは危険だ。ただ今リスクを取らねば更に危険な状態でリスクを取らされる。

 居残り組には猫老師がいる。猫老師の必殺技があれば大丈夫だ 」


「あれか? 」


「ククク、あれだ。俺は少しだけ見せてもらった 」


「どうだった? 」


「クックック、想像以上だ。今は猫老師の魔力で押さえ込んでいるが、もし解放されたなら、この国は滅ぶだろう……」


「諸刃の剣ではないか 」


「ククク、猫老師は、あぁ見えて天才だ。魔力によるコーティングや塊の細分化などで、必殺技として管理可能な状態に近づいている。

 それに、魔力感知力の高い高位魔族は猫老師には近づかないだろう。高位魔族以外に猫老師が敗れる事は無い。だからリスクはあるが、俺達が動くのは今なんだ 」


「わかった、行こう。中央諸国をまとめる為の外交行脚に……」


 ・

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 ・

 ミックとピンクミイラさんは荷馬車に乗って大陸中央部の更に山深い地域に向かっていた。目指すは巨大な湖のほとりにある小さな集落である。


「ピンクミイラさん。なぜ小さな集落に向かうんだ。湖のほとりには大きな町が沢山ある。小さいとは言え国も複数あるぞ 」


「クックック、この湖からは複数の川が流れているんだ。その一つは俺達の国に流れている。水を制する者が地域を制する。その為にはコイツらの力が必要なのさ 」


「水を制する?……」


「ククク、人面樹やエルフ達とは相性が悪い連中だよ。だが森と川を制する事が出来れば圧倒的に有利になるだろう 」


「そうか、魔ビーヴァーの連中か! 」


「クックック、正解だ 」


「でも大丈夫なのか?魔ビーヴァーと人面樹やエルフは敵対関係にあるぞ 」


「ククク、だからこそだ。だからこそ交渉の価値があるんだ。ミック、魔王は息子みたいなもんだが、お前は俺の夢の後継者なんだ。

 俺に何かあったら魔王とお前に後を託したい。だから今回の外交行脚(がいこうあんぎゃ)で色々と学んで欲しいんだ……」


 ピンクミイラさんはそう言うと、ゆっくりと目を閉じた。


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 旅の2日目〜


 ドカーン!!

 近くで爆発音がした。


 御者が馬車を止める。


 馬車の外に飛び出した2人は、周りの様子を伺う。

「ん、あの丘の上だ!!」

 人影を見つけたミックは駆け出して行く。


 一人で残されるピンクミイラさん。

「ククク、ヤレヤレだぜ 」




 丘の上では4人組の勇者パーティがいる。どうやら3対1で言い争ったいるようだ 」


「魔法使いラナ、お前を追放する!! 」

 若い勇者っぽい男が宣言する。


「な、なんでよ、私、一生付いてくって言ったじゃない 」

 魔法使い……というより魔女っ子ぽい格好の女の子が、勇者に(すが)りつく。


「そ、それを言ったのはお前だろ、僕達じゃないぞ

 」離れようとする勇者。


「そうだぜ。俺達は遊びで勇者パーティをやっているんじゃないんだ。お前は危険だ 」

 スキンヘッドの筋骨隆々な戦士が割って入る。


「スキッドさん〜、私が危険みたいな言い方はやめて〜 」


「ごめんなさい、ラナさん。貴方が私達にとって危険なの 」若く背の高い美しい聖女が穏やかに告げる。


「酷い〜、か弱い女の子を危険人物扱いした上に、こんな所で追放するなんて〜 」


 勇者が残念そうに前に出る。

「ラナ、君の魔法があれば大丈夫だ。君の魔法の威力は超一流だ。破壊の女神の異名は伊達じゃない 」


「私の魔法、当たらないじゃない!! 」


「だから追放するんだろ!! 」

 勇者と戦士がハモった。





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