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第17話 伝説の料理人ズイマ

「アプルン、お主は手は大丈夫なのかの? 木の枝はガサガサしていて袋が破れてしまわんかの? 」

 パパラスがおっかなびっくり聞いてくる。


皆が袋を握ったアプルンの枝に注目する。

なんか黒々とツヤツヤしていて気持ちが悪い。


「フッフッフ、見て下さい。我が秘密兵器の精密作業用ハンドを 」


「精密作業用ハンド? 」

聞いた事の無い言葉に戸惑うエル。


「枝の一本にヤスリを掛け、漆を塗って滑らか仕様にして、細かい作業が出来る様にしてあるんです。しかも5本の指を作りましたので、どんな細かい作業も大丈夫です 」


「す、すごいなアプルン 」


「アプルン28号のみ搭載の新機能です。パーフェクト アプルンと呼ぶ人もいます 」


アプルンは胸を張る。


荷馬車がゆっくりと止まった。どうやら宿に着いたようだ。


4人は御者に馬を任せて宿の手続きに向かう。


「林檎の人面樹……アプルンじゃねーか!! 」

横合いから甲高い声が響いた。


そこには異様な形の人面樹がいた。


「バオバブの人面樹のバオさんと、竜血樹の人面樹のリュッケさん!! 」


「久しぶりだな、アプル〜ン。今年も果実の品評会に来たの〜か? 」

バオさんが重低音ボイスで聞いて来る。


「はい、今年もツーリ印の果物で沢山の最高金賞を頂いて優勝しますよ 」


「ケッ、去年はラフレシアさんがゲップしたせいで不戦敗になっちまったが、今年はそうはいかないぜ。今年は俺たちが優勝するぜ 」

細い目で睨みつけて来るリュッケさん。


「アプルン、そちらの2人はどなたじゃ? 」


「人面樹の国の、バオさんとリュッケさんです 」


バオさんとリュッケさんが軽く頭を下げる。


「それでこちらは、シーデス魔王国のパパラス会長と

総料理長のズイマさんに、秘書見習いのエルさんです 」


「ズイマ、ズイマ……ま、まさか伝説の料理人ズイマか!! 」リュッケさんが目を見開いた。目から真っ赤な樹脂が流れ落ちる。


「ど、どんな素材でも、魔龍の肉ですら美味しく料理する天才料理人のズイ〜マさんですか。お〜い、みんな〜、救世主ズイ〜マさんがいま〜す!! 」


「なんだって〜」

「びっくり〜 」


5人の新しい人面樹や人面花が現れる。


「ラフレシアの人面花ラフィーで〜す 」

「ショクダイコンニャクの人面花ショークだ」

「スカンクキャベツの人面花スキャンです 」

「ドリアンの人面樹ドリーじゃん 」

「スタペリアの人面花スタペンっす 」


彼らはズイマを囲みワイワイと料理談義を始めた。


「臭い材料を美味しく仕上げるどうすれば良いのでしょうか? 」


「も、もっと臭い物で臭いを隠すんだな 」


「スカンクみたいな臭いって言われたんです 」


「も、もっと臭い物で臭いを隠すんだな 」


「せ、世界一臭い植物だって……」


「く、臭い物を色々入れてかき混ぜて……発酵させれば良いんだな 」


少し離れた場所で彼らを見つめる会長とエル。

「会長、彼らの品評会は大丈夫なのでしょうか? 」

「こ、今年も駄目じゃと思うわい 」



バオさん達と別れた4人は、パパラスの部屋で今後の予定などについて確認する事になった。


「今回の儂らの目的は、シーデス人魔国の特産品を販売する商会との取引ルートを作る事じゃ。川を使った大量輸送を行う予定なので出荷量を大幅に増やす事が出来るんじゃ 」


「輸送コストも大幅に減らせるので、値下げの実施、又は利益の向上も果たせます 」

エルが補足する。


「次に、戦争に備えた物資の確保や、人材のスカウトじゃ。ピンクミイラさんから古代遺跡の秘宝を預かっておる。今回限りではあるが予算は潤沢じゃ 」


「ぐ、具体的にはどうするんだ? 」


「1週間後から始まる大商談会に、シーデス人魔国のブースを確保してあるんじゃ。そこでツーリ印の果物などの見本の展示。人材のスカウトなどを行う予定じゃ 」


「私達が欲しい物も掲示して相手方からも来てもらいますし、私達も交代で他所のブースを回って商談します 」


「品評会は初日に別会場で実施じゃ。アプルンは前日にやって来るジレンオ達と品評会の方を頼む 」


「ふふふ、任せておいて下さい。今年もてっぺん取りますよ 」


1週間後の開催に向けて、彼らの準備が始まった。



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