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婚約者

お待たせしました。

第二部第二章の開始です。


 この生活を始めて2ヶ月が経った。基本的には朝から晩までルイスの傍で警戒してるくらいで大きな事件はなかった。

 護衛に関しても、四六時中そばに俺がいるのでハンク達の護衛隊は解体となった。


 元々が騎士団からの派遣だったので、仕事を失う訳でもなく、不当に解雇される心配もなくなったので、護衛達からすれば願ったり叶ったりだったようだ。



 アルヴィも随分と小さくなり、今では片手で抱えられるほどになっている。

 彼女が小柄だったと言う事もあるけど、俺の体の成長は早いようだ。



 初日に貰った青い色の布は、他の護衛達のようなタグとは違う物を新たに貰っている。


 左の二の腕に、王家の紋章入りの赤い腕章をつけて、服も護衛用に仕立ててもらった。

 服のデザインはこの国の騎士団と同じ物で、通常の色とは違い白色をベースに作られたらしい。

 白い手袋とも相まって、貴族にでもなったみたいだ。


 デザインに関してはルイスが口を出したようで、俺の地味な見た目でもそれなりに見れる(・・・)くらいになったのは有難いことだった。



 不可視の攻撃などは毎日対処出来ている。手を変え品を変え、一番ひどい時には人間が飛んで来たこともあった。

 食事に含まれた毒も、初日の物と違う種類なのもいくつかあった。


 本邸と王城で出す物が違うのだから、毒を入れる人間も違うということだ。



 毒の判別も習熟してきて、この城内でよく使われているのはシストルと呼ばれる植物毒だった。

 シストルは、少量で口に入れた時のピリピリとした刺激があるが、常態化することで消化器官を傷ませる作用があるらしい。

  

 本邸の屋敷で食べた黄色い毒もシストルの一種で、それを少量でも常日頃から食べていたルイスの体内が傷ついていたのは至極当然の事だろう。



 毎晩寝る前にさりげなく治療しているからか顔色も良くなって、出会った当初よりも自信満々な表情をしている。


 ただ、ルイスが元気になるにつれ城内の雰囲気が悪くなっていることも何となく感じている。

 特に、俺が護衛として関わり始めた時からの変化なので訝しむ者も多く、子供相手とは思えないような来客がよく来るようになった。


 魔法研究所は俺の情報は知っているだろうけど、崩壊魔法の件もあるので一歩引いた立場にいるらしい。

 今日も今日とて、城内で慣れない来客の相手をしていて気が休まらない。


「コーダ殿、君の魔法というのはどういうものなのかね?私は魔法師団の団長をやっててね。興味深いのだよ。」

「研究所でも調べてもらいましたけど、答えは出なかったようですよ。分かっているのは無詠唱で使えるってことです。」


 そもそも魔法が詠唱しなければいけない事も知らなかった。俺の寝床にある魔法の本を読んでも、イメージを固めるために必要だと大前提として書いてある。

 普通なら当たり前なんだろう。


「俺も試してみたんですが、詠唱しても出来なくて。自分でもよく分かってないんです。」

「・・・はぁ〜。本当かい?嘘偽りなく分からないんだね?」


「ええ。分かりませんね。」


 今日の客はしつこくて余計に面倒くさい。でも詠唱有りだと魔法が使えないのは事実だし、それっぽい顔をしておけば大丈夫そうだ。

 俺は名前も覚える気のない男の話を、ルイスの迎えを免罪符にして適当に切り上げて応接質問から出て行く事にした。


 ルイスの名前を出せば引いてくれるのは楽でいい。疎まれていようが権力者は権力者だ。

 俺が廊下に出てため息をついていると、出てくるのを待っていたのか侍女が何かを伝えてきた。

 内容を聞いた俺は外にある温室を目指す事になった。



 珍しく俺は単独行動をしている。いつもはルイスの傍にいるので面倒ごとが避けられていたのだが、今日はルイスが俺の同行を拒否したのだ。


 なぜなら今日はルイスの婚約者である、セレスティアルという女が来ているからだ。



 外に出る時は腰に提げている帽子を被らないといけないらしい。服と同じ色の帽子を目深に被ったあと、庭園を抜けて大きなドーム状のガラス張りの施設の入り口に近づいていく。

 当然ながら、その施設には警備員もいるしセレスティアルの護衛隊も何人か見える。

 それにしても多いので、誰か来客でもあったのかもしれない。



 緑色の騎士団服を着た警備員に、俺がここに来た要件を話す。


「ルイス殿下にそろそろご昼食のお時間だと伝えたいのですが、入ってもよろしいですか?」

「構いませんが、中の展示物で遊んではいけませんよ?番犬殿?」


「・・・構いませんね、入ります。」


 最近は皮肉をこめて番犬などと呼ばれることが多くなった。子供だから仕方ないことだけど、子供扱いされるのにも辟易している。


(何が遊んではいけないだ。・・・友好的な人間がいないのはルイスの汚点だよな。)


 立て続けに面倒ごとが起こってしまってイラつきながら、温室へ入っていく。

 この城内にはルイスの味方はいない。出会った事もないし聞いた事もない。


 婚約者とかいうのも俺は信用しちゃいない。



 温室の中は外よりも湿気が多く感じられてジメッとしている。そうは言っても空調があるらしく、過ごしやすい空間ではある。

 ルイスとその婚約者は、温室の中央部にある特設のテーブルでお茶会をしているらしい。


 月に1回の頻度でこのようなお茶会があるそうで、ルイスもそれなりにリラックスしている事だろう。


 セレスティアルは、見た目こそ可憐で人受けが良いように見えるものの、やはりルイスとは一線を引いているように感じてしまった。



 中央まであと2つ角を曲がればという時に、緑色の騎士団服を着た者に呼び止められた。


「おや、どうされました?まだお迎えに上がるのはお早い時間かと思いますが。」

「ルイス殿下にご昼食が用意出来たと伝えに参りました。」


「・・・そう言う事でしたら、こちらに持ってくるように指示してもらえませんか?セレスティアル様の他に御客人がおられますから。」


 どこで昼食をとろうとも勝手だが、ルイスに知り合いなんているのかね。

 誰か気になって聞いてみると、あまりにも予想外の答えが返ってきた。


「シータイト様と聖女であるフォミテリア様がお越しです。」

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