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セレスティアルの想い

公爵家長女に転生したセレスティアルのお話です。


 公爵家でお母様に魔法の才能があると、見出されたひと月後にはお父様もとっても喜んでくれた。

 お父様は、今の王様の弟みたいで王都で仕事をしているのは、お兄さんである王様の補佐をしてるんだって。


(公爵ってそんなに凄い人なんだ!じゃあ私も王族の血が流れてるんだ。)



 私が魔法を使ったと分かるとすぐに帰って来てくれた。抱きしめられて一緒にクルクルと回って喜んでくれていた。

 その後は私が目を回してしまったのを見て、謝ってきてくれたけどね。


 お父様は王都で有名な魔法使いの人と一緒に帰ってきていて、お父様がいない時やお母様が教えられない時には、その人が教師なんだって。


(英才教育ってやつかな?でも魔法が使えただけで他はなんにもないのに。)



 お父様が連れてきてくれた教師の人は女性で、綺麗な桃色の髪をしている。顔も整ってるし気品が滲み出てる、この人相当モテそう。


「私は、セリスって言います。似た名前だから覚えやすいかしら?これからよろしくね。」

「はい。よろしくおねがいしましゅ。」

「あら、本当に賢い子なのねぇ。第二王子殿下もだけど、最近の子は凄いわ。」


 この人はセリスさんね。名前は似てるけど、私はここまで綺麗になれるかな?お母様とお父様の子供だもん、それは大丈夫なのかな。



 早速セリスさんと魔法の授業をする事になった。ここは、屋敷の中庭で中から椅子を持ってきて、青空教室のようになっている。

 私とセリスさんは向かい合っているけど、お母様やお父様、シャロンや執事の人達は少し離れて私達を見ている。


「じゃあまずセレスちゃんの魔法属性を確認するわね。ステータスと言ってみてくれないかしら?あっ、急に出てくるからビックリしないでね。」

「す、すてえたす。」


【名前】セレスティアル・デルセン

【年齢】2

【レベル】1

【ジョブ】公爵家長女

【魔法属性】水 聖


【体力】50/50

【魔力】500/500

【力】 30

【守り】30

【速さ】20

【運】 30


【スキル】


「わあ!」

「あら、意外と驚かないのね。それでどうだったの?」

「【まほうぞくしぇい】は、みずとせいになってましゅ。」

「2つあるのね?いやぁ、第二王子殿下と言いセレスちゃんと言い、普通は1種類なのよ。」


 へー。2つあるだけでも凄いんだ。

 セリス先生が、指を1本立てて説明してくれたあと、誰もいない方向を指差した。


「なら丁度よかったわ。じゃあ一回試してみましょうか。手を向こうに向けて私が言うのを繰り返してくれる?」

「はい。」

「水よ、我が力となりて敵を撃て、ウォーターボール。」


 セリス先生が呪文のような言葉を唱えると、手に水が集まって10cmくらいの球状になったかと思うと、手から離れて5mくらい先のところへ飛んで行った。


「しゅごい!」

「魔法にはイメージが重要よ。どのくらいの大きさ、どこに飛ばすか、みたいな事を考えるの。前にセレスちゃんが魔法を使ったのもそうだったのじゃないかしら?」


 確かにあの時はそうなったらいいなって思っていたけど。

 さっきの光景を思い出しながら、私も呪文を唱えた。


「みずよ、わがちからとなりててきをうて、ウォーターボール。」


 手を向けたすぐ先に水が集まっていくのが見える。腕あたりから、少しだけ何か抜け出ている感覚もあって気持ち悪くなってきて目を閉じてしまった。

 ほんの数秒目を閉じていただけなのに、今の私の身長より大きい1mほどの水球が出来ていた。

 

「セレスちゃん!その水を飛ばしなさい!」

「きゃっ!」


 セリス先生が大声で叫んだ音に驚いた私は、誰もいない方向へ向けていた手を動かしてしまったのか、立っているセリス先生の方向へ魔法が勢いよく飛んで行った。


「ああ!まがってまがって!」


 イメージで魔法が出来るなら動かせるはずと、無我夢中で私が飛ばした魔法に曲がれとお願いする。

 当たる寸前で方向を変えた魔法がセリス先生のそばを通った後、地面にぶつかって弾けた。



 ぺたんと座り込んだセリス先生に私の魔法が弾けて出来た雨がかかっている。

 私が急いで駆け寄ると、セリス先生が震えているのに気付いた。


「せんせー!ごめんなさい!こわかったですよね!」

「・・・あ、なた・・・。」

「ご、ごめんなさい!」


 ワナワナと震えているセリス先生が顔を上げて、何か言いたそうにしている。

 怒られると思って、身を固くしていると、急に肩を掴まれた。


「・・・あなた、凄いわ!飛ばした魔法を途中で曲げるなんて!」

「えっ?せんせい・・・?」

「今までそんなこと成功した人なんていなかったのよ!最初から曲げるつもりで発動するならまだしも途中でしかも突発的に。あなた本当に凄い事をしたのよ!これでギルベルトにも・・・。」


 肩を掴まれガクガクと前後に揺らされていると、不意にお父様の声が聞こえてセリス先生を止めてくれた。


「セリスやめないか!ウチの娘が辛そうだ!」

「あぁ、失礼しました!セレスちゃんもごめんなさいね!」


 私は大丈夫だとお父様に身振りで伝えてから今日の授業はお仕舞いになった。セリス先生はその後すぐに王都へ戻ると言って慌てて帰っていった。



 授業のあと、汚れを落とした私は両親との夕食まで、自室で今日の反省会をしていた。


(先生が言うには私が魔法を使えること自体が凄いって言ってくれていた。実は私って結構凄い女の子なのかも!)


 その後の夕食でさえも両親に褒めてもらい上機嫌になった私は、更に自分が凄い存在だと確信を強めたのだった。



 お母様が前に、王宮へ行くかも知れないと言っていたのが事実になったらしい。それもこの国の第一王子と友達になって欲しいというものだった。


(凄いわ、未来の王様じゃない!仲良くなっておくのは良いことだよね。弟くんは私と同い年らしいし、話の良いきっかけにもなるわ!)


 本来の目的は、お父様のお仕事の見学らしいけど子供に言ったって分からない。大人がお話している最中に子供だけで遊んでなさいってことなんだろう。


 王宮に行く前にマナーをしっかり学んでいると、今日から先んじて王宮へ行くお父様から呼び出された。

 何か大事な話があるらしいけど。


「セレス、今日の君も可憐で美しいね。」

「あらまあ、お父様ったらはずかしいですわ。」


 お父様の挨拶を軽く流すと、お父様が珍しく神妙な顔をした。


「実はね・・・、セレスには伝えておかないといけない事があるんだ。」

「はい、何でしょうか。」


 お父様が一拍置いてから重々しく口を開いた。


「この年齢で確定するわけじゃないんだけど、・・・第一王子の婚約者に選ばれたんだよ。」

「・・・えっ!私がですか!」


 お父様が頷いたと思うと、その美しい顔を歪ませて手を顔に覆って項垂れた。


「うあー!なんでセレスなんだ!世界一可愛いのは分かるけど、なんで第一王子になんて!」

「お父様!私は光栄に思いますわ!」

「しかしだな・・・。いやまだ決めるのは早い、これから知り合って言葉を交わした後、断ってくれてもいいからね?」


 いまだに項垂れているお父様にそのように念を押されてしまった。まだ顔も知らないけど、第一王子なんてそう簡単にお近づきになれる訳もない。


(お父様・・・、まだ私の嫁ぎ先が分かっただけじゃない。そんなに心配してくれるなんて、やっぱり良い人だわ。)


 私はお父様がなにを心配されているのか分からないまま、お父様の部屋を後にした。

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