生まれの違い
2話飛ばして投稿しちゃってました!
内容ガラッと変わります!申し訳ありません!
これが本来の5部です。
もう1話投稿します!よろしくお願いします!
生まれ、とベリルテスが言う。俺はその言葉にピンときてはいなかった。生まれを選ぶという概念が俺にはないからだ。
「生まれというのは人生を設計する上で、非常に大切なものだ。我がエルランドを管理すると特に感じることだ。
例えば、平民に生まれた者が世界を統べる王になるのにはまず、功績を挙げ貴族位を授かり、王族に見初められ縁組みを利用して王族になり王位継承者を蹴落とすことが必要になってくる。良き王となるならば民衆の支持も必要だ。
だが、王族として王位継承第一位として生まれるならばどうだ。時が進むだけで自動的に継承され、更には民衆の支持は血族というだけで勝手についてくる。幼い頃から自由気ままに振る舞い、臣下を従わせるのが日常だ。
我はそんなことを考えてしまうと、生まれは人生において最重要とさえ思えてくる。」
ベリルテスの話には、どこか寂寥を感じさせる物言いだった。そのような話を聞くと、あながち間違いではないように思える。
現代でも才能があるのにお金がなくて、苦労をしているというのはよく聞く話でもあった。生まれというのを選ぶことが出来るのなら、チャンスがあるのなら逃してはいけないとさえ思った。そしてベリルテスは続ける。
「ただ、先にも言ったようにエルランドは下位のものが成り上がれる世界である。そこでだ。君達にはこのような生まれを用意した。全員分ある。一人ひとつ選んでくれたまえ。」
ベリルテスは俺達と自分の間の空中に表示させた。
第二王子・第三皇子・公爵家長女・伯爵家長男・男爵家長女・平民・平民・孤児
「さあ、早い者勝ちだ。時間をかけてもよい。選んでくれたまえ。」
◆
俺達は、ベリルテスから少し離れて話し合うこととなった。議長はリーダーシップもあり冷静な新田真吾だ。
まず、新田からひとつひとつの考察をするべきだと提案があったので意見を擦り合わせることとなった。
「では高位のものから始めよう。僕からの意見にはなるが第二王子、第三皇子に関して、誰が選んだとしても政治的闘争に担がれる懸念がある。メンタルの強さが重要な要素だと考えている。
次に、各貴族位ではどれも嫡子に近い立場にあり政略結婚を主に重点とし動きべきだと考える。メンタルも必要だが王族より自由が聞きそうだと思うので行動力がある者が望ましい。
次は平民だ。これはこの新たな世界を堪能するには良い選択肢だと思う。富豪ではないにせよ自由の幅が非常に広い。
最後に孤児だが、何がメリット・デメリットだとかは正直分からない。以上だ。何か意見は?」
新田が長い説明をしたが、頭を悩ませてしまう。平均的一般人である俺は迷わず平民を選びたい。頭の良い新田が貴族になるのはサマになっているが、俺だとちんちくりんだろう。すると灰谷が口火を切った。
「俺は断然平民を選びたい!なぜなら俺は冒険者や騎士になって人々を危機から救う勇者になりたいからだ!政治とか政略とかは煩わしくてごめん被るね!」
「平民だったら私だってなりたいわよ!でも平民希望なんていっぱいいそうだし・・・。聖佳とかどう?」
灰谷や火野は平民になりたいのか・・・。灰谷は英雄気質というかなんというか。火野さんとは気が合いそうだと勝手ながら思う。そして話を振られた神山聖佳はおずおずと話し始めた。
「私は、実は貴族がいいなーなんて思うんだよねっ。だってお金持ちなのは確定なんでしょ?政略結婚?とかはやってみなきゃわかんないし、誰もやりたくないなら私が公爵家長女になりたいわ!」
意外なことに貴族になりたいと言ったのには驚いた。それを聞いた火野さんは。
「ほんとなの聖佳!?・・・でも確かにお金持ちが確定なのは大きわよね。んー悩むわねぇ。」
「お姉ちゃんも愛子ちゃんもすごいね・・・。私は平民が良いって思っちゃうよ。」
火野さんもお金持ち発言には響くものがあったようだ。さっき感じた親近感も微妙になってきた。
「なら俺は第三皇子になってみたいよ〜。継承権も放棄しちゃえば闘争には巻き込まれないっしょ?なら皇族ブランドだけ使いまくれるってことだよね〜。」
「猫沢くん、そんな簡単なことではないですよ。もっと真剣に考えないといけません。」
「え〜、副会長もかったいな〜。大丈夫だって〜。なら副会長が第二王子になっちゃえば全部解決だよ〜。副会長の頭だったらす〜ぐ王位継承トップになっちゃうんじゃないかな〜。」
「ま、まぁ王子ならば世界を深くまで知ることが出来ますし、誰もいないなら僕がやってみたいところです。」
猫沢は楽観的だが王子が似合いそうだな。新田も平民とか貴族ってより王族がしっくりくるし、結構まとまってる感じがするな。
誰も反対意見はないようだ。今の会話をどう思うか聞こうと、隣の友沢を見ると、何か決心したような顔をしていた。
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