神山聖佳の転生
今回もクラスメイトの転生です。
公爵家に転生した話です。
私は神山聖佳。双子の妹の法佳とは美人姉妹とか言われているけど、ファンみたいな感じで悪いことはないわね。
修学旅行の日、何か白く光ってる神様っぽい人から私達は事故に遭って死んじゃったらしいっていう話を聞いたの。副会長とか法佳達もいて全員で8人くらい一緒に死んじゃったんだって。
その時に神様っぽい人に、別の世界に転生させて貰えるって話だったから私は当然お金持ちに決めた!
だって折角、新しい人生なんだから自由に優雅な生活が出来るならそっち選ぶでしょ?
他のみんなは、何か貴族がメンドクサイって言ってるけど、その時はその時って感じで関係ないかな。
その後も色々話してたけど、まっ次の世界で会えば良いんだから、そんなに気にしなくても良いのにね。
私達は、神様っぽい人が魔法(みたいな?)であたし達を光で包みこんだと思ったら、10秒くらいは何も感じなくて、次の瞬間急に何か喜んでいるような声が聞こえてきて、私は泣いてしまった。
◆
赤ちゃんだったから仕方なかったかも知れないけど、中身は高校生なのに泣いちゃったのは恥ずかしい。あんなに騒がしかったのは、私が無事に産まれたからだったんだって「お母様」が言ってた。
お母様は生まれつき体が弱くって今回の出産もどうなるか分からなかったらしい。でもすっごい綺麗な人で、キラキラって金髪が輝いているし目だって透き通る薄緑色をしてるの。私も同じようなキラキラを持っているんならって思うと、成長した姿が楽しみになる。
いつも私は、お母様と同じ部屋で生活してる。お世話してくれる人もいるんだけど、やっぱり綺麗な人と一緒にいる方が全然良いよね。最近は私の名前も聞き取れるようになってきて、凄い嬉しい。
「セレス、今日もお利口さんね。可愛らしいから、きっと良い淑女に育つわね。」
セレスってお母様は呼んでくれるけど、本当の名前はセレスティアルっていうの。こんなお母様のこと、これからも絶対に嫌いになる事はないって今からでも断言するわ。
だからお母様、ずっと元気でいてね。
◆
今日は、初めて「お父様」に会う日。私はお母様の側でお座りしていれば良いらしい。このお母様だもの、きっと超イケメンと結婚してるに違いないわ!
私は、何故かお母様に見合う男の人を見定めるような気持ちになっていた。
お昼頃、あと2時間くらいでお昼寝の時間になるかという時間。ソファに座るお母様とお世話してくれてる人──シャロンって言うんだって──と一緒に、遊んでいたらドアノックの音が聞こえた。
執事の人が、お父様を連れてきてくれたらしい。お母様はちょっとソワソワして、手櫛で髪を整えたりしている。なんか恋する乙女みたいな感じで凄く可愛い。
お母様が入室を許すと、執事の人がドアを開けて男の人が入ってきた。
そのお父様らしき人は、銀髪で目の色が透き通った綺麗な青色をしていて、顔も凄くカッコイイ。日本のイケメンなんて比べたら可哀想なくらい、綺麗で整った顔に見惚れてしまった。
「やあセレーナ。しばらく会いに来られなくてごめん。今日は君に会えるから急いで来たんだよ。」
「あぁ!ルドガー。私も貴方に会いたかったのよ。今日は一緒にいましょうね?」
「ああ、セレーナ。何だか僕の目がおかしいんだ。君から目が離せなくなっちゃったよ。」
あらあらうふふ、と私の目の前でいちゃつく両親。今この2人の周りにはピンク色の背景になっているんじゃないかな。シャロンも執事の人も気まずそうにしているし。
(ちょっと!さすがに私も恥ずかしいよ!私もいるんですよー!)
あうあうと声を出して2人の空気に水を差す。私の声に気づいたお母様が、そうだったわと言わんばかりに私を抱き上げる。
「ルドガー、私達の子のセレスよ。あなたに似ていて、きっと綺麗な子に育つはずよ。」
「セレス。君はとっても可愛い子だ。今、天国は慌てているだろうね。何せ天使がいなくなってしまったのだから。」
私を紹介するお母様に、私に甘い言葉をくれるお父様。すっごい恥ずかしいけど、ニッコリ笑顔でお父様に挨拶する。
「あうあー!」
「ああ・・・。とっても素敵だよ、セレス。これからよろしくね。」
お父様は私のおデコに軽くキスをしてきた。
(うおあー!イケメンすぎるよー!)
私の顔がボンッと火照ったことは言うまでもないけど、私を抱くお母様の顔も凄く赤かった。
◆
それからお父様はたまにだけど会いに来てくれるようになった。お父様は王宮でお仕事をしているらしく、ほとんどはこの家じゃなくて王都に居るらしい。私達はそんなお父様の癒しになっているようで、帰ってきた時は美しい顔ををほころばして喜んでいた。
お母様はたまに魔法で遊んでくれる。お母様の魔法は、聖属性って言って、キラキラする光を出すことが出来るらしい。
魔法は貴族なら誰でも使うことが出来て、私も使えるんだとか。
「ん〜っっ!・・・でにゃい。」
(ああ、どうやったら出るんだろう、魔法。)
魔法を出したいけど出せない私に、にこやか笑いかけてお母様は説明してくれた。
「セレス。魔法はね、大っきくなったら先生に教えてもらうのよ?普通の子なら5歳で勉強するから、その時にね。」
勉強かぁ。一応高校生だったし同世代の子達よりは出来るだろうけど、同じかどうか分かんないしね。でも魔法が使えるのかぁ。早く大っきくなりたいな。
それからはお母様に魔法を使ってもらうのをねだって、コッソリ魔法がどうやって出てるのか見てみた。
(なんか力を溜めてる?感じがある。お母様が言うには魔力っていうのを使って魔法を出すみたい。)
今日も頑張ってたけど出なかった。いつかお披露目出来たらいいなって思ってお昼寝することにした。
その夜、何故か目が冴えたのでずっと起きていた。お母様は同じベッドで添い寝していて、起こさないように周りを見る。
月明かりすごい。電気の光が無い世界だから、クリアな月明かりが意外と明るい。
でも周りを見渡せるほどじゃない。あくまで手元が見えるくらいだった。
(お昼のお母様みたいに光を出すことができたら、照明器具の代わりになるのになぁ。)
魔力魔力と考えながら、日本の照明を思い出す。間接照明とかあったなぁ。でもこういうお屋敷だったらシャンデリアとかだよね。色々考えていると自分の周りにキラキラした光の粒が浮いているのに気がついた。
「わぁ!」
(出た!?魔法、出ちゃった・・・。)
驚きすぎて声が出てしまった。寝ているお母様をみるも起きた様子はなかってホッとした。
でも出ちゃった魔法・・・。このキラキラした魔法を照明みたいに天井につけぇ!と思うと、光の粒が集まって天井へ固まりを作っていった。
しばらくすると、私の想像した通りのシャンデリアが出来ていた。
「わあぁ。で、できちゃった・・・。」
そんな私の呟きが聞こえたのだろう、お母様が気付いてしまった。
「どうしたの?セレス。・・・あら随分と明るいわねえ。もう朝になったのかし・・・ら・・・。」
お母様が私を心配して見たあと、私が出している光の粒を追って魔法で出来たシャンデリアを見つけてしまった。お母様は口をパクパクしながら私とシャンデリアを交互に見てきた。私が出しているのを信じられないのかな。
「おかーさま。まほー、できちゃ。しゅごい?」
私が出した魔法だぞ、と誇らしげに言うと、お母様は私に抱きついてきた。
「セレス!貴女は天才よ!こんな小さいのに魔法を使えるなんて普通はあり得ないの!セレス、貴女は凄いわ!」
お母様は大声でそう言って私を褒め称えた。お母様を喜ばせることが出来て良かったけど、ちょっと声が大っきかったのかな。
隣の部屋に控えていたシャロンがドアをノックしてきて、少し騒動になってしまった。
翌朝すぐに私が魔法を使ったことを王都にいるお父様宛に手紙を送ったらしい。お母様が言うには、近いうちに王宮へ行かなければいけないかもって話でけっこう大事になってきていた。
でもお母様は喜んでいるし、私も外の世界へ出てみたい。お父様のお仕事も見れるかも知れないし、今からワクワクが止まらない私だった。
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