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友沢裕二の転生

少し遅くなりました。

伯爵家長男に転生した友沢裕二のお話しです。


 俺は友沢裕二。高校2年。家はそんなに金持ちじゃねーし頭もそんなによくねー。

 でもいつかお袋や親父を楽させてやりたい。高校出たら働いて初任給でご飯をご馳走するのが俺の今の目標だった。


 高校では幸田次郎っていう親友がいる。幸田以外にも友達はいるけど、幸田と一番仲が良いと思ってる。修学旅行も同じ班だし楽しみだったんだ。あんな事故があるまでは。



 バスが事故って俺は死んじまったらしい。神様みたいなやつがそう言った。他にクラスメイトもいたけど、よくわかんねーけど転生すんのは8人だけらしい。

 幸田も一緒だったし、あいつに弱いとこ見せらんねーって思ったから出来るだけ元気に振る舞っていた。


 神様が異世界に転生させてやるけど、生まれってヤツを選んで欲しいって話だった。その中には、金持ちもあるし、貧乏だってあった。言っちゃ悪いが貧乏ってのはキツい。周りもそうだけど自分でも強引に納得させないと生きていけない。俺が選ぶなら金持ちしかない。


 リーダーシップのある新田と人懐っこい猫沢が王族を選んだ。俺は人の上に立つって言うのが想像出来なかったし丁度いい。俺は伯爵家長男になって上流階級ってのを経験してみたいって言った。

 隣にいる幸田は、俺が貧乏だっていう事実には驚いていたようだ。なんとか隠せていたので良かったと今更ながらに思った。


 最終的には幸田が孤児を選んだ。状況的に選ばないといけない感じだったのが可哀想だった。貧乏の辛さは一番俺が分かってる。幸田に励ましの言葉をかけた。

 


 神様が魔法みたいに俺達を光で包んで視界が白く染まったかと思ったら、何か音が聞こえていた。聞き慣れない言語のようだった。



 俺こと友沢裕二は、ネルケルト王国のエルダール伯爵家の長男ユージェステルとして転生した。


 父の名前は、ユリウスで国のお偉いさんのようだ。母の名前はエステルで社交界では奥様方の派閥を持っているらしい。

 俺はそんな2人の聡明さと美貌を受け継いでいるだろうと期待が高まっているそうだ。プレッシャーだぜ。


 俺はそんな説明を乳母のイーリスから聞いていた。何だかすごい家に生まれちまったなと思う。まだ喋れねーけど、第二の人生、頑張っていこう!



 1才ともなると目もはっきりと見えるし声も出せるようになった。イーリスの名前を呼ぶと嬉しそうにしてくれる。

 今日は初めて、両親に会う日だ。忙しい合間を縫って時間を作ってくれたんだから、コッチだって頑張んないと。


 初めて会う両親は超美形だった。窓から差し込む光で金髪はキラキラと光ってるし、目だって透き通った青色だ。

 2人は俺を見て固まっているようだ。何せ初めての対面だ。俺から声をかけよう。


「パパ、ママ。げんきだった?」


 ちょっとたどたどしくて恥ずかしかったから笑顔で取り繕う。すると2人は、顔を赤くしていた。


「か、可愛すぎないかうちの子!目元なんかエステルに似ているし天使のようだ!」

「そうね!でもスッと通った鼻筋はユリウス、貴方に似ているわね!」


 両親は俺のことを喜んでくれた。二度目の人生、異世界生活、不安だったけど楽しめそうだ!

 幸田もこっちに来てるだろうから一緒にこの幸せを分かち合いたいぜ!



 ある朝、自室のベッドから起き上がるとイーリスが窓のカーテンを開けていた所だった。


「あら、ユージェステル様。おはようございます。今日はお早いお目覚めですね。」

「イーリスか。おはよう!」


 俺は元気いっぱいに挨拶をする。ベッドから出て窓から差し込む朝日に目を細めていると、外に見える中庭に水をやっている庭師がいた。その庭師は手をかざしているだけなのに水が雨のように降り注いでいる。


「イーリス。あれ、なに?」

「あれは庭師のロアンですよ。あの雨のような水やりは彼の魔法です。」


 魔法・・・!そうだ、この世界は魔法が使えるんだ!俺も魔力があるってー話だったし。


「まほー!まほー!おれもつかえる?」

「あらあら、落ち着いてくださいませ。貴族の方はお生まれになった時から魔力を持っているそうです。

 今からならばまだ伯爵様方もご朝食をとられている所でしょうから、ご一緒にどうでしょうか?」

「いくー!いってパパとママに、きけば、いいんだね?」


 イーリスは目を細めて笑顔で頷いて、俺の支度を手伝ってくれた。


 

 廊下を走らないように早足で広間へ向かうと、父さんも母さんも朝食を食べ終えたところだった。俺は2人と給仕達に挨拶を済ませ席に着くと、魔法について聞いてみた。


「パパ、さっき、にわでろあんが、まほうつかってた。おれにもつかえる?」

「おお、そうか。魔法を見たんだね。大丈夫だよ。貴族に生まれた者は例外なく魔法を使えるからね。」


 父さんは笑顔で俺の質問に答えてくれた。やっぱり俺も魔法使えるんだ!そんなことを考えていると、母さんからこんなことを言われた。


「ユージェステル、まずは魔力がどれくらいあるか知りたいと思わない?魔力を持っていると怪我の治りも早いのよ。」


 魔力かー。どうやって確認すんだろ。でも怪我が早く治るってめっちゃ便利だな!


「ステータス・魔力、と言ってごらん?見えた文字をこの紙に書いてごらん。」

「すてえたす・まりょく。」


 父さんがそう言うので言ってみると、目の前に数字が表示された。


【魔力】350/350


「うわあ!」

「ふふふ、やっぱり驚くよね。かわいいなあ。」


 俺はびっくりして椅子の背もたれにぶつかってしまった。給仕に手渡たされた紙に数字を書いてから返す。給仕が父さんと母さんに紙を手渡すと両者とも驚いたように声を上げた。


「3、350!王族並みじゃないか!」

「ええ、そうね!これは良いニュースだわ。私達の子は天才ね!」


 2人は手を取り合って喜んでいる。俺はそんな2人を見てむず痒くなって笑ってしまった。


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