表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/60

油出ガエル

新作はじめました。よろしくお願いします。成り上がりモノになります。よかったら評価お願いします

ある日、漁に勤しんでいる村の元に、館から騎士たちがやってくる。

「全員、村の広場に集まるがいい」

兵士たちは剣を振りかざし、漁師たちを追いたてていった。

村のほとんどの人間が集まると、彼らの前に設置された台の上に騎士団長クロードが登場する。

「貴様たちには、今から狩をしてもらう」

「はあ?」

何を言っているんだという風な漁師たちに、クロードは説明した。

「我々が王都からもってきた干し肉も、あと少しで無くなってしまう。お嬢様たちは新鮮な肉をご所望だ」

それを聞いた漁師たちは、やれやれという顔をした。

「肉だって?この村には家畜なんて飼ってないぞ」

「こんな漁村で、何贅沢を言っているんだ。魚を食べればいいじゃないか」

そんな彼らを、クロードは怒鳴りつけた。

「だまれ!貴様たち下賎な者たちは知らぬだろうが、高貴なお嬢様たちの口には生臭い魚は合わぬのだ。鳥でも豚でも牛でもなんでもいいから、狩ってこい!さもなければ村を焼き討ちするぞ!」

一方的に言い放って、兵士たちは村人たちをにらみつける。

(あれ?お嬢様たちってタハミーネやコロンのことだよな。あいつら喜んで魚やシャコを食っていたけどな)

リカルは釈然としない思いを感じるが、父や漁師たちはそれを聞いて肩を落とした。

騎士たちは館に引き上げていった後、のこった漁師たちは、領主であるケイオスに相談する。

「お館様。どうするんですかい?この近くの山には、獣なんていませんぞ。いるのは妖蟲ぐらいですぜ」

「……仕方あるまい。なんとか全員で狩をして、鳥の一匹でもしとめて、それを献上するしかない。全員で取り掛かってくれ」

ケイオスに言われて、漁師たちはしぶしぶ山に入っていく。リカルも慣れない弓矢をもって狩に出た。



「どうせ鳥なんて落せる訳ないし、適当に時間をつぶして帰るか」

そう思ったリカルは、あえて森に入らずに近くの岩山にいく。その辺り一帯は涌き出ていて、かすかに卵の腐ったような匂いが漂っていた。

「ここの温泉をどうにか利用できるようになればいいんだけど、アレがボスとして居座っているからなあ」

そう思いながら温泉に近づいてみると、何か鼻歌のようなものが聞こえてきた。

「ん?誰かいるのか?」

不審に思って近づいてみると、近くの岩に幼い少女が着るようなワンピースが脱いであった。

「ま、まさか温泉に入るバカがいるんじゃ?」

慌てて覗き込むと、プクプクと泡立つ温泉の中に青いストレートの髪の美少女が入っていた。

いきなり現れたリカルを見て、その少女は硬直してしまう。

「きゃーーーーー!誰?ち、ちかん!?」

「ば、バカ!大きな声を立てるな」

リカルは小声で呼びかけると、少女によびかける。

「いいか!ゆっくりとそこから出て、こっちに来るんだ」

「いや。全部みられちゃいます!」

少女が自分の体を抱きしめて縮こまったとき、温泉の底が泡だってきた。

「ま、まずい。ええい!こっちにこい!」

「きゃっ!」

リカルは温泉に入り、強引に少女の手を引っ張る。

「いやーーー!こんな人が初めてなんていや!誰か助けて!」

「お前は何言っているんだ。いいから早くあがらないと!」

リカルがそういったとき、いきなり温泉の湯元から茶色い影が現れる。それは全身にイボがついた巨大な蛙だった。

「やばい。妖蟲油出ガエルだ!逃げろ!」

蛙のイボから油が染み出し、温泉を満たしていく。それに足をとられて、少女とリカルは足を滑らせた。

「うわっ!」

リカルたちはもんどりうって温泉の中に倒れこむ。次の瞬間、カエルから長い舌が飛び出し、少女とリカルに襲い掛かった。

「ま、まずい。このままだと!くそ。間に合え。『包甲蟲招来』」

舌に絡みとられる一瞬前、硬い殻が現れ、少女とリカルを包み込む。

「これで一安心……え?」

硬い殻ごと持ち上げられる感覚がして、次の瞬間リカルと少女はカエルに飲み込まれていった。


新作はじめました。よろしくお願いします。成り上がりモノになります。よかったら評価お願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ