釣り
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それから数日後
「なあお前、何しているんだ?」
騎士団が来て数日後、リカルが海辺で釣りをしていたら、ショートカットの活発そうな美少女に声を掛けられた。
「みたらわかるだろう。釣りだよ」
「釣り?」
少女は首をかしげながら、リカルの手元を覗き込んでくる。リカルは無視して、箱から餌を取り出した。
「うわっ!なんだよそれ!気持ち悪いな。なんか細長くてぬるぬるしているぞ」
「ほっとけ。これはワームスライムといって、よく釣れるんだよ」
リカルはスライムに針をつけ、海に投げ入れる。すると、わずか数分で手ごたえが伝わってきた。
「きた!これはでかいぞ!」
夢中になって手元の糸車をまわして釣り糸を引くリカルを、少女は興味津々にみつめる。しばらくして、細長い魚があがってきた。
「すげえ!それはなんの魚なんだ?」
「マンサという魚だ。これを焼いて食うとうまいんだぞ」
それを聞くと、ショートカットの美少女は涎をたらして魚を見つめた。
「食いたい!」
「しょうがないな」
リカルは持っていたナイフで半分に切り開き、携帯用の竈に火を入れてじっくりと焼き上げる。周囲にいいにおいが広がった。
「な、なあ、そのまま食えばいいのか?」
「ちょっと待て。この『魚油』にいれて……」
小皿を取り出し、魚を発酵して作り出した真っ黒い液体をつける。
「さあ、どうぞ」
「いただきます!」
ショートカットの美少女は、待ちきれないという風にマンサーにかぶりついた。
「うめえ!こんなの初めて食べた!」
マンサを食べた少女は、無邪気な笑みを浮かべて喜んでいた。
(初めて?この領の住人なら普通に食べているはずだけどな。あっ、思い出した。こいつは俺たちを追い出した貴族の令嬢の一人だ)
少女のことを気づいたリカルは不機嫌な顔になるが、少女は食べることに夢中で気づいていなかった。
食べ終わった少女は、キラキラした目でリカルを見つめる。
「おかわりをくれ!」
手を差し出してくるが、リカルはプイッと顔を背ける。
「やなこった」
「そんな意地悪言わないで、頼むよ」
断られても少女がしつこく頼んでくるので、リカルは意地悪く釣竿を差し出した。
「そんなに言うなら自分で釣ってみろよ。もっとも、貴族のお嬢様にできるとはおもわないけどな」
「なんだって!馬鹿にするな。あたしだってできるさ!」
馬鹿にされた少女は憤慨した様子で釣竿を受け取り、震える手つきでワームスライムを取り付けた。
「ど、どうだ!」
「ふん!問題は釣れるかどうかだよな」
「ムキー!」
少女は怒りながら釣り糸を海に投げ入れるのだった。
「なあ……いつまでこうしていればいいんだ?」
少女はじっと釣竿を持ちつづけているが、なかなか当たりがヒットしない。
「なんだ?あきらめたのか?釣りには根気が必要だぞ。そうやって魚が掛かるまでじっと我慢するんだ」
リカルが意地悪く言うと、少女はふくれっ面をした。
「あーもう!こんなのやってらんねえ!」
少女は竿を放り投げると、いきなり服を脱ぎだした。
「お、おい。何しているんだよ!」
「もうあったまに来た。潜って捕まえてやる」
そういうと、少女は海に飛び込もうとする。
「バカ!やめろ!」
リカルは慌てて少女に抱きついて止めた。
「なにするんだよ。えっち!」
「この辺りの海底には、暗黒大陸ノワールから渡ってきた恐ろしい妖蟲がいるんだよ!」
そうリカルが言ったとき、いきなり近くで水しぶきがあがった。
「な、なんだ?」
驚いて硬直する少女の前に、茶色の巨大なエビのような姿をした妖蟲が現れる。
「あぶない!」
咄嗟にリカルが少女を押し倒すと同時に、ヒュンという音とともにエビからパンチが繰り出される。それは近くの岩にあたり、粉々に砕いた。
「なんだよあのエビは!」
「エビじゃなくてシャコだ。妖蟲グローブシャコと呼ばれていて、この辺りの漁師から恐れられている。逃げろ!」
リカルが少女をかばっている間にも、シャコは二本の鉄球のような手で、目にも留まらぬ速さでパンチを繰り出し、周りの岩を砕いていた。
シャコのパンチは強烈で、小さなシャコでもベンチプレス70キロに相当し、不用意にちょっかいをかけたダイバーの手を骨折させるほどである。
「た、助けてくれーーー!」
思わず裸のまま逃げ出した少女だったが、岩場でまともに走れるはずもなく、躓いて転んでしまった。
倒れた少女に、グローブシャコのパンチが襲い掛かる。
「まずい!『包甲蟲招来』」
とっさにリカルは蟲式術をつかって、少女の体を硬い外皮で包む。そのおかげで少女の身を守ることができた。
「ブクク!」
獲物を邪魔されて、グローブシャコが怒りのあぶくを立てる。少女に手を出せないと思ったシャコは、リカルにパンチを放ってきた。
「おっと!『闇氷』」
それをかわしたリカルは、グローブシャコの下半身を凍らせて動きをとめる。
「とどめだ!『闇氷槍!』」
氷で槍をつくって巨大なシャコの口元を突き刺す。
「ブククーー!」
グローブシャコは泡を吹きながらひっくりかえるのだった。
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