04
視点 ?
隣の席のレオンは、いつもどこか遠いところを見ている。この国の王子様らしいけど、全然、そんな雰囲気はない。なんていうか、どこか寂しそうで、つい、声をかけてしまう。でもいつも迷惑そうな顔して振り払われる。
だからこそ、安心して、また声がかけられる。
私は昔から変に好かれることが多いのだ。ただ、親切にしたいだけなのに、急に目の前で裸になられたり、街中で告白されたり、踊りながら知らない人にプロポーズされたり、ろくなことがない。でも、レオンは、絶対に私を好きにならない。だから、好きなだけちょっかいをかけて、好きなだけ構える。
「お前、誰だっけ」
だって、いつもそう言うのだ。
「セシルよ。セシル。この学校で唯一の庶民」
「ふーん、どうでもいいな」
本当にどうでもよさそうで、それが本当に嬉しい。
「レオンはいつも何を考えているの?」
「……何を?」
「授業中もどっか違うところ見ているから」
「……、俺はいつも同じことだけ考えている」
「なに?」
レオンはめんどくさそうに私を見て、それから、口元を歪めた。片方だけ唇をもちあげる、なんというか、悪者っぽい微笑みだ。
「一生、隠さなきゃいけないことを、どうやって、隠し通すか、だな」
「……なにそれ?」
「ふん、お前にはわからねえよ。俺は可愛くなきゃいけねえーってこと」
「かわいい?レオンは別に可愛くないじゃん!」
「うるっせえ、黙ってろ、ボケ!大体、お前、誰だよ!」
べし、と私の頭を殴って、レオンはそれから、また外を見た。
と、不意に、その顔がとろり、甘く、歪む。
「カスティーナ!」
そう、彼には、とても大切な人がいるのだ。三階の窓から飛び降りるぐらいに。
「レオン!」
思わずその背中を追いかけて、窓の下を見ると、そこにはとても甘いふたりがいた。金色の髪と銀色の髪がクルクルと回る。
「……いいなあ……」
羨ましい。
「恋、してみたいなあ……」
この、学校で、誰か、好きになれたらいいなあ。広い空を見て、私はため息を吐いた。
主人公




