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Cyber survivor  作者: 無名人
20/20

新たな時代へ

 それから五年後、センボウとチヨコが結婚するという知らせを受けて、アイナ達は駆け付けて来た。二人は立派な式場を借りて、揃って着飾っていた。

「センボウさん、チヨコさん、おめでとうございます!」

アイナは真っ先に二人に近づき、花束を渡した。

「ありがとう、アイナ」

「兄さん!」

続いてヒトミがセンボウに花束を渡した。

「おめでとう、お幸せにね!」

ハヤテも一緒に駆け寄って来る。

「あの、僕も兄さんって呼んで良いですか?」

「ああ、良いぞ」

隊員達はどんどん現れ、センボウとチヨコに花束を渡していく。

「どうかお幸せに、司令官!」  

タケルはそう言ってセンボウと握手を交わした。

「大学でも頑張っているようだな?」

「はい!」

センボウはタケルの肩を叩いた。

「おめでとうございます!」

アマネは、チヨコの方に花束を手渡した。

「アイナの事は僕に任せて下さいね」

イクトはセンボウを強く見つめた。

「二人共々これからもよろしくお願いします!」

コウノスケは、センボウとチヨコに向かって深々とお辞儀をした。

「これからも二人で頑張って下さい!」

最後に、ミーシャが自分のロケットランチャーにクラッカーを詰めて、一気に放出した。

「みんな…、ありがとう、これからもよろしく」

センボウは泣いているように見えたが、隊員達の顔を見てすぐに笑った。




 三年経って、二人の間に一人の男の子が産まれた。チヨコは子供のお世話の為、Cyber survivorに居ない日が続いた。その間、センボウはチヨコの事を気にしつつ、居ない分を上手く補っていた。

「センボウさん、どうしましたか?」

「いや、自分の子供が出来るのって不思議な気持ちだな…」

「私だってある意味センボウさんの子供じゃないのですが?」

アイナはそう言って首を傾げた。

「そうかもな…、アイナだけじゃなくて、前に作った九つのアンドロイド達も子供のように可愛がっていたよ。もちろん、アイナも」

「そういえば…、赤ちゃんの名前って何なのですか?」

「名前か?名前は…、ケンタ、PG-26-Kt15だ」

センボウはそう言って、アイナに写真を見せた。そこには、チヨコとセンボウとケンタが仲良く写っている。

「そういえばアイナ、今日から新しい仲間か増えるぞ」

「えっ?」

センボウは隊員達を呼んだ。

「このCyber survivorに新しい仲間を迎える事にした」

扉が開いて中から現れたのは、なんと、ユウダイだった。

「今日からよろしくお願いします、皆さん」

「いやいやいや、絶対反対だから!」

ユウダイは、アマネに向かって微笑んだ。

「別に…、許した訳じゃないからね!」

「ユウダイは有罪判決を受けて服役中で、その一環でCyber survivorの一員になる事になった、まぁ仲良くしてやってくれ」

ユウダイはCyber survivorの制服にすっかり着替えられていた。

「国際サイバー特殊警察がそんな判断をするなんて、珍しいですね」

「俺達の業績が評価されたって事だな」

タケルがそう得意気に言うと、アマネが顔をしかめた。

「あんた、何もしてないじゃない」

すると、タケルはアマネを睨みつけた。

「そういうアマネだって何もしてないだろ?!」

アマネは愛想笑いのつもりなのか、高笑いをしてタケルに背中を向けた。

「まぁまぁ二人共、喧嘩しないの」

「ミーシャ…」

タケルはミーシャに向かって顔を赤く染めた。

「これからも、みんなでCyber survivorをやっていきましょうよ!」

「何か強引に丸く納めてない?!」

「まっ、アイナらしいというかな…」

イクトは肩を撫で下ろして、アイナの方を見た。


 その後、アイナはセンボウとチヨコとケンタの所にやって来た。四人はCentralcityから遠く離れた草原に居る。

「可愛らしい赤ちゃんですね」

「そうだろう?」

ケンスケは頬が膨らんでいて、目は閉じていた。

「人間とアンドロイドが愛し合っても良いのですか?」

アイナはふとセンボウにこんな事を聞いた。

「あぁ…、知り合いにそんな人が居たような気がするな…。別にお互いを思うのに種族とかの垣根は無いはずだよ。アイナだって、イクトがアンドロイドでも、人間でも、関係ないだろ?」

「確かに、そうかも知れないですね…」

センボウはケンタを抱え、前を向いた。

「アンドロイドやAI…、それにサイバー世界、それらは最初は人間が造り出したものかも知れない。だけど、それらは人間が使う域を超えて発展していった。これは、人間が全ての現象を操作出来ないというのを意味している。」

「自然もそうだけど、人はそれを使えるだけで、操れる訳じゃないんだよ」

空は何処までも青く続いていた。

「人と人との垣根、壁を造るのも壊すのも、最終的には自分自身だ。周囲の目もあるかも知れないけど、自分が越えようって思ったら必ず超えられる。」

チヨコはケンタを抱いて笑った。

「これからの時代を造るのはケンタ、君だよ。君ならきっと、本当に人間とアンドロイドが、共に生きる世界を作れる。世界には、本当に色んな人が居るさ、平等にするのは難しいかも知れないけど…、みんなが笑顔で居られる世界、それが僕が望む世界だ」

「そうですね…」

アイナは、センボウとチヨコ、それからケンタの顔を見つめて頷いた。

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