最終部 受験は団体戦
センター試験当日。
泰樹の会場は自宅から15分ほど歩いたところにある大学の講堂だった。もちろん、由佳も亜里沙も同じである。戸田については住所が若干離れているため別会場になると思っていたが、どうやら同じ会場らしい。
泰樹と由佳、それに亜里沙は会場まで一緒に向かい、戸田とは大学の正門で待ち合わせをする。前日のメッセージのやり取りで、4人でそう約束していた。
ひとまず3人で、足元が雪で悪い中、会場へと向かう。
「はぁ、とうとうだねぇ」
そうつぶやいた亜里沙は、由佳と泰樹の間に陣取って滑らないように両方の腕を掴みながら歩いていた。
「おい、滑っても道連れにするなよ?」
「あー縁起悪いんだよ『滑る』って!」
「今滑っておけば本番滑らないってのもあるけどな」
「はいはい二人ともケンカしない!今怪我したら全部パァになるから気を付けて歩こうね!」
泰樹と亜里沙がいがみ合ってるところへ由佳が仲裁に入る。全く、俺だって由佳の隣に陣取って腕つかみたいのに…。
由佳と会うのは2週間ぶりである。センター試験が近いということもあって、年末の最終登校日以降会うのを控えていた。亜里沙も先ほど「戸田と久々に会う~」と言っていたのであっちのカップルも同じような状況なのだろう。
「お!いたいた!」
大学の正門に着くと、戸田がロングコートにマフラーという格好で、一人で寒そうに待っていた。こちらを見つけるなり、手を振ってくる。
「悪い!待たせた?」
「いや、俺も今着いたところ」
泰樹が謝ると戸田は全然と笑顔で返してきた。
「おお、亜里沙、元気?」
「お陰様で誰かさんに毎日電話して勉強教えてたおかげで元気ですよーだ」
「悪い悪い、でも毎日声聞けて嬉しかった…」
「はい惚気はそこまでー」
由佳が戸田と亜里沙の会話を遮る。
それが何故かおかしくて、4人で笑ってしまった。
「じゃあ、頑張りますか!」
笑いが収まると、戸田が手を4人の中央に差し出してきた。
「あったりまえじゃん!」
亜里沙が戸田の手の上に自分の手を重ねる。
「そうだよ!全力、だそう!」
由佳が亜里沙の手の上に自分の手を重ねる。
「悔いのない戦いを!」
泰樹が由佳の手の上に自分の手を重ねる。
「絶対合格!」
「「「「おーっ!」」」」
泰樹が音頭を取ると、4人の重なったかけ声が、天高く、遥か彼方まで伸びていった。
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その後は卒業式まで、あっという間に過ぎていった。
バレンタインデーは、二次試験が近いということもあって無しにしていた。
最初その提案を由佳は渋っていたが、泰樹が代わりに卒業式にチョコレート頂戴と言うと納得してくれた。
その話をした1月の最終日、予備校の帰り道。由佳から将来のことについて話をされた。最後、どう思うかと聞かれたが、もちろん、泰樹は賛成だった。
そして2月後半。二次試験。
泰樹、由佳、戸田、亜里沙の4人は全員国立の大学を受けるため、試験の日程がほとんど被っていた。二次試験前日、みんなでメッセージを送りあって励ましあった。




