強くて冷たい冬の風
一瞬、冬の冷たくて強い風が私の体に吹きかかってきた気がした。
雪が降り積もる12月。地面に積もったふわふわの雪も、一回踏まれるとその部分は固くなり、様々な靴裏の模様となって形を変える。
よく、ドラマやアニメで見るような「しんしん」と降る雪なんてあるわけがなく、大概は風に乗って強く吹き付けたり、たとえ「しんしん」と降ったとしても水分を多く含んだべちゃべちゃの雪だったり。本当は、ドラマのような雪が降ってほしいのだけれども。
そう、雪が強く吹きつける中、由佳は予備校の帰り道を歩いていた。
隣にいるのは私の彼氏。やっと、やっと繋がることができた。紆余曲折あって、苦労して手に入った分、喜びもひとしきりだった。
ずっと、このままだったらいいのにな。
時なんて、止まればいいのに。
もう、こうやって一緒に帰れるのもあと数えるほどなのかもしれない。
もう少ししたら離れ離れになってしまうかもしれない。
受験なんてどうなるか、誰も分からない。
第一志望を突破できるとも限らないし、浪人する可能性だってある。
彼氏と同じ大学を志望してはいるのだが、だからといって同じ大学に行けるというわけでもない。
最近そのようなことばかり考えているからか、心の中で付きまとってくる「焦り」と「不安」に加えて、「寂しさ」もより一層増幅されてきている。
その「寂しさ」が今、いつも以上に強くなった由佳は、たまらず彼氏の腕にしがみついた。
突然しがみつかれた彼氏は驚いて、体をビクッと震わせる。
「うおっ!どうした?」
「なんか…くっつきたくなった」
彼氏の顔が赤くなる。全く、相変わらずかわいいやつだなぁ。
くっついている間は何もかも忘れることができる。
この幸せが、この幸せが、少しでも長く、続きますように。
由佳がそう願った瞬間、由佳と彼氏の間を引きはがすかのように、強くて冷たい風が由佳の体に襲い掛かかってきた。
高校三年。12月のある日。




