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第二部 再会


「あ、私、クラスに財布忘れてきちゃった!」


由佳が突然思い出したかのようにスカートのポケットを探り始めた。由佳がこちらを向いて両手を合わせ、ごめんなさいのポーズをする。


「ちょっと待っててくれない?すぐ取ってくるから!」


「はいはい、待ってるから行っておいで」


早智子が由佳の肩をポンポンとたたくと、由佳は「さんきゅ!」と言って小走りで廊下の人混みの中へ消えていった。


道なんて、間違えるはずがない。だって、ここの地に住んでたこと、あるのだから。


由佳が階段を上っていくのが見える。早智子はトイレ近くの壁にもたれかかった。


この学校に、本当は通うはずだったのかもしれない。でも、それは叶わぬ夢だった。まあ、今通っている学校で大満足なのだが。


選択した道を、後悔はしていない。後悔なんて、したくない。だって人生一度きりでしょ?選んだ道が会っているか間違っているかとか、そういう考え方から間違っていると思うの。選んだ道が、正解になるのだから。


もし、ここの高校に通っていたら。

もし、何もなければ。

あの人と楽しい高校生活が送れていたのかもしれない。

そう思うと、ちょっと、切なくなったり。センチメンタルになる。

早智子は出てきそうな涙をこらえた。

何のためにここに来たのか。しっかり、やり遂げないと。


「おまえ、なんでここに…」


ふと、左から声が聞こえた。見なくてもわかる。この声の主。早智子はゆっくりと左を向いた。


「やすぽん、何も変わってないね」



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泰樹は校舎でぶらぶらを再開していた。


本当は午後に戸田と一緒に回ろうとしていたのだが、戸田が電話で呼び出されてしまったため泰樹はまた一人になっていた。戸田に何回か連絡しているが、一向に返事が来ない。ちょっとぐらい返事くれてもいいじゃないか。仕方ないので、泰樹は再びぶらぶらすることにした。

皮肉なことに、先ほど受けた戸田からの説教が若干効いていた。もっと学園祭を楽しめ、と。まあ、正論だったのでぐうの音も出なかったのだが。


ふと、由佳が目の前にある階段を駆け上がっていくのが見えた。急いでいるみたいだ。こちらに気づいていない。自分の教室に向かっているみたいだ。

何かあったのだろうか。というか、今日は友達と一緒にいるんじゃなかったのか?そんな疑問を抱きつつ、泰樹は由佳が上がってきた階段を下る。


なんか、よく分からないが、とても嫌な予感がする。

ここから先は行ってはいけないような気がする。

でも、その理由がないのであれば別に行っちゃいけない理由なんてない。

泰樹は階段を降りると、用を足したくなったのでトイレの方へ向おうとした。


え?


トイレのそばの壁に、一人の女性がもたれかかっている。

よく見たことがあった姿。


なんで、


なんで、


ここにいるんだ…


「おまえ、なんでここに…」


泰樹は思わず、心に思っていたことを口に出してしまった。


「やすぽん、何も変わってないね」


心の中から消え去ったはずだった黒い物質が、また集まりだして、一つになった瞬間だった。


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