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アオハルなんて くそくらえ  作者: 社畜社会
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第四話 「陸上部に天罰を!」

 ――あれから2,3週間がたっただろうか。

 この学校の陸上部は学校では目立ったり目立たなかったりする。


 ある一部の生徒にはよく知られていて、それ以外の生徒は何も知らない。すごいマイナーな部活なのだろう。

 しかも俺が入ろうとしたら


「そんな部活は知らない」


 って先生に言われたし。あの反応絶対知ってるだろ!ってツッコみたくなったけどなんとか耐えて他の先生に尋ねてみると、なんとこだまがえし!こだまでしょうか?いいえ。


 俺は今部室にいるのだが、相変わらず先輩たちが練習をする気配はない。っていうか、俺もはじめは練習しろ!って呼びかけてたんだけどいつの間にかコントローラーをもっていることになれてしまってですね. . . . .まぁ、あきらめたわけです。


 ほのぼのとした部室には、相変わらず景色が変わることはなく小説を読む人、ゲームをしている人、スマホでアニメを見てる人、トランプを二人でやっている――


「ええ?二人!?」


 ついツッコんでしまった。だって神崎先輩が二人でトランプやってるんだぜ?そりゃあ反応してしまうでしょ。ていうか本当にびっくりするレベル。冗談抜きで。

 つい目の前の光景に思わず目をこすってみた。だが景色が変わることはなく、女子二人がトランプをやっている。


「ってええ?なんで二人?」


 同じく片桐先輩も気がついたみたいだ。そうだ!もっと言ってやれ!この人はいつでも一人じゃなきゃいけないんだよ!ていうか陸上部の皆はぼっちです。お、俺はちが. . .違うんだからね!(ツンデレ)

 誰に向かってつんつんデレデレしているのかと恥ずかしくなったところでゲーマー早河先輩が説明をしてくれる。


「ああ、この人のことまだ説明してなかったかな?」


「はい、誰ですか?っていうかなんで早河先輩は知ってるのに片桐先輩知らないの?」


 そう片桐先輩に問いかけると、何かを思い出すような仕草をして数秒が経過。


「. . . . . .ああ!」


 何かひらめいたみたいに声を上げた。やっと思い出したのかこの人。ほんと自分にしか興味がないようなヤンキー面してるから悪いんだよ!. . . . .普通に悪口になっちゃった。てへぺろ、とかやってみたい。


「ああ、京先生か。久しぶりですね。」


 片桐先輩がそう言うと先生は手に持っていたトランプを机に置き、俺たちのほうに目を向ける。振りかえったもんだから長い髪が揺れ、顔の前が髪の毛でばさばさになっていた。顔はすごい無気力でやる気なさげな顔してる。あ、この先生俺が陸上部のこと聞いたら知らないって言った人だ。


「ああ、私が京だ。吉田京。そこに居るのが噂の一年生か?」


「え、は、はい。一年C組の霧里悠人です。えっと、陸上部の顧問なんですか?」


「ああ、私が陸上部の顧問だ。そしてなぜ私がここに居ると思う?」


 そしてって、あなた先生でしょう?言葉の使い方ぐらい考えてくださいよ. . . . .。ていうか顧問なのかよ!この先生絶対陸上部のこと嫌ってるでしょ。だって今でも居心地悪そうにしてるもん。


 先輩たちはなぜ?と問いかけられても答えが出る気配はない。

 そこで、先生が口を開く。


「おい、テメェらさんざん好き勝手やりやがって。そのくせして全国大会行ってるからいいんだけどさ。ゲームやるのよくないよね?遊ぶのよくないよね?練習しようね?」


 いきなり京先生の態度が変わった。ええー、怖!怖いんだけど、この人。いきなりこんなのになるなんていい人も悪い人も分かったもんじゃねぇな。ていうか女の人は裏表が激しいからね。だからこの部室内の八割は性格悪いことになる。


「だーかーらー、今年もあの時期がやってまいりました!今日の八時に本校舎に集まってください。来なかったら部費止めるから。」


 先輩たちは一斉にため息をつく。そして京先生は部室から出て行ってしまった、部室に沈黙を残して。長い沈黙。やめて!人の沈黙見るの好きだけど自分を巻き込まないで!


 その沈黙を砕くかのように高宮先輩が口を開く。


「よし、準備しないとな。どうする、部長?」


「はぁ、しょうがない。七時に皆で買い出しに行くぞ!この部室に集合だ!各自千円ぐらいもってこい。よし、解散!あ、霧里は残っとけ。話がある。」


 そういうと、先輩たちは荷物をかたづけて部室から出て行ってしまった。取り残された俺と片桐先輩。先輩に残れって言われたときの恐怖心は異常。何言われるか分からないしめんどくさい、怒られる、謝らなきゃいけないの三コンボなのである。これが友情コンボなわけない。


 しかし、先輩はそういう話をしたかったわけじゃないようだ。さっき京先生が言っていたことについて説明したいらしい。俺の願望としてはそうしてほしい。


「霧里。俺たちが部費で好きかってしてるの知ってるよな?」


「はい。. . . . .ていうかそんな堂々と言わなくても。」


 あら、自覚はあったのかしらん。ほんと好き勝手するのはいけないよね。最近俺も部費でお菓子買ったりするのは抜きで。


「まぁ、それを知っているんなら話が早い。学校側としてはあまり高い金は消費したくないわけだ。」


「まぁ、そうですね。部員が少なかったら部費は下がるし。」


「そうだ。だけど俺たちは全員実績がある。だから必然的に部費も高くなるわけだ。分かるか?」


「はい。まぁ強い人は優先されますもんね。俺も中学の頃は俺より強いやつがいて俺の扱いがヒドかったの覚えてます。マジでトラウマもんでした。でもそれが何と関係してるんですか?」


 そう、実際強い人は社会でも子供の世界でも優先される。人を蹴落としてでも上に行こうとするのがそれを証明している。でも俺はそのカースト制度にすら入れない冗談なしのガチのぼっち。中学のクラスの女子が「うちマジでぼっちなんよねー。」とか友達と話してたの見て死ねって思いました。まじで殺すぞ。


「そうだ、ここからが本題なんだ。あいつらは部費を陸上に費やしてほしいと思っている。でも俺たちは遊びに費やしているんだ。先生たちはそれを知っているが俺たちの実績があるせいで部費を下げることができない。」


「まぁそうですね。俺今絶対教師にはならないって決めました。」


「ま、俺も絶対ならねぇけどな。俺みたいな生徒居るし。それはそうとして、先生らは部費を下げることができない俺たちをよく思っていない。そんなわけで、陸上部を続けたいならある契約をしろと言われたんだ。」


「そ、それは何ですか?」


 嫌な汗が頬をつたった。だって先輩がこんなに真剣な顔をするときは恐怖を感じているときか怒っているときだけだからだ。っていうかつねにこの人怒ってるからね。地雷踏んだら静かになるけど. . . . .。今度他の先輩からこの人のトラウマを聞いておこう。


「それはな. . . . .一年に一回だけ. . . . . .」


「一回だけ?」


「一回だけ. . . . .校舎でおにごっこをしなければならないんだ!!」


「. . . . . . . .」


 つい黙ってしまった。おにごっこ?契約?バカ?いやいや、なんで鬼ごっこしなきゃいけないの?もっといい方法があったんじゃない?意味が分からないんだけど。メリットないじゃん。


「しかも、その鬼ごっこは陸上部が全員捕まったら一週間朝校舎の掃除、毎日先生の手伝い、買い出し愚痴聞きパシリ、and more。これが、思った以上にきついんだ。しかも夏休みの宿題増やされる。」


 俺が聞いたのはただの三小節。なのに、その言葉の中からは感じたことのない恐怖感。あふれ出る汗。一瞬で負けてはいけないと思わされる。. . . . .ていうかand moreって言ったのこの人恥ずかしくないのかな?すごい堂々としてるんだけど。うわー、こんな先輩にはなりたくないな。でもなるんだろうなぁ、俺も。


「話はこれだけだ。七時に部室、忘れるなよ?解散。」


 その解散の言葉と共に先輩は荷物をまとめて外に出て行ってしまった。取り残された俺。なんて部活に入ってしまったのだろうと今頃考えさせられる。ていうかこの先輩解散って言葉好きすぎでしょ。中学生がホームレスになっちゃうのかよ。やめてよ、そういうの著作権にかかるからさ。


「マジかよ。」


 その言葉は誰にも聞こえることもなく、部室の中で響いて、消えた。




 ――現在の時刻は七時ちょうど。


 俺は先輩の言われたとおり部室に向かって走り続けていた。やべー、家から出るかどうかですごい迷っていたらこんな時間になってしまった。右が勝ったら外に出る、左が勝ったら家から出ないって一人じゃんけんをしていたらこんな時間になってしまった。ちなみに勝ったのは左。でも後出ししてしまったから仕切り直ししたらこんな時間になった。


 校門を入ると俺はあり得ない光景に絶句してしまった。


「絶対奴らを殺すぞ!!!!」


「「「「「「「「「おおぉぉぉぉぉ!!」」」」」」」」」


 それは、円陣を組んで犯行声明をあげる先生たち。その中心でさけんでいる京先生。あの人何やってんだ。まじで警察通報したらあれ捕まるんじゃねえの?やっちゃう?やらないけどな。


「ストレスはたまってるか!?」


『おおおぉぉぉぉ!!』


「狩りの準備はできたか!?」


『おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ』


「やるぞーーーー!!!」


『おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!』


 校門近くは騒がしい。っていうか、この人たちすごい怖いんだけど!こんな人たちと鬼ごっこするとか. . . . . .戦争じゃねぇか!ノーカウント!ノーカウント!. . . . .ていうかマジでおにごっことか意味分かんないよね。しかもそれがリアルになったらすごい怖い。


 先生たちに見つからないよう急いで部室に向かっていた。円陣を横切るとき京先生がこっちを見てゆがんだ笑顔を向けてきたけど気にしなかった。俺確実にのろいがかかったと思う。


 とにかく時間に遅れてしまった。現在の時刻は七時十五分ぐらい。片桐先輩にまたいやみ言われる。本当に弱みを握ってやりたい。でも先輩のトラウマって俺のトラウマでもあるんだよな。

 急いで部室前まで行くと、先輩たちがたむろしている。何か食べながら。


「ちょ、何やってるんですか?」


「おお、霧里。遅いから先に買い出し行ってきたぞ。お前の分もあるから後で食えよ!」


 そういって先輩は俺におにぎりを投げてくる。っち、梅干し味か。ツナマヨがよかったのに!


「っていうか買い出し行く必要あったんですか?」


「んー、あんま必要ないんじゃない?気分でやったとか?」


「ないのかよ!!」


 ほんと、ないのかよ。まあ気分で行動するのが陸上部のモットーだもんね。で、モットーってどういう意味?でも、皆の行動って気分次第だもんね。仕方ないよね。うん、俺は絶対こんな人にならないようにしよう。本当の駄目人間になってしまう。


「さて、じゃあ作戦会議をしようか!」


 片桐先輩がそういうと、先輩たちは部室の中に入っていった。その後に俺も続く。


 ああ、本当に何が始まるんだろうか。不安な気持ちを抑えながら渡された梅干し味のおにぎりをかじった。

 こんにちは、社畜社会です。

 ほんと、人生って社畜だらけ。しかも社畜でもかまわないと思う俺がいます。どうしよう、本当に社畜専用の俺になってしまいそうです。

 というわけで今回もこんな話にしました。あれ、ちょっと青春物語くね?って思った方。合ってます。俺も青春もの書いてみたかったんです。書けないけどね。

 まぁ今後ともどうぞよろしくお願いします!


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