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対馬海峡防衛戦

アーマーパペットとモビリティユニットのラフデッサン1話に上げました。

言葉だけだとわかりにくいのでイメージの参考にしてください。

・・・それにしても今回も約6000文字・・・長いですかねー?


基地のジムに行くと見知ったジム仲間が数人トレーニングしていた。

俺もベンチプレスを始める準備をしながら、さっきの電話のことを考えていた。

ベンチプレスは最低二人でやらないと危険だ、できれば3人でやるのがいいんだが、トレーナーのいないこの時間、他人のトレーニングをじゃまするのも気が引ける。

ちょうど上がりにはいった女性を捕まえて、見ていてもらうことにする。

今日は軽め80kgで回数をこなすことにした。

ベンチプレスをしながら、見ていてもらう女性と話をする。

「鈴木2曹は対馬で外食とかにでるのかな?」

「ええ、頻度は高くないですが・・・」

「じゃあ、こういう感じの店を知らないか?」

そういって電話の後、考えた条件を並び立てる。

「それって、デート用ですか?」

・・・いやそういう訳ではないんだが、言われるとそう見えてもおかしくないかもしれない。

「曹長が私を連れていってくれるなら喜んでお供しますが?」

「今ベンチプレス中だ。動揺させないでくれ。」

「あれ、私でも動揺してくれるんですね。こんな男女でも・・・」

「ちょっと待ってくれ」

そういってバーベルをハンガーに戻すと、

「誰がいったかは知らないが君は男女じゃない、十分に魅力的な女性だ。それだけ鍛えても、しなやかなままの体は女性の長所を生かした訓練法の証だと思う。」

真剣に話し出したら彼女が顔を背け視線を逸らした。

「別に口説いてる訳ではない。同じ戦場に立つ同胞の一人として君のことは真面目で性格もよく、背中を預けられる女性だと信用している。」

そこまで話したところで、彼女の肩が小さく震え出した。

笑うのをこらえているようだ。

「いいんですよ。ヘタレの高橋に口説けとは言いませんから・・・まったく真面目すぎるのも問題ですよ。」

その後で彼女は「ひばら屋」という店が条件に合っていると教えてくれた。

そこまでいって彼女はジムから出ていった。

リップサービスで今度つれていってくれとは言われたが、ヘタレにそこまでは期待してないだろう。


中途半端になってしまった感のあるトレーニングになってしまったのでベンチプレスをやめて、縄跳びに変更する。

程良く体も温まったことだし、縄跳びの負荷が丁度いいかもしれない。

そのままインターバルを挟みながら30分ほど続けてシャワーを浴びて部屋に戻る。

やっぱりジムはいい。

程良く疲れて悩みもなくなり、今夜はぐっすり眠れそうだ。

俺はメモ帳にひばら屋と書き残すと、ベットに倒れ込んで眠った。


翌朝は夜明け前に非常呼集でたたき起こされた。

あわてて制服を着込むとブリーフィングルームに駆け込む。

この間わずか5分、制服の乱れを直していると当直士官が

現れて説明が始まった。

「諸君、敵攻撃隊の大規模襲撃が確認された。数は1500機程度だが、重武装型だ。500ポンド爆弾で爆装していると思われる。

近場にいた「あかえい」が迎撃隊を出したが、火力を集中されて苦戦している。

進行速度は40km、風に乗って飛んできているのであと2時間程度で対馬に到達する見込みだ。

当方は対馬市街への影響を防ぐため、志願者によるホバークラフトでの迎撃を計画している。

非常に危険ではあるが事態は一刻を争う。

志願者はAP装着後連隊本部へ通信を入れてくれ。

志願者以外は外周陣地での通常防空任務とする。

質問はないか?・・・では解散!」


解散のあと人形乗りは自分のハンガーに向かって全力で走っていく。

第23連隊は軽連隊編成だがそれでも650機のAPが一斉出撃するのだ。急がないと朝の渋滞のようになってしまう。

今回の作戦では志願兵以外の危険性は大きくはない。

もっとも外周防衛になった時点で市街地爆撃は防げないであろうが・・・

俺はトップ集団でハンガーに飛び込むとチックに発信前手順のチェックリストを実行させながら、手足をAPに固定していく。

HUDに状況が提示され、志願作戦に参加するかしないかを問う大きなウィンドウが開かれYES/NOが点滅している。

「YESだ。」

俺の音声に反応してYESが残り、NOが消える。

すぐに連隊本部から機密データが飛んできた。

「命令受領確認。暗号コード問い合わせ。」

フールプルーフと機密をかねたルーチンワークだ。

チックから返答がかえってくる。

「JPSDFーJ06準拠、閲覧権限者受領者のみです。」

「開けろ。」

その間にも俺はAPの装着を続けている。

ほかの機体はここまで高性能なAIは積んでないのでHUDとパネル操作に追われているだろう。

「集合場所と作戦命令です。本機はホバークラフト「しらさぎ」に搭載になります。4番埠頭です。」

「こちらターキー01本機異常なし。コンディショングリーン。搭乗者、高橋仁曹長。発進許可求めます。」

マシンボイスが響く。

発進許可までチック任せだ。

すぐに連隊本部から発進許可がでる。


ガチャンという音とともにハンガーロックがはずれ機体がわずかに震える。

そのままサーボモーターを使うと一気に40kmのトップスピードで格納庫を飛び出す。

装着に250秒、新記録だ。

周りに誰もいないのを確認すると4番埠頭へナビに従う。


4番埠頭までは約2km、3分というところだ。


俺が4番埠頭につくとあわてて渡し板がホバーから埠頭にのばされた。

ゆっくりと渡し板を使って「しらさぎ」に乗り込む。

「チック、作戦命令書提示」

「わかりました。高橋」

HUDに命令が提示された。

本命令受領後15分以内にしらさぎに乗り込み、待機。しらさぎが対馬北西20kmの地点に移動後、敵と交戦。

第一目標、風船爆弾の撃破、第2目標、敵ドローンの無力化、副次目標、ホバークラフトの護衛。

「まじかチック。乗ってる船より爆弾破壊するのを優先しろってさ。」

「対艦ミサイル装備型はいないと連隊本部は判断しているのでしょう。もしあるなら「あかえい」に撃っているはずだという判断ですね。」

「ならいいけどな。」

「PiPi・・・おにいとまき経由で交戦データを手に入れましたが、空対空ミサイルは見られますが対艦ミサイルはないようです。」

「空対空ミサイルでもホバークラフトは簡単に吹き飛ぶんだけどな・・・」

「しかしすごい数の爆弾ですね。・・・風船爆弾ですか?」

「ああ、爆弾を風船のなかに放り込んで水素ガスで浮かせる。それをジェット搭載型ドローンが引っ張ってくる。所定位置で切り離して無線で風船を割って爆弾投下。安価な無人爆撃機さ。」

「気球の群れみたいなものでしょうか?」

「風船の整形次第で空気抵抗は減らせるからな。最大で100kmぐらいは出るだろう。今遅いのはドローンが複数の爆弾を引っ張ってるせいだな。」

「出力が足りないとかですか?」

「むしろ、風船同士をぶつけないようにコントロールする限界というやつだと思う。風船にもラジコンの舵ぐらいはついてるだろうしコントロールはしてるだろう。」

さらに状況データをチックは入手してきた。

陸自以外のデータもあるが出所を追及してはいけない。

「先導のドローンそのものは武装されてるし、迎撃専用にプロペラタイプドローンも配属、航続距離の不足は風船に乗っかって来てるから問題なし、今回は空自さんも近づけないみたいだな。」

「そのようですね。「あかえい」の搭載の第203航空団は二個中隊で全力でも40機ですから、「あかえい」防空用に1個中隊出すと20機しか回せません。」

「20機対1500機じゃあな。」

「ええ、ですから今「おにいとまき」が最大速度で接近中です。「なるとびえい」も急遽目的地変更でこちらに向かっています。」

「なるとびえい?」

「あかえい型二番館です。現在四国上空」

「とおいなー。」

「それでも1時間20分で到達予定です。爆撃にはなんとか間に合うでしょう。」

「速いな。さすが飛行船。」

チックの話を聞いて防衛体制も攻撃体制も時間・分単位の勝負になってきたことにちょっと恐怖を感じた。

常に制空権を維持しないと防衛できない時代・・・嫌な時代に歩兵になったもんだ。

俺が機内で情報整理している間に友軍が大挙して乗ってきた。

2個小隊・60人くらいか?チックが正確な数を58人と教えてくれた。

彼らは手に武装として5.56mmNATO弾を使用するM27 IAR(歩兵自動火器)を持っている。

これだと500mでゴム風船を貫けるか微妙な線だが、火力の大きい7.62mmNATO弾を使うM240機関銃を使う人間は少数派だ。

ドローンは当たれば壊れるが基本であり、弾道特性がよく命中率が高くて、なにより軽いM27 IARの人気は高い。

今乗り込んできた中でもM240は二人が持っているだけだ。

早朝の緊急発進のせいで普段の装備のままの出発だ、彼らにミスはない。

だが高度1000m以上の風船爆弾を破壊できるのは彼らのみという可能性もある。

IAR装備のAPにはホバーの防衛を担当してもらおう。


「しらさぎ」のエンジン音が高まった。発艦である。


アメリカ軍のホバークラフトをベースに作られた、この自衛艦は1000馬力のエンジンを浮上用に4つ、推進用に2つを組みあわえている。

波の高さが3m以下の現状なら最大速度70ノットで航行できる。

・・・つまり作戦地域まで10分ということだ。

その間に乗り込んだ人間の中で最上位者はM240もった第3小隊小隊長の少尉、彼が指揮官で先任曹長は俺ということで直ちに命令ネットワークを確立させる。

指揮官、榎本少尉には風船爆弾の高度と材料の強度からM240以外は威力不足であることを提言。M27は接近するドローンを破壊するのを目的に全周防衛の配置にしてもらった。

そして武装を持ってない俺は・・・いつものように敵のドローンを乗っ取り、同士討ちさせるということで作戦を進めた。

あっという間の10分が過ぎると、水平線上にユスリカのような点の塊が見えた。

「マジかい。・・・チック」

「ドローン1500機、爆弾が3000発です。風船の大きさから500ポンド爆弾だと思われます。」

「一機や二機奪っても意味がないな。サイドプロープ解析。使ってない周波数で過去敵が使っていた周波数を割り出せ。」

「候補がものすごい数になりますが。」

「かまわない。あれだけの数動かすんだ。かなりの周波域が消えるはずだ。」

「了解解析開始します。CPU5列並列処理開始、アシストモーター供給停止します。」

アシストモーターが動かなくても立っているだけなら何の問題もない。

外部カメラを操作して敵との距離を測る。

敵との距離は10kmというところか・・・時速40kmだとあと15分。ここを突破されると30分で対馬に到達される。


チックの全力稼働を示すHUD表示の下の時間表示が2分を過ぎた。長くて短い時間だ。

「使用電波128周波数確認。変調信号各4。合計512候補、他は操作プログラム対応と思われます。」

返答が返ってきた。

「ドローン操作に使われた例はあと12波長域、144周波数です。」

「その中で頻度の高いものから各波長でピンを飛ばせ。」

「了解、バラージで照射します。」

チックは俺が何を考えているか分かったようだ。

俺が探していたのは風船を割る電波。

誤動作防止のために操作用の波長域以外に設定するはずだ。

なおかつ従来の設備流用のため、既存設備の周波数。

信号は確実性を重視するため、ON/OFFくらいの簡単さのはず。

そこで探査ピンをかければ・・・


「照射域2波長で風船の破裂確認。照射続けます。」


ドローン集団はまだ原因を把握してないようでそのまま侵攻してくる。


後ろではシャボン玉が割れるように風船が破裂して落ちていく爆弾が海面を爆撃している。

爆弾の信管がONになっていたらしく海面で轟音が続いている。


5km以上先だが、ホバーに到達する波の高さは10m以上になっている。

おかげでホバーは最大出力で上昇に振っていて船の安定を優先しているので微速後進が限界になっている。


・・・考えてみれば爆弾3000発で5kt以上の威力だ。戦術核並みだな。


そんなことを考えているとすぐに現実に引き戻された。

爆弾がなくなって軽くなったドローンは速度を100km以上に上げ、こちらに攻撃をかけてきた。

爆弾を破壊された腹いせだろう。こっちに向かって火力全開で掃射してくる。

ホバーのいたるところで火花が上がる。

たちまち穴だらけになりホバーのスカートにも穴が開いていく。

APにも命中弾は出ているがさいわい貫通する様子はない。


500m以下なった時点で全APから応射が始まる。

しかし確率的に10000発に1発でも当たればいい方だろう。

それでも敵の密度が高いおかげで6機撃墜確認できた。


「チック、乗っ取れ。」

「了解、敵暗号解析。デコードtypeCH0515。アクセス、5機支配完了。交戦中のドローンに攻撃開始。」

「数を増やせ!」

「周波数変更 デコードtypeCH0102。アクセス4機支配完了、交戦させます。」

「まだ増やせるか?」

「周波数変更・・・・デコードtypeCH1102・・・・アクセス6機支配、交戦させます。」

「あと一回いけ!」

「周波数変更・・・・・・デコード・・・・・type・・・・0213・・・・アクセス3機支配・・・・交戦入ります。」


さすがに18機をコントーロールしながら暗号解析はもう無理っぽい。

とりあえず18機はホバーの周辺で近づくドローンを打ち落としている。

すでに10機は落としている。

「現在損耗5機、演算余力復活しました。周波数変更、・・・デコードtypeKR606・・・アクセス3機支配交戦入ります。」


・・・この無茶な演算能力と敵兵器の乗っ取りがチックと俺のスコア叩き出しの理由である。

条件が良ければ20機を維持したまま、損耗を気にせず交戦を続けられる。

敵が多ければ損耗覚悟で無茶な攻撃を仕掛けるし(現状がそうだが)失った分は乗っ取って増やす。

とはいえ、1500機が1400機になっても変わりはない。


「しらさぎ」は機銃掃射でボロボロになっていた。

エンジンは2機が停止。ホバースカートは裂け、全力でも水面上30cmを維持するのが限界。

あと一機でもエンジンが死ねば船を捨て脱出せざるを得ない状況だ。


目の前のHUDのスコアはすでに26機になっている。

援護射撃でも10機は落としているので支配した分と合わせればこの部隊で50機は落としたことになる。

・・・すごい戦果だ。勲章ものだな。

とはいえ海の藻屑にならなければだが・・・。


「OK、スケアクロウ、こちらT・ウッドマン、位置情報同期・・・完了。C4Iシステム稼働。観測データ0Z領域に投射」

チックが勝手にしゃべりだした。

「高橋、アリスが来ます。」

そう言った瞬間だった。


まるで鎖でつながったように敵が爆発していった。

「は?」

今の一撃で20機は吹き飛んだぞ。

爆発の鎖は次から次へと生まれてくる。

慌ててドローンが海面すれすれに逃げ出した。

目の前のHUDのカウント数はALICE Company 264と表記されている。


一機のMUが上空でホバリングしていた。

翼には01のナンバー。


素直にMUってかっこいいと思った。

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