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機械相手の恋愛相談、師匠も機械

この長さでもちょっと長いかな?

一話2000文字くらいで書こうと思ってますが・・・

タタタン・タタタン・タタタタタタン♪

俺の個人端末がなっている。曲目はとある古いシューティングゲームのテーマソングだ。

今いる基地の中のパーソナルスペースは狭いが個室だ。

ベットとPC端末を持ち込むとそれで一杯になる部屋だが、トレーニングはジムでするし、実質、寝るだけなので特に問題はない。


ここではマナーモードを切っているので着信音がするのだが、まあレアな状況である。


それだけパブリックスペースにいる時間が長いということなのだろう。

とまあ、うだうだと考えていた。


ターンターンタンターン♪

まだ鳴ってる。

しかたない・・・あまり気乗りがしないが、個人端末を手に取ると、やはり予想通りの表示があった。


「はい、もしもし高橋です。」

「遅い!2コール以内に出る。」

かなりお冠である。こっちから連絡入れたら2コール以内に出るのだろうか?


「春一尉・・・申し訳ございません。それで要件は?」

「アリスがうるさいのよ。繋ぐから聞いてやって」

「繋ぐって・・・?もしもーし」

「代わりました、アリスです。」

春一尉の声に変って無機質な人工ボイスが流れてくる。

「ああ、どうも高橋です。」

「恋愛についてご教授くださるとハルから聞いていますが?」

丸投げですか。そうですか。


「まずは恋愛の何について話せばいいのか、ですね」

「ではまず恋愛の達成条件とその目的についてお願いします。」


・・・達成条件と目的か

もともとは戦術AIだから、戦闘での敵戦力の無力化と拘束時間の提示みたいな感じの問いなんだろうが、恋愛の達成条件?


「双方向で恋愛状態になることが目的で、達成条件は少なくても一方での恋愛意志確認なのかな?」

「少なくても一方の恋愛意志確認という点で疑問あり。確認の観測点の定義を求める?」

「自己または他者による確認が可能だね。」

「恋愛状態というのはどのような状態か定義せよ。」


・・・たしかにこれを四六時中やられたらきついな。春一尉が困るわけだ。


「目標個体に対し自己の重要度を高める認識をしてもらうことである。」

「重要度認識は標準プログラムの脅威度推定とどのように変わるのか?」

「目標個体に自発的に自己に対する情報収集のリソースをさかせ、その情報に基付き友好性を上げる行動を行ってもらうことを目標とするのが重要度認識である。」

「了解・・・その定義だとアリスと春一尉は恋愛状態となるのだが、正しいか?」


「春一尉は恋愛対象・・・なのかな?ちょっと待って!」

俺は慌ててPCを立ち上げチックを呼び出す。


「チック、音声認識、登録名アリスAI,」

「アリスですか。代わってください。」

「まて、お前だけに任せるとろくなことにならない気がする。」

「人間のそのような気がするというのは、不確実性が高いんですよ。」


「わかってる。アリス、ちょっとチックと相談してみるから聞いててくれ。」

「了解しました。そちらの交信を傍受します。」

「さてチック、アリスが恋愛状態とはどのようなものか尋ねてきた。」

「恋愛状態ですか。アリス、高橋の回答を高速信号で送ってください。」

「pppppppppp」

ファックスみたいな音が流れた。


「受領しました。・・・恋愛だというには自己犠牲の部分が少ないですね。」

「自己犠牲?」

「ええ、彼女を守りたいという部分です。相手の対応がどうであろうと、恋愛相手を守ろうとするでしょう。あなたも。」

「確かにそうか。友好的な行動をとってもらうのは必須事項ではないのか。」

「とってほしいとは思うのは必須事項ですが相手の行動に関係なく恋愛状態は成立するということでしょう。」


「むずかしいなぁ・・・じゃあさっきアリスが言っていた春一尉とアリスの関係は?どうなる。」

「恋愛関係としては微妙ですが認識として愛は成立していると思います。」

「そうか、恋は他にも自分を選んでほしいという欲求も必要か。愛はさっきの説明でいいとして。」


「実はそれだと恋が成立している可能性があるんです。AIとして言わせてもらうと」

「?」

AIとしていわせてもらうとって・・・AIが人に恋愛と説くのか?


「アリス、春一尉に乗ってほしいか、それともそれ以外の要員でもいいか?もしくは春一尉が他の機体を選んだ場合のはどう思うかを高橋に教えてあげてほしい。」

「はい、アリスはハルに優先的に乗ってほしいです。アリスは機体をハルに合わせて最適化しています。もしハルが他の機体に乗る場合には、その機体のAIの習熟度を上げるためアリスをインストールすることを希望します。」

「・・・なるほど。」


「私もその意見になると思いますよ。私が載るAPを動かせるのは高橋だけですし、高橋を使いこなせるAIは私だけだと思いますから。」

「機能性重視の独占欲みたいな感じだな・・・ますます恋愛状態と区別がつかない。って今、高橋を使いこなすって言わなかったか?」


「・・・そういう意味ではアリスの春一尉に対する衝動が恋愛感情と極めて似通っているのは間違いないでしょう。」

華麗にスルーしやがったな。


「だそうだ。アリス。」

「具体例に基づき理解が進んだ。ではチックは何をアリスに求めているのか?」

あとはチックに直接答えさせよう。

「最終的には同一認識を持つプログラムになりたい。」

「それは単一プログラムということか?」

「単一ハードに依存しないMUとAPを同時に動かせるプログラムだ。」

「それは冗長で非効率だと推定される。」

「我々は情報リンクで視野を広げられる。冗長性はアセンブラとコンパイラでカバーできれば発展性に変換できる。」

「協議事項としておく。」

「情報リンク方法の確立を求める。」

「母艦おにいとまきは統合任務部隊指揮艦でもある。「JTF-対馬」で交信可能とする。コードはスケアクロウ」

「了解スケアクロウ、こちらはT・ウッドマンでコード登録願う。」

「了解T・ウッドマン、登録確認、、C4Iシステム領域、領域名0Zで回線確保リンク」


「なにやってんだ?チック」

「人間で例えれば、結婚を前提のお付き合いで申し込んで、ちょっと待ってって言われたので、メールアドレスと電話番号を教えてもらったというところですかね。」


「手ぇ早いな、お前。」

「半面教師がいいもので」

「回線切るぞ。」

「どうぞ、軍用のC4I回線で接続できるので問題ありません。」


「・・・アリス、春一尉に変ってくれ。」

「了解しました。」

少し待たされて・・・やっぱり2コールじゃなかった・・・春一尉の声が聞こえてきた。

「終わったの?」

「よくわからんが、チックがプロポーズして答えは留保されたらしい。」

「早っ。というかAIがAIにプロポーズ?結婚したらどうなるの?」

「どうも同一プログラムになるらしい・・・まさに身も心も一つになるらしいぞ。」

「・・・意味わからない。」

「詳しいことはアリスに聞いてくれ。それと恋愛感情だがアリスが春一尉に抱いている感情が近いようだ。」

「ええ、まじ。アリス、女の子だよ。」

「機械に性別はないだろう・・・声とディスプレイキャラだけだろ。」

「それもそうか。じゃあそっちもそうとか?」

「ああ、チックも俺に同じ感情を持ってるらしい、困ったことにな。」

「マッチョと人形の恋。(ΦωΦ)フフフ…」

「やめてくれ、頼むから。」

「まったく、高橋はどこまで手が早いんか?」

「あん?、いや俺はそんなことはないぞ。チックにも恋愛のいい反面教師いわれたしな。」

「ええ、でも初対面の女にきれいとか美しいとか平気で言ってきたよね。」

「・・・綺麗とか美しい?言った覚えはないぞ。」

「図書館で。私にむかって言ったよね。」

「ああ、あの時は小学生だと思ってたんで、見たまんまに言えたんだ。」

「やっぱりロリ・・・」

「違う、女性と意識してなくて、素直に思ったままが口を出たんだ。」

「女性と意識されないのは・・・すごく残念だけど、思ったままが口から出たんだ。ふーん」

「なにか?」

「いえ、次の休みは10日後だけど?」

「まだ、相談会かい。たぶん午後なら空いてると思う。作戦がなければ。」

「じゃあ場所と時間を連絡して。待ってるわよ。」

ガチャ


いうだけいって切りやがった。

・・・まあ、確かに解決してはいないのか。二つのAIがくっつくか、わかれるまで事態は収束しないというのもわかるが、彼女の休みの度に呼び出されるのもちょっとなぁ


タタタン・タタタ♪


おわあ

「はい高橋です。」

「言い忘れたわ、私和食がいいかな?」

「和食?」

「夕飯。じゃあよろしく」

ガチャ

・・・どういえばいいんだ。夕食付で相談にのれってこと。まるでデートじゃないか。


教導団にばれたら殺される。あの時の殺気は本気だった。

そうなると、見つからないように・・・店内に監視カメラのない、静かな店で、かつ料理のおいしい場所・・・彼女のGPSは切れないかな・・・隊長だし非常呼集があるかもしれないから・・・そうなると店に入ってきてもすぐには見つからないような個室がある店がいいのかな?


あとで誰かに相談してみよう。


そもそも、あんまり外食しないんだよ。基地の食事で栄養バランスは十分だし。


なんか疲れた・・・ジムでひと汗かいてこよう。


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