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教導団の紳士な皆さん

俺たちが図書館を出ようと自動ドアに向かうとガラスの向こうに10人ほどのオッサンがいた。

なんか、目が血走ってるやつもいるな。危ない集団のようだ。刺激しないように出よう。

自動ドアが開いて春一尉が俺について出てくるとたちまち危ない集団に取り囲まれた。

「おぅおぅ兄ちゃん、うちのお嬢に手を出そうとはいい覚悟だ。」

「ちょーーーとツラ、かしてもらおうか」

「トイレの裏で男と男の話し合いさせてもらおうか。」


どうも俺に絡んでるらしい。

珍しいこともあったもんだ。俺の筋肉見て絡むやつは今までいなかったんだが・・・


「あんた達!」

後ろから甲高い声が上がる。


「お嬢、こいつに騙されているんです。」

「お嬢が世間知らずなのをいいことに適当なこと言いやがって!」


「お嬢じゃない小隊長とよびなさい!」


「でもお嬢・・・」

「なに俺らなら、陸自の一人ぐらいなんとでもなります。」


あー、この不良中年軍団は教導団なんだ。下は30後半上は40台ってとこか。

小学生の娘がいてもおかしくない連中がそろってるわ。

なるほどお父さん気分で娘隊長に接してるのか。

戦闘では絶対会いたくない集団だな。忠誠心が怖すぎる。


こうしてみても教導団って最低30才くらいだから、彼女がいかに優秀かわかるな。

その彼女が俺の前に行くと先頭の男にいきなり「本の角アタック」を敢行した。

思わずうずくまる40男・・・可哀そう・・・


「だいたいなんであんたらがここにいるのよ。」

腰に手を当て仁王立ちで部下と同僚に詰問する春一尉。

「いえお嬢が(バコッ)小隊長が、いいつけ通りに(ベシッ)提案通りに、街に出るときはGPSを作動してくださったから、ワンダーランドのスポッターが図書館の個室にいることを教えてくれたんですが電子戦科からクラックした画像が流れてきて、そしたらマッチョに抱っこされてるじゃないですか!慌ててとりあえずとるものも持たずにすっ飛んできたというわけで!」

「膝に座るくらいあなたたちともしてるでしょう?」

「われわれは親愛の情ですが、その男は絶対、色欲の上ですよ。」

・・・いまさらっと聞き捨てならないこと言ったな。このロリコン教導団!


「そう・・・いえば・・・個人回線で聞けば、肉体関係を教えるとか言ってたような?」

春麗ちゃんそこで千烈脚、決めないで、おじさんたちの必殺技ゲージがマックスになってる。


まさに殺しのプロ、10人に囲まれて殺気を放たれた、俺はこそこそと彼女の背中に隠れ、囁いた。

「人工知能の相談だって教えてあげて。じゃないと危険。」


「ああ、そうね。彼はAPのトリプルエースでものすごいAIを育てているの。アリスについて相談しただけよ。」

「APのトリプルエースって高橋仁か。」


誰か俺のことを知ってる人がいたらしい。

「はい、そうです。」

答えると知っていた人間が破顔一笑。大声で話し始めた。


「あのヘタレ高橋なら、お嬢の身に危険が迫ることはない。断言してやる。」

断言されたよ。

「なんでも小学校の時に惚れた女の子が当時マッチョが好きだったらしくて、マッチョを目指しトレーニングして、高校の時に告白に行ったら、あまりの筋肉量に気味悪がられてふられたって有名なやつだ。」

おい、どこで漏れた俺の個人情報。

ああ、春一尉の憐れみを帯びた優しいまなざしが心に刺さる。

「それ以降、軽い女性恐怖症らしい、筋肉のみに愛情を注いでいるそうだ。統合幕僚本部の情報部が出元だから信用できるぞ。」

不良中年たちの雰囲気がまあそれならという感じに落ち着いていった。

「でもお嬢、(ガコッ)小隊長、外では男性の膝の上はやめてください。こういうヘタレでないと性的に興奮する奴もいますので。」

「この私の体形で?」

「そりゃあ、我々みたいに娘がいる世代になると理性も働きますが、そうでない奴は獣ですからね。十分に注意してください。」

「わかったわ。じゃあ、高橋曹長。状況を確認してあとで連絡する。」

「はい、了解しました、春一尉殿。」


敬礼を決めると彼女はちょっと寂しそうに答礼してきた。

そのままオッサンたちを引き連れて彼女は去っていった。


固くなるのもしかたない、オッサンたちの圧力が怖い。

ああ、春一尉の箱入り状態って、この状況も関係してるのか。納得した。

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