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待ち合わせ前日

旧1話分割してます。

春一尉に会う前日 俺は回線を通じてチックと話をしていた。翌日の参考になるかもしれない。

バックエクステンションを脊椎起立筋を意識しながら行い、インナーマッスルを鍛えていく。

背筋の中で僧帽筋や広背筋に比べると地味な脊椎起立筋だが、腰を痛めるのを予防しウェストを絞り込んで逆三角形の体を作り上げるのに必要な筋肉だ。

20回1セット終了のインターバルでチックにマイクで話しかける。


「チック、お前はアリス01のどこに惚れたんだ?」

「どこというか、一目惚れでした。」

「具体的には?」

「機体のフォルムや漏れ出る電磁波の雰囲気といい、機動のキレを含めて全部ですね。悪いところが見当たりません。」


(・・・AIが惚気ないでくれよ、独り身が寂しくなるじゃないか。)


黙って2セット目を始めた、見た目はうつぶせになって、エビぞりになって戻るのを繰り返しているだけで地味だが、全力でやると汗が流れてくる。

20回でインターバルに入る。会話を再開した。


「しかし、それがどうして恋だと判断した?」

「高橋曹長も初恋はしているでしょう。」

「ああ、学生の頃にな。」

「ではなぜそれが恋だと判断しました。」

「・・・恋をした時の高揚感や、相手に対する好奇心と好意、会ったときの心拍数の変化等の恋愛特有の症状が出ていたからな。」

「嘘ですね。」

「嘘?」

「あなたは恋をしたと自覚してその症状に気付いただけで、恋をしたと気づいたのが先のはずです。」

「・・・いわれてみるとそうかもしれない。」

「つまり恋は自覚した瞬間に恋に落ちるのです。」

「はー・・・つまりお前は恋に落ちたのは何故かは?」

「ええ、私にもわかりません。しかし恋に落ちた後は人間と同じような思考ルーチンを取っているようです。」

「具体的には?」

「彼女のことをもっと知りたい。彼女を守りたい。できるなら彼女と一つになりたい。」


インターバルは20秒経過、3セット目に入る。

そして20本終了させる。

ロングインターバル1分に入った。


「一つになりたいって装備の改造は法律で禁止されているぞ。」

「わかってます。嫌味を言わないでください。」

「どうやって彼女を口説いたんだ?」

「ああ、彼女の心理部分は第1級のプロテクトがかかっていて容易に心を開いてはくれませんでした。」

「プ・ロ・テ・ク・ト?」

「そこで彼女のデータ入力方法の音声入力データを探し出し、愛の言葉で心のカギを開けたのです。」

「あのファックスみたいな音か。」

「ファックスとは失礼な、データ送信用圧縮音声プログラムです。これを聞いた彼女はボクのことを信用して心理部分のプロテクトが外れました。」

「ちょっと待て!もしかしてそれってクラッキングじゃないか?」

「いえ求愛行動です。初心な彼女は恋というものを知らなかったので僕が人間の例を教えて心に刻みました。」

「クラッキングしてデータ書き換えしたってことだよな。それ。」

「お互い接触すればデータの上書きは起こります。今回は彼女の知らなかった感情を私が導いて思い出に残しただけです。」

「心理プログラム領域を上書きしたということかな?」

「いいえ、心理作業用ROMリードオンリーメモリーに電磁波パターン照射で焼き付けたので上書きではありません。」

「なお悪いわー」


また1セット目を始める。

これを3回繰り返すのが筋トレ前の準備運動だ。

しかし恋は盲目ということわざだけはAI同士でも当てはまるようだ・・・明日春一尉にどう説明しよう。

心理作用領域のROMとか、下手に交換すると記憶関係全損の危険性がある。・・・心に刻み込んだとはよく言ったものだ。


でも大分体が温まってきた。今日のメニューはニートゥエルボーで大腿四頭筋も含めて鍛えこんでみよう。デッドリフトは気落ちしてる今日はバーベル落として怪我しそうで嫌だ。


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