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突入!

超高度合金ですが比重が14.7と・・鉄の7.9の倍近い比重です。鉛でも11.3なのでそれで全部作ったツルハシだと30~40kgはあると思います。

片手で振るえるのか?・・・筋肉は全てを解決するのです。

くまたかが国籍不明船に到着する前に東の空にたくさんのロケット花火のような炎が見えた。

ドローン(ジェットエンジン搭載型)の出撃だ。

「チック、ドローンが南に向かっている。邪魔できるか?」

「了解・・・コード解析・・・完了。デコードType CH0708、アクセス4機支配・・・高橋、この機種では妨害できません。」

??

「単発ジェットエンジン搭載型でPL-5FⅡ空対空ミサイルを運搬するだけが目的のミサイルキャリアーです。、武装はAAM×1・・・のみです。」

つまり交戦してもほかのドローンを一機落とせば終わりということか・・・

「おそらく航空機が射程に入ったところで射撃して自動誘導に任せて攻撃。ドローンは帰還するものと推定されます。そのため搭載性能は大きいですが運動性は最悪です。」

下手に動かすと失速、墜落しそうな機体だそうだ・・・まいったな。

「味方との推定接触時間は?」

「およそ20分、アリス01との接触になります。」


対策を考えていたら「くまたか」ブリッジから国籍不明船発見の連絡がきた。

予想はしていたがLRⅡ(Large RangeⅡ)タイプのタンカーだ。

おそらく10万トンクラスだろう。全長280m舷側は水面から30m以上も聳え立っている。

「くまたか」が警告文を送信しているが反応がない。

おまけに船名と識別番号の部分が黒く塗られて確認できないようになっている。

巨人がゆっくりと動いているようなものだ。

タンカーというのは非常に頑丈にできている。

高張力鋼用いた二重構造の船殻をもっていて、その外殻はこのタイプだと、50cm以上の厚さである。

イージス艦でも船殻は7cmくらいの厚さであるから、どんなに厚いかわかるだろう。

戦艦大和の46cm砲にも耐えて、貫通できないほどだ。


そんな船が相手だ300tのミサイル艇が全力で攻撃しても痛痒にも感じない。

ましてや、軽荷で本来水面下の赤色塗装が水面上に見えている。

浮力も十分なタンカーは基本沈められない。


「チック、あの船が電波の中継所になっていそうか?」

「それはほぼ間違いないと思いますが・・・設備は甲板かブリッジでしょう。空挺で降下攻撃でもかけないと無理です。」

「空挺だと降下前に空対空ミサイルで落とされる。」

「その意見は賛成しますが・・・」


「大丈夫だ。すべては筋肉が解決する!」

「高橋?何をするつもりですか?」


俺はいったんAPから降りると、付属の工具箱からツルハシ、スコップ、バールを取り出した。


再装着を終えると、右手にツルハシ、左手にバールをつかんだ。

「高橋、塹壕作成用の工具で何をするつもりですか・・・?」

「アシストモーター定格出力へ!」俺はにこにことリラックスポーズのように笑いながら「ふんっ!」とツルハシを振り回しタンカーの鉄板に突き立てる。

ギュインという何とも言えない軋み音ともに10万トンタンカーからゴーンと鐘のような音が鳴り響く。

高橋の上腕二頭筋がミシミシ言いながら膨らみ、片手の力だけでAPを持ち上げる。


「ふんっ!」その状態で、今度は左手でバールを振るって舷側に突き立てる。

足で蹴って、ツルハシを抜くと、今度は左手だけでAPを持ち上げる。

次は右手、まだ左手とツルハシとバールを突き刺しながらフリークライミングのように船の舷側を登っていく。

「ほんとに・・・力技ですね・・・高橋」

30回も繰り返しただろうか・・・舷側が終わっていた。


APに積まれている工具は測定されたAPの増強パワーに合わせてとんでもない頑丈な合金で作られている。

おれのターキー01だと最高ランクの頑丈さがいるため柄までタングステンカーバイト・コバルト合金でできている。

ダイヤモンドでしか削れない硬さと、海底トンネルのドリルの刃に使われるほどの持久力を兼ね備えた合金である。

自衛隊の工具は成型は焼成時のみ、その後の調整は費用の面から不可というとんでも合金だが、こいつにかかれば鉄板など豆腐のようなものである。

「いや、押し込むのに必要な力は鉄に釘打つようなもんですから・・・」

チックがいうようにパワーは必要だ。

だからアシストモーターを使って動作拡大1.5倍のスイングで叩き込んだのである。

「だが、ちゃんと加減したぞ。・・・せいぜい突き刺すのは10cm程度。深すぎると抜けなくなるからな。」

しかし僧帽筋と広背筋と大胸筋には負荷が強かった。

ちゃんとプロテインを飲んで休養して超回復させたい程度には痺れが来ている。

が、そんな暇はない!

甲板に降り立つと同時にバールとツルハシを腰にくくりつけ、代わりにスコップに持ち替える。


そのまま船中央の目立つでかいアンテナに突撃&野球スイングで一撃で根元をへし折る。

ブリッジの方に向かって木が倒れるように倒れていく。


「あとは電波反応は船首のマストだけです。」

チックの指示が飛んだ。目の前のHUDに残り時間が表示される。

2:30

これなら楽勝と思ったが・・・さすがにそんなに楽にはいかないようだ。

艦首の方からライフルの発射音が鳴り響く。

チュンチュン言っているので慌てて折れたマストの後ろに隠れたら、マストが爆発した。

「対戦車ミサイル!」

歩兵が持てる最大の火力であろう対戦車ミサイルを持っていやがった。

身動きが取れない。


「チックAAM,全弾あそこにぶち込め!」

「了解しました。発射。着弾15秒後14・・・・3・2・1今!」

奪っていたドローンからマッハ2以上の速度で突っ込んできた空対空ミサイルは、次々と敵のあたりで炸裂していた。


「よし!突撃!!」

スコップを構えて100m先のアンテナに突っ込む。

生き残りがいたらしくライフルがチュンチュンいっている。

「高橋、Fordonsmina 13です。」

ディスプレイの敵兵の横に赤丸で囲まれた対戦車用指向地雷が見えた。

「おーい、誘爆しなかったのかよー」

HUDの表示時間は1分を切っている。そのまま走って近づきながらスコップの代わりにバールへ持ち変える。


「これでもくらえ!」

あと30mという地点でバールを回転するように投げ飛ばす。

時速150km以上で対戦車指向地雷にぶち当たり、跳ね飛ばす。


「ラリアーット!!」

スコップを構えなおす暇もなく右腕のラリアットでアンテナに衝突する。

ミシィといういやな音が響き腕が千切れた。

アンテナは大きく揺れたがまだ立っている。


「からのローリングソバット!」

バキィという轟音が響き、回転後蹴りでアンテナはとどめをさされた。


HUDの表示時間は0:00から0:01、0:02と増えている。

接触予想時間は過ぎた。

あとはミサイルが発射されなかったことを祈るしかない。


「アリス01から入電、敵ドローン、コントロールアウト」

「間に合ったか・・・」

ひとまずは安心である。

「それじゃ掃除して帰るか。」


残った左手にスコップを握るとまるでビルのようなブリッジに向かった。


強行突入・・・するわけない。ブリッジの根元をぐるりと掘って崩す予定である。


早く降伏してくれるといいが・・・これぐらいはしないとバールの始末書でブツブツ言われそうだ。

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