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周辺状況

この世界では韓国はすでに崩壊しています。

朝鮮民族の7割は本土に移住させられています。

半島そのものはインフラの整った南部は漢民族の入植地になって、北部は鉱業で地下資源を掘り出すのが主産業になっています。

一応朝鮮民族の国として高句麗国がロシア傀儡国で存在しますが、独立を認めているのはロシア以下4か国のみです。


編成官の辞令が下り、正式に准尉に昇進した。

曹経験2年だと必要最低年数の半分しか経過してないが今は戦時・・・2号防衛章のせいで問題にもされなかった。

で、昇進したが給料はほとんど変わらない&面倒は増えるであんまりいいことはない。

准尉までは自衛隊では幹部に入ってないせいで、まさに中間管理職の悲哀を一気にまとめたような階級である。

とはいえ、編成官の辞令に従って10名の部下を選抜し申請しなくてはならない。

選抜者がJTF-JSの陸戦隊になる。

部下のほかにAPや装備の申請もしなくてはならない。

ターキー01は異動が決まっているがそれ以外の機体はどうするのか。武装構成をどうするのかと考え込みながらリストを作っていく。

作戦可能域は釜山から安東、ソウルとほぼ韓国全域が作戦可能地域だ。

川か湖か海があってガソリンスタンドがあれば実質作戦可能という状況が、この結果を生み出している。

実際には敵の対空防衛網の問題もあるが、そのあたりはどこまで考慮してくれるか?


韓国内全域での戦闘行動の可能性、この原因は今から10年ほど前にさかのぼる。


2010年代末に迷走しまくった韓国は中国の経済植民地になり第二次太陽政策により北朝鮮との融和を模索した。

その結果在韓米軍の撤退が決定。2023年にはすべての部隊が、沖縄・グアムに移転した。

その直後にロシアがクリミアの要領で、北朝鮮の反「金王朝」勢力を支援し、ウラジオストック対岸付近の分離独立を煽ったのである。

その影響により情勢が流動化した北朝鮮に対し、中国は治安維持を名目として20万の人民軍を派兵、更には一気に38度線を突破し、韓国全土を武力占拠したのである。

北朝鮮への派兵は、北朝鮮の核開発・ミサイル開発に対する軍事制裁を、韓国への進軍は南へ逃亡した「金王朝」政治犯の確保を名目に行われた。

加えて半島全土の沿岸に対し、政治逃亡防止を名目に、強力な海上封鎖も実質した。

これに対して日本はEEZの防衛に留まり、アメリカも佐世保・沖縄・台湾を結ぶ線を最終防衛ラインとして、中国の朝鮮半島占拠を黙認した。

ここに、60年に及んだ朝鮮戦争は終決した。「金王朝」「韓国政府」双方の崩壊という皮肉な結果によって。

そして中国は、朝鮮半島全土の領有を宣言、楽浪軍区を設立した。


韓国政府関係者は人民軍進攻前に脱出、コリアロビーを通じてアメリカに『亡命韓国政府』を設立する事に成功したが、アメリカ政府は南シナ海の情勢を重視し、半島問題へは深入りをしなかった。

一方、ロシア寄りの反「金王朝」勢力はウラジオストック対岸域に『高句麗国』を樹立した。

『亡命韓国政府』『高句麗国』双方が朝鮮半島全土の領有を主張し互いに牽制し合う状況となり、何れもが国際世論の支持を得られず、朝鮮半島は実効支配地となった。


日本はこの事態に至り、核武装を選択。H2B型ロケットを改良した戦略核搭載型大陸間弾道弾とイプシロンロケットをベースにした戦術核搭載型即応飛翔体が開発され、後者は対馬に配備された。同時に対馬には大規模なレーダー設備と防空システムが導入された。

中華人民共和国はこれに対しドローンの波状攻撃で対応、防空戦のコストに悲鳴を上げた自衛隊が導入したのがエイ型甲殻飛行船とMUそしてAPである。


これらの過程で朝鮮民族の戦時難民は発生したが、その数は想定より二桁小さく1000名ほどであり、むしろ腐乱死体が流れ着いた日本海側の防疫が一番の問題になったほどであった。


中国がここまで徹底した封鎖を行った理由は資本と技術者の流出のほかに、一人っ子政策で発生した男女比の不均衡の是正のため、出産可能な女性を確保するためという噂があった。


いずれにせよ、日本の対馬は北京に向かって突き立てたナイフという役割を担うことになり、重武装化されていくことになった。


結果として、沖縄の在日米軍は南シナ海の監視、対馬の自衛隊は東シナ海と朝鮮半島の監視という役割分担ができたのが2030年代初頭であった。


ざっとこれまでの歴史を振り返りながら、当時の人口分布をもとに物流を予想する。

この辺はチックの独壇場だが・・・

その推論から生き残っているであろうガソリンスタンドを地図にマークしていく。


そのうえでドローン出撃基地座標を重ねて作戦可能域を決めていく。

予想よりも広い・・・障害地形や敵防衛勢力については最悪ランクを想定せざるを得ない。


部隊の性質を考えると機動性は落とせない。

APの装備武装をどうするか・・・真剣に悩まざるを得ない。

部隊での構成を間違えれば詰む可能性もある。


APの手持ち武装はそれほど悩まないで済む。軽機関銃やグレネード、アサルトライフル等は補充さえしておけば作戦ごとに選択できる。

問題はAPの固有兵装である。

一般的には煙幕スモークディスチャージャー、グレネードランチャー、M240機関銃がチョイスされやすいがAPはカスタマイズでM134ミニガンの運用まで視界に入ってくる。

対空ミサイルや対戦車ミサイルも装備可能である。

あるとないとでは可能な作戦範囲が大きく変わってくるが、どちらにしろ全部で11機である。

1機づつの装備がバラバラでは実戦で役に立つとは思えない。

ある程度は割り切って考えないと器用貧乏な部隊になってしまう。


第1候補としては中距離多目的誘導弾の搭載である。これは市街戦や対ゲリラコマンド任務を考慮して、舟艇、装甲・非装甲、人員、構造物などに対して対処が可能とされているミサイルである。

対空に関してはあきらめざるを得ないが、それ以外の状況では広く役に立ついい武装である。

問題は重量でミサイルが26kg、誘導機器+赤外レーザーが15kg、そのほかに要電源ということで、もともと車載兵器として考えられている武器である。APに乗っけるには若干重い。

実際に中の人間に対するフィードバックは生身で20kg程度のバックパックを背負ったぐらいの影響が出るだろう。

それをものともしないで長時間行動できる連中ではあるが、そのほかにも手持ち武器、爆破機材、レーションや予備電源、工具等のことを考えると、影響は無視していいほどではない。


軽量の26式軽MAT(手持武器)で代用という方法も考えられるため、頭を悩ますことになる。


・・・最初にAPの編成を決めて、そのタイプにあった乗員を選抜するつもりだったが・・・すでにつまずいている・・・


考えた挙句に分隊副隊長を決めてその人物と相談しながらとも思ったが、優秀な分隊長は常に不足している。前線部隊の第23普連から引き抜くのは難しい。


かといって他の連隊では実戦練度に不安が残る。

そうなると・・・ここから1曹か2曹を引き抜いて育てるしかない。

鈴木2曹を引き抜くか・・・ちょうどヒバラ屋の礼もまだだったし、食事に誘って相談してみよう。


俺は個人端末で鈴木2曹に連絡すると明日の夕食の約束を取り付けることにした。


「あれ?高橋曹長?何か御用ですか?」

「ああ、この間の礼と相談事があってな。明日、ヒバラ屋で夕食、大丈夫か?」

「ほんとに誘ってくれるんですかー。明日は一応オフですので大丈夫です」

「じゃあ16:00にヒバラ屋で、相談事は軍機にかかわるんで会ってから直接だ」

「・・・少しは色っぽい話を期待させてくださいよ。了解しました!明日16:00に出頭します」

「いやそこまで硬い話じゃないから、あくまでもプライベートだよ。今回は」

「プライベートなんですね・・・じゃあ、食事といい酒、期待してます」

「OK、奢るから、値段は気にしないで」


天気は明日も雨のようだし、緊急出動もないだろう。

面談までに部隊編成を少しでも詰めておこう。

チックと相談しながら、深夜まで部隊原案を考えることになった。

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