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たぶんデート?

黒糖焼酎はきます。作者はフィンランディア(ウォッカ)、メイヤーズ(ラム)ラヴァガーリン(スコッチ)が好きですが、奄美ブラックは別格だとハンコ押します。

その分長く飲めて家計は助かりますが・・・ワインだと毎回ボトル1本開きます。

(そのせいで最近はいつもサントリー酸化防止剤無添加のおいしいワイン濃い赤、オンリーですが)




場所が対馬なので今回のメニューは魚介類多めにしてます。


図書館の入り口で待っていると、Yシャツにスラックスの男子高校生が何度も腕時計を見ていた。

ほどなく「遅れてごめん、まった?」といいながら白のブラウスにリボン、フレアスカートの女の子が現れる。

「いや、今来たところ。」まるでテンプレのような挨拶をして二人は図書館に入っていった。

夏休みも終わり近い、受験のラストスパートか、夏休みの課題かは知らないが一緒に頑張るようだ。

「いやー青春だねー」

思わずおっさん臭いセリフが出てしまったが、自分の4年前を思い出し、ちょっと悲しくなった。

あの頃の俺は筋肉だけが友達だった。

あの日「いやー君いい筋肉してるねー、自衛隊に来ないかい。」と誘われるまでは進路すら考えていなかった。つくづくガキだった。

それに比べるとさっきのリア充は・・・うーむ、やっぱり爆発しろ!

妬ましいのは変わりない。

アレに比べれてコッチは・・・

「5分前行動か、高橋?待たせたな。」

「いや今が定刻です。春一尉殿。」

「プライベートだ、一尉はやめてくれ。」

「は、了解しました。」

そのまま綺麗に敬礼を決めてしまう。

・・・だって春一尉は夏服2種の制服で来てるんだもの。

視界に入るのはちっこいけど明らかに一尉・・・それを無視するのは条件反射を抑え込む以上に難しい。

「・・・制服は失敗だったか・・・だがこの格好でないと安心して飲酒できないんだ。大抵断られるか通報される。」

「はあ、わからないではないですが、制服姿の士官を無視するのは曹長にとっては不可能です。」

「仕方ない、服を買って着替えよう。どこがいい?」

「ショッピングモールの中ではコム〇デモードが品揃えが安定しています。」

「まあ、確かにあそこなら私のサイズもあるだろう。他にはどこがある。」

「実際に行ってご確認なされるのがよいかと思われます。」

「それもそうか、では案内頼む。」

そういうと彼女は俺の手を取りつないだまま歩き始めた。

俺の背筋にいやな汗が噴き出る。

一兵卒の俺の意識はこの手を放すのは上官反抗に値するといっている。

常識人の俺の意識は周りの視線は氷点下だと告げている。

なまじ彼女が制服が似合っている幼女体型の美女なだけに注目度がすごいことになっている。

「高橋、はやく行きましょう。」

彼女が見た目よりは強い力で引っ張るのだが、見た目は大木にすがるセミのような感じであろう。

セミというとハルセミというセミがいるのが厄介だ・・・噴出さないように堪えないと・・・結構ツボッた。

笑いをこらえていると小刻みに震える俺の体に、汗が流れ出す。

それを春一尉は確認するとなぜか上機嫌になって、腕を組み出した。

その時の彼女の心境をもしのぞき込めたら高橋は悶絶したであろう・・・


(緊張しちゃって、年下って、もー)


そのせいで周りをきょろきょろ見回す俺はバリバリに警戒していた。


(教導団・・・いないよな・・・)


引きずられるようにしてショッピングモールに連れていかれると、いわゆる女性の買い物に付き合わせられることになった。

衣料品が並ぶ界隈に到着すると、エースパイロットらしく機敏な行動と動体視力で目標を発見。

通常の3倍の速度で移動すると店内から

「たかはしー、どっちが似合う?」

両手に服を持って、呼びつけられる。

そのたびごとに、詳細なコメントを求められる。

コメントもどちらが似合うだけではなく、出撃レポートのように、似合う理由まで分析して口述させられるのだ・・・これは絶対に楽しんでいる。

実際彼女の表情はイキイキとしてとても楽しそうだった。


店員さんの目が「アラアラ叔父さんは大変ねー」という感じの生温い目線なのがせめてもの救いだ。


そんな状況で6店舗を回った時には2時間が過ぎていた。

俺の両手で今日買ったトートバックが両方とも風船のように膨らんでいた。

そしてメインイベント、下着専門店に彼女は突入していった。

さすがに、ここは・・・と思った俺は甘かった。

「たかはしー、どっちが似合う?」

試着室のほうから声が聞こえた。


・・・それはさすがに・・・とはいえ上官の諮問だ、行かねばなるまい。


気合を入れて試着室に向かうと、そこには両手にTシャツを持ち小悪魔のような笑いを浮かべた春一尉が

「期待した・・・期待した?」

とからかってきたのには、どう対応すればいいのか・・・思わず天を仰いだ。


彼女が下着というよりはインナーウェアというほうがしっくりくるようなタイプを数種類買うと、夕食に移動することになった。


この時点で彼女は服を今日買ったものに着替えた。

なんというか。とても妖しく綺麗な感じの小学生?もしくは中学生のコスプレ?という感じがする。

周りに放つ雰囲気が子供のものではないのだ。

思わずひれ伏してしまいそうなオーラがある。

もしひれ伏しているところを見られたら、絶望的な誤解を受けるのは間違いないだろうが・・・


着替えた後も彼女は相変わらず俺と腕を組んでピョンピョン移動していた。

「ヒバラ屋はこっちの路地ですね。」

「人通り少ないね?」

「まだ時間が早いですから、もう少しすれば飲みに来る人で賑わうと思いますよ。」

「そういう系なんだー」

入って結構奥にヒバラ屋は存在した。


「・・・(絶句)」

「ねえ高橋、この店に入るわけ・・・?」

鈴木2曹、何の恨みが・・・そのヒバラ屋の看板にはブーメランパンツをはいてポーズイングを決めている男達の姿がデカデカと書いてあったのだ。


「とりあえず予約してあるので入りましょうか?」

ガラガラ

手動の引き戸である・・・おまけに結構重い。

「お帰り!兄貴&姉御」

「おかえり?」

ああ、メイド喫茶と同じか。

そこまで理解したところで店内を見渡すと、内装は意外に普通の和風居酒屋だった。

働いている従業員全員がパツパツのTシャツとスパッツで武装したマッチョであること以外は・・・


「・・・予約していた高橋ですが」

「はい!高橋兄貴、個室Bに案内。」

キラキラときらめくような笑顔で大きな僧帽筋を見せつけながら、Tシャツの店員に案内された。

Tシャツのバックプリントは流ちょうな毛筆で秘薔薇屋とかいてあった。

「高橋兄貴も鍛えこんでますねー。すごい大腿四頭筋や脊椎起立筋です。オフシーズンですか?」

「いや、俺は自衛隊の人形乗りだ。持久力が必要なので君のキレがうらやましいよ。」

「人形乗りですか。というと佐藤3尉や鈴木2曹、緒方1士をご存知ですか。」

知り合いの名前が出てくると一気に親近感がわいた。

「この店は鈴木2曹に教えてもらった。佐藤3尉は俺の人形の先任整備兵だよ。」

「・・・じゃああの高橋曹長ですか。短時間出力なら4馬力を超える黄金のインナーマッスルの持ち手」

どこでそんなガセ情報漏れた?佐藤3尉か?

「おうおい、4馬力はさすがにないだろう・・・と思う。」

「そちらのお嬢さんも可愛いのに鍛えこんでおられる。全身のバランスから見て高機動外骨格パイロットですかね」

「うそ!、あなた、それがわかるの?」

「それはもちろん。どの部分にどんな感じの筋肉がつくかを見れば、普段の動きがわかります。もちろん高橋兄貴までいってしまうとわかりませんが。こちらの部屋へどうぞ。」


彼は障子のドアをサーと引き開け、俺たちを個室に案内した。

掘りごたつ風テーブルに呼び鈴とメニューがあった。

案内してきた彼は暑苦しい笑みと一緒に、「今日の担当の三浦三郎です。御用があればいつでもお呼びください。」

春一尉がメニューのラムの部分を指さしてこちらに見せていた。

「じゃあ、さっそく、奄美ブラックとルリカケスをストレートショットで、あとコース始めてくれ。」

「わかりました。今お持ちします。」

「あたしの分は?」

「ルリカケス。奄美の徳之島で作られている国産のゴールドラムだ。バカルディやメイヤーズは飲みなれてるだろうと思ってね。」

「あなたは焼酎なんだ?」

「そちらに合わせて黒糖の酒を頼んでみた。」

すぐにショットが運ばれてくる。つまみはまだ来てない。

チェイサーの水はこちらにだけついてきた。

「では、まず乾杯!」

彼女はルリカケスをクイと飲んだ。

俺は乾杯の後もチビチビなめるようにして飲んでいる。

「なにしみったれた飲み方してるのよ。貸しなさい。」

彼女は俺の杯をさっとかっさらうとクイと飲み干した。

あ・・・

「そんな飲み方したら・・・」

彼女の顔がすぐに真っ赤に染まり、汗をかきだす。


「おうぁ・・・」

黒糖焼酎でもこいつは特にくるのだ。

たとえスピリタス ヴラティスラヴィア96%をストレートでクイッと飲めても、40度しかない、こいつはなめるように飲まないと一気に酔いが回ってくる。

なぜかは知らないがそうなのだ。

慌てて、水を差しだすと、彼女は飲み干したが。すぐに汗でびっしょりになる。


三郎さぶろーを呼び出すと焼酎のお替りとウーロン茶のボトルを頼む。

「なに、この酒・・・? ものすごくおいしいけど全身が燃えるように熱くなる。」

「そういう酒だから・・・まさかかっさらわれるとは思ってなかったから・・・油断した。」

「レモンハート デメララ151よりも酔いが早いわよ。」

「とんでもない酒飲んでるなー」デメララ151は151プルーフ(75.5%)のラムである。

あきれながらも話を切り替えた。

「ともあれ本題に入ろうか。」

「本題?・・・なんだっけ?」

「アリスの恋愛相談じゃなかったっけ?」

「ああ・・・そういえば」

「そういえばって・・・」

だめだ。まだアルコールが回ってるみたいだ。

少し食べてからにしよう。


今日のコースは前 菜 枝豆豆腐と根ショウガの先付、

          鮮 魚 カンパチとカワハギ、シロギス(骨付)の刺身

          サラダ エビとアボガドのサラダ

          焼き物 朝〆鳥のもも肉ハーブ焼

              スズキの味噌幽庵焼 柚子大根おろし添え

          炙野菜 夏野菜の炙り焼き(なす・ピーマン・トマト・ししとう)

          汁 物 イワシつみれのはりはり汁

          揚げ物 海老スティック春巻

          お食事 鯛ときのこの炊き込みご飯

          甘 味 完熟マンゴーの花切り


どれも居酒屋にありがちな濃い目の味付けではなく、控えめで素材の味を生かした割烹のような料理で、春一尉と俺の分は盛り付けの量が変わっていて気配りを感じられた。


途中で完全復活した春一尉も十分に満足しているようであった。


コースを食べ終わってようやく本題に入ることになった。

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